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カジュアル面談を受けてみた話


はじめに

ここ2週間くらいで、カジュアル面談を3件受けた所、色々得られるものがあったので言語化したもの。

もっともっとカジュアル面談がカジュアルになると良いなという想いも込めて、感想や得られたものを書いておく。

登録したサービス

直属の上司 (@m_nishiba) が突然はじめた、サクッと30分のカジュアル面談を申し込める何かを使ってみた。

ページの雰囲気もカジュアルすぎて笑える感じ。

カジュアル面談対応可能な人のリストがあるので、それぞれ応募条件を確認して大丈夫そうならTimeRexなるサービスで日付を登録するだけ。
例えば (@m_nishiba)さんの画面はこんな雰囲気。

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カジュアル面談の間口が広すぎる。私の実家の裏にあった筍が生える山くらい広い。

TimeRexも初めて活用したが、簡単で日付を押して名前とメールアドレスを書いて、何を書けば良いか分からんコメントに勢いよく「よろしくお願いします!」と書いてsubmit。ZoomのURLがメールで来て登録しておしまい。

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コメントに何書いたら印象良いか一瞬考えた以外は本当にカジュアルに面談の設定が終わった。UXがすごい。

アカウント登録に30分かけてカジュアル面談と言う名の面談の通知が来るタイプのサイトは是非見習って欲しい。

私の背景

せっかくカジュアル面談するので、私の背景を簡単に整理した。

・1年半前に現職に転職(2019年2月)
・業務内容は難しい問題や壁があり毎日考える事があって楽しい
・制度や人、評価にも不満はなくより良くしたい向上心も持っている
・Machine Learning Engineerとしてはややコンフォートゾーンに入っている気がしてきており刺激を求めている

調べてみると、元々情報工学を専攻していた人が社会人3~5年目くらいに陥りがちっぽい状況ではある。言語化が難しいが、簡単には「開発業務は肌感で進めても大体なんとかなる。技術的な勉強、挑戦も出来ている。視野が広げて更に組織やビジネスに貢献したい。」といった感じ。

もちろん色々社内で挑戦をしたり本を読んだり、昔は苦手だった意識の高い記事を読んだりしてはいるものの、やはり外の生の情報も得るべきだと思うし、タイミングとしてもちょうど良いからやってみようかという気持ちで登録してみた。

直近で転職したい訳ではないが、今後リモートワーク化が進んで行けば、「リファラル採用」というやつはより長期的な施策になる事は間違いないし、知っておいて損になる事もない。なにより、他企業で自社のビジネスや風土、開発の全体感について説明できたり、マネージメントに従事している人たちの時間を無料で30分得られるのは、アドしかない。

(アドばかり得て申し訳ないので仕組みの紹介も兼ねて記事を書いている)

TRI-AD 服部さん

日程的にTRI-ADの服部さんと最初に面談した。MLOps・Data Engineer・Infra Engineerと呼ばれる所をやっている人。TwitterやSlackで、インフラに関連する話をひたすら楽しそうにしている人という認識でもある。Machine Learningの勉強会の主催も多くされていてすごい人。

私は元々自動運転には興味あったので、TRI-ADについてもMachine Learningで大体どういう技術スタックで進めているかは概ね知っていた(トライアドって読んでたけどティーアールアイエーディーらしい知ったかぶりしてごめんなさい)。

実際話を聞いてみると、服部さんが横断的なデータを扱う部署にいるおかげか、私のMLの認識より更にかなり幅広い範囲の話が聞けた。

自動運転実現のためにOS、センサ、エミュレータを作成したり、ビジュアライズ、ハードウェアオプティマイゼーションの現状が聞けたし、自動運転というタスクの大きな課題がいくつか聞けた。

