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240204 N響第2004回定期公演 Aプログラム ショスタコーヴィチ/交響曲 第13番 変ロ短調 作品113 「バビ・ヤール」他

2024年2月4日 (日) 開演 2:00pm
NHKホール
曲目
ヨハン・シュトラウスII世/ポルカ「クラップフェンの森で」作品336
ショスタコーヴィチ/舞台管弦楽のための組曲 第1番 -「行進曲」「リリック・ワルツ」「小さなポルカ」「ワルツ第2番」
ショスタコーヴィチ/交響曲 第13番 変ロ短調 作品113 「バビ・ヤール」*
指揮 : 井上道義
バス : アレクセイ・ティホミーロフ* ※
男声合唱 : オルフェイ・ドレンガル男声合唱団*
コンサートマスター:郷古 廉
※当初出演予定のエフゲーニ・スタヴィンスキー(バス)から変更いたします。

2月3日新国立劇場「エウゲニ・オネーギン」と2月3日・4日N響「バビ・ヤール」!!!
好物を一度の上京で、連続してトーキョーで聴けちゃう?!

ってことで、関西に越して以来7年ぶりに上京してコンサート三昧することにしたんですが、両日とも大満足の演奏会となりました。

井上道義氏の指揮は、テレビでは何度か拝聴していましたが、実演では初めて。井上氏のN響最後の定期公演だったとのことで、この渋いプログラムなのに大盛況だった理由がわかりました。
休憩時間の、男子トイレの行列はなかなかエグいものがありました^^;

前半のJ.シュトラウス2世とショスタコーヴィチの小作品2曲は、軽いタッチで和ませて頂きました。
氏の、クラシックだってエンターテインメントなんだよ!的な、サービス心溢れる指揮ぶりに、双眼鏡が離せず・・(笑)

後半の、今回の演奏会のメインである
ショスタコーヴィチ/交響曲 第13番 変ロ短調 作品113 「バビ・ヤール」

この作品は政治的背景がどーたらこーたら、とのことで、敬遠している聴きても一定の割合でいらっしゃるかと思います。

しかし、そのような先入観はぜひ取っ払って、音の洪水&低音男性ばっかりの歌声に耳を傾けてみて下さい。
不思議な感覚にとらわれる・・・と思います。

バス独唱はアレクセイ・ティホミーロフ。2019年の新国立劇場の「オネーギン」ではグレーミン公爵を歌っていて、映像配信を見た時になかなか好感の持てるバスでした。
今回生のお声を聴くことが叶い、満足です。

今回、2日目の公演ということで少々お疲れ気味だったかも。
旋律線がぶつぶつ切れて、滑らかに聴こえてこない箇所がいくつかあり、気になった次第です。
(初日の2月3日の公演をFMで放送したので、検証の為に確認=聴いてみましたが、声の調子はやはり初日の方が良かったかも)

この作品、二日連続で演奏する海外オケも多いんですが、その場合でも24時間は空けていると思います。今回、初日がソワレで翌日がマチネとのことで、24時間空かないうちの演奏でしたから、疲労のピークはいかほどだったかと・・・

やはりこの作品を歌いこなすには、強靭な体躯、人間離れした肺活量、精密なブレスコントロール、そして音域の広さは、いくらあっても足りない!ってことはないのだ・・・と、再認識しました。

合唱は オルフェイ・ドレンガル男声合唱団。申し訳ないけど日本のバスだけの合唱団では、この音の厚みは望めないでしょうねえ。
合唱もこの作品においては、独唱者と同じくらいの活躍度ですし、聞き応えがありました。

合唱と独唱が掛け合いになるシーンが多い作品ですが、とりわけおかしいのは最終楽章(第五楽章)「出世」かな?

【合唱】
Итак да здравствует карьера,かくて、出世万歳!
когда карьера такова,その出世とは、
как у Шекспира и Пастера,シェークスピアやパスツール、
Ньютона и Толстова,ニュートンやトルストイ、
и Толстова …トルストイが行ったようなものだ
【独唱】
Льва …?レフ(トルストイ)のことか?
【合唱】Льва!そうだ、レフのことだ!
Зачем их грязью покрывали?何のために彼らは汚名を被せられたのか?Талант, талант как не клейми.どれだけ非難されようと、才能は才能なのだ

ショスタコーヴィチ交響曲13番対訳:第五楽章.出世Russian Bass singer, Alexander Vinogradov Private Fansite)より

ここね。独唱者が合唱の方を振り向いて”Льва …?”と問いかけ、
合唱が”Льва!”と答えて、独唱者が「りょーかい!」みたいな素ぶりをするのを見るのが好きなんですが、この箇所は独唱、合唱ともどもいい味を出してました。(双眼鏡でガン見したぞよ)

それと今回、コンマスが郷古廉氏だったのも個人的には超!!!嬉しかったです。(密かにファンなのw)

実は井上氏&ティホミーロフ+オルフェイ・ドレンガル男声合唱団の13番は、一週おいて大阪フィルとも共演するとの情報を、N響でのコンサートが終わった後に知りました。。。

___日本で13番が聴ける、貴重な機会だと思ってわざわざ上京したのに、大阪で聴けるんかーい!!!!

・・・ま、まあいいけど。上京して楽しい思い出もたくさんたくさんできたしねっ。

大フィルとの演奏もNHKーFMで放送するようですし、また聴き比べができるのが楽しみです。

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私は、自分が推しているロシア人のバス歌手であるアレクサンドル・ヴィノグラードフがこの作品をおりに触れ歌っていることもあり、実演は
2009年(バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリン)
2013年(フィリップ・ジョルダン指揮パリ管弦楽団)
2014年(ヴァシリー・ペトレンコ指揮)
と、日本ではアマオケの、オーケストラ・ダスビダーニャでの演奏(2014年)を聞いています。

2009年に初めて彼がこの作品を歌った時には、張り切って予習もしたし、その後も色々自分なりにこじつけて、あれこれ書いてたな〜〜

2013年には当時通っていたロシア語教室の先生にチェックを受けつつ、この作品の全訳に挑みました。ロシア語学習者としての素人丸出しの訳ではありますが、某雑誌でもURLを取り上げて頂いたりしています。

そういうわけで、普通のクラシックファンよりかは、この作品には馴染みがあるかもな・・という自負もあります。
そういう聴き手が、久々(自分でも驚いたけど、10年ぶりだったのね!)にこの作品の実演を聴いたことは、色々な意味で自分の血肉となり得た・・と思っています。

だってもう、「オネーギン」&「バビ・ヤール」2つの好物の実演を聴いてきて以来、ずーっとこの2作品のことだけ考えているんだもの(笑)

ついでに言っておくと。
ヴィノグラードフは2月18日(マチネ)&19日(ソワレ)に
ハンブルクのエルプフィルで、ケント・ナガノ指揮でこの作品を歌います。

はーーー。
エルフィのチケットはほぼ定期会員で売り切れてしまうらしく。
「んーーー唐突だけど行きたいっ」という欲望に応えてはくれなかったわ。。。

ということで、最新の彼の13番の動画を紹介しておきます。2023年9月のものです。


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