人命に近い分野での再現性など、MLOpsが非常に重要になる所で、これから更に技術を伸ばしていく文化もある事が知れた。実際品質に対しては、CEOがジェームス・カフナー(元Googleリサーチャー)という事もあって、かなり高いレベルで求められているし、そのための文化もあるのだろうという事が節々で感じられた。外国籍のEngineerも多くて英語の文化も強く、日本が2,3年後に自動運転を実社会に取り入れ始めた時、モダンな技術で貢献できる数少ない会社でもあるなと思った。面接フローに英語のTech Interviewあるらしく良さそう(私はまだまだ頭すごい使うけど)。所謂TOYOTAの大企業感が薄いが、大企業の部署に依る感もある気はした。

潤沢な資金でインフラを扱えるのも、今の会社では味わえないなと思った(そもそもそういうタスクが少ない + 無駄遣い良くない)。私は、前職で大規模インフラのありがたみも感じているので、そこに対する心理的な障壁が低い事も素晴らしいと思った。

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FORCAS 高柳さん

2社目は、株式会社FORCASの高柳さんと面談した。データサイエンスの分野では岩波データサイエンスや機械学習のための特徴量エンジニアリングで知っている人も多いはず。

高柳さんに申し込んだつもりがチームメンバーも参加してくれて、どんな文化なのか制度なのかを複数人から聞けてしまった。爆アド。

FORCASについては、実際どんなサービスを展開している会社なのか正直知らず事前に軽くは調べたもののふわふわした状態で面談に挑んだ。

最初に紹介資料を使いながら、SPEEDAからスピンオフした会社であること、実際に作っているビジネスマン向けのABM(Account Based Marketing)ツールについて説明してもらった。

ABMはSansanやエムスリーの一部業務に近い事を感じたが、そこでMachine Learning、Feature Engineeringの扱いがサービスの中心に近い位置に居る点が、Machine Learning Engineerとして良いなと強く感じた。

ユーザや人の伸びを見せて貰ったが、リモートワークも相まって、こういったBtoBのSaaSサービスはどんどん伸びていくよなあと感じた。実際の売上の仕組みもMachine Learning、Visualizationの方法が多様化するに連なってどんどん多様化できそうである。

特に文化の面では、複数のメンバーが居た結果「文化に対して全員が共通で似た認識を持っている」というのが伝わってきた。10〜100人前後の企業では、これが無いと前に進めないというのを最近よく感じるし、それらが言語化されているというのも良い。

面談中に上の記事を紹介してもらったが、とても良かった。リモートワークになった時に、こういう文化を明文化しているかどうか、浸透させているかどうかが試されるし、元Sansanの人が多いのもよくわかる。社長含めて全員の給与が公開されているの、pros, consあるとは思うが、カルチャーとして全員に納得感がありそうで良いなと思った。役員との距離の近さとても大事。

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富士通研 小橋さん

3社目として富士通研究所、人工知能研究所、プロダクトマネージャーの小橋さんと面談した。私自身、富士通研究所には親族が居て話を聞く機会もあるし、AWS Loftで定期開催されているML@Loft #6 という勉強会で私が登壇したトークセッションでも小橋さんのチームメンバーである梅田さんと同席し、Machine Learningにおいて大体どのような技術を主軸に添えているかを聞くことが出来ている。

余談ではあるが、この時AWS ML Loftの管理者の一人に前述のTRI-AD 服部さんが居る。世間とは狭いものだ。

富士通研究所の実際の体制について説明してもらった。世界中の研究所の存在や組織体制について聞いた。

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https://www.fujitsu.com/jp/group/labs/about/ より引用

流石大企業研究所という感じ。ハード、ソフト共に広いが、基礎研究ではなく事業に貢献できるようなモノ作りについて考えているのが伝わった。終盤には、話の流れからMachine Learningをバックグラウンドとした実際開発しているソフトウェアをZoomの画面共有越しに見せてもらう事ができ実際の業務のイメージがついた。現地採用の難しさやグローバルコミュニケーションについても話す事ができ、実際に世界中の他拠点での仕事も多いとのことだった。

採用の流れで、scikit-learnのコンソーシアムに入っている事、その背景を詳しく聞けた。Software Engineerとしても興味を唆られるもので、OSSへの貢献が仕事になるという非常にチャレンジングで良い内容だった。

前職でも様々なソフトウェアとコンソーシアムという形で関わっているのを見たが、OSSへの企業のコントリビュートは背景が結構大事だったりするので、そういった草の根的な部分が聞けたのは良かった。

実際の研究の業務についても聞けた。
これは流石に「部署に依る」という事を強調していたが、人工知能研究所の働き方の自由さ、自分でプロジェクトを推し進めれば推し進めるほど良いモノ作りができるという話を聞いた。多少なりとも開発の不自由さがあるとの事だったが、私にはあまりネガティブに映らないレベルだった(私は仕組みの中で上手いことやるのは好き)。研究所でありながらプロダクトについて考えられる環境は幸せだと思うので、かくありたいなと思った。

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リモートカジュアル面談のメリット・デメリット

今回3社、30分毎のカジュアル面談の時間を取ってもらったが、全員が会社説明資料や想定内容を事前に準備してくれていた。もちろん、採用、広報に普段から関わっている社員であるという事もあるとは思うものの、30分という短い枠で、実際に働いている雰囲気を伝える準備があった

リモートだとZoom越しに実際のプロダクトを見せたり、採用用のスライドを画面共有できるのが素晴らしい。URLも送れるから後でじっくり見られる。

(他には、実際の職場の写真とか社内チャットの様子とか、カジュアル面談という形式の中で信頼する相手にしか見せられないような内容を用意しておくと良いのかも?)


一方で当たり前だが、会話に詰まるのが怖い(怖くない?)。
そのために準備こそしてくれているものの、相手の表情やしぐさが直接伝わる訳ではないので、どこか内容が薄いと会話が途切れてしまう
カジュアル面談にありがちな「採用に関係するのでは」という疑問こそないものの、まあやっぱり盛り上がって終わりたいのはお互い様だと思っていたので、こちらもいくつかテンプレート質問を用意しておいてよかったなと思った場面が何度かあった。

私も採用に関わる場面が無いわけではないので、リモートでの良い資料の見せ方や疑問点の炙り出し方など良い学びがあった。例えば、1on1よりも2人以上居たほうが雰囲気は伝わるとかもそうだろう(これは採用の体制にもよるが)。「〇〇の所見て下さい、これどう思いますか?」と細かく聞いて参加を促すテクニックなどもリモートでは強く必要になるだろう。採用に関わるソフトウェアエンジニアこそカジュアル面談で他社から学ぶと良さそうとも感じた。

得られたもの

・各社の状況
・実際のソフトウェアエンジニア目線の職場感
・リモート採用での工夫
・マネジメント視点でのチーム運営
・仕事が出来る人たちと話す時間

強いエンジニアと表現するのはやや短絡的だが、ソフトウェアエンジニアとして知識があり成果を出していて成熟した仕事をしている人たちの時間を30分もらえて事業説明してもらえるのは相当な価値だと私は思う。

特にコンフォートゾーンを抜け出すために、自分にできる活動の幅がまだまだ広がる事を認識できたのも良かった。

おわりに

今まで、よく勉強会の懇親会等で他社の状況や雰囲気を知る機会があったが、世情もあり、リモートでそういった事が知れる機会は減っている。

しばらくこういった状況が続く以上、冒頭に書いた通り、リファラル採用のツテというのは「大学、前職の知人」くらいになってしまうので、採用広報も工夫が必要になっていくだろう。

カジュアル面談、リモート飲み会など色んな工夫で、最新の業界に関連した情報や手法論を得る事自体は悪いことではないので、活用する人がどんどん増えればいいと思う(それに固執すると良くないが)。採用に関連した企業が実施するアカウントを登録する系のサービス経由での面談よりは、今回行ったカジュアル面談は楽だったという事実はあるし、方法の1つでは在ると感じた。


世の中には「カジュアル面談と銘打ってるけど実際には採用面談」だったりする状況もあるので、今回は一弾手前の話が各社できていて非常に良かったなと感じた。かくありたいものである。

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