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愛するクラブがくれたもの【7】

V・ファーレン長崎を愛するサポーターの方からお話を伺い、応援することで得たもの、楽しさを多くの人に広める「愛するクラブがくれたもの」。
第7回は「ユウキ」さんよりいただいたお話です。

2020年当時、コロナ禍によりJリーグは延期となり、その後無観客での開催を余儀なくされました。
サポーターの想いを伝えたい。ゆうきさん考えはファン・サポーターの共感を呼び、大きなものとなりました。

ユウキさん提供

スタンドに誰もいない、初めてのJリーグ

2020年に流行した新型コロナウイルスは、生きてきた中で過去に経験のない感染症。
当時を思い返せば、正体不明のウイルスにサッカー観戦はおろか日常生活すべてが変わってしまって、この年のゴールデンウィークは街から人も車も消えてしまいました。
親しい人に会うことも我慢しなければならない日々に辟易しながら恐怖心だけが増し、世界が不安に包まれていました。

Jリーグも試合が延期になったり、やっと開催されても無観客。
それでも開催されるだけで嬉しかった。楽しみが、彩りがすこし戻ってきたと思いました。

ユウキさん提供

ただ、選手たちは観客のだれもいないスタジアムで必死にプレーをしていました。
勝っても負けてもしんどくても、わたしたちの声が、笑顔が、悔しさが一切届かない。一緒に戦っているはずなのに。

どうにかして声を届けられないかと思って、Twitter(現・X)でV・ファーレンサポーターに応援動画と画像とメッセージを募りました。

V・ファーレンが、立ち直るきっかけに

ここで、わたしの話を少しだけさせてください。
わたし自身、ゴール裏で毎試合跳んで歌って熱く応援しているのかというとそうではなく。

生まれと育ちは長崎ですが、元々サッカーに興味はなく、V・ファーレン長崎という名前は知っているけれど詳しいことは分からない。
仕事で京都に住んでいたこともあり、長崎に戻ってからも土日が仕事の職業でしたのでなかなかサッカーを観戦するという機会には恵まれない、というところから始まりました。

一気に好きが加速したのは、大好きな父が突然亡くなり、なにも楽しみが見出せず立ち直れずにいた10年以上前の日々でした。
当時の上司が、きっと元気づけようとしてくれたのでしょう。
無料チケットを度々プレゼントしてくれ、スタジアムに足を運ぶようになりました。

そこでみた景色が、わたしを圧倒したのです。

ユウキさん提供

こんなにサッカーに一生懸命になっている選手たち、そしてそれを自分ごとのように応援している人たち。輝いて見えました。なんだこれはって。

生きる喜びを改めて感じて、この選手たちを応援したいと思いました。
さまざまな思い出がありますが、2014年のかきどまり陸上競技場(現・ベネックス総合運動公園)で行われた10月4日のファジアーノ岡山戦で、DFの髙杉亮太選手のゴールを観て髙杉選手のファンになり、通う頻度が増えました。そこから始まって、今に至ります。

初めて作った、髙杉選手のゲーフラ(ユウキさん提供)

過去には2年ほどゴール裏のシーズンパスを購入したこともあるけれど、わたしにとっては日常を忘れさせてくれる非日常の高揚感をじっくり感じたいとの思いから、アウェイゲームやカップ戦を除く試合は、基本的にメインスタンドから観戦するようになりました。
上司が連れて行ってくれた席が、メインスタンドやバックスタンドだったということもあります。その後、結果的にサッカーを観に行きたくて転職しました。

応援は日常の中の非日常

今ではV・ファーレンの応援に行くことが日常にはなっていますが、仕事をしたり日々を生活したりする中で、なにも考えず大好きなサッカーを2時間ひたすら応援できるという点では、サッカー観戦は非日常なのかなとも思います。

ユウキさん提供

非日常をじっくり感じるという楽しみ方もあるんだと伝えたい気持ちもあるし、熱狂的に応援することに気後れしちゃうという人にも、メインスタンドやバックスタンドへ気軽に来て欲しいです。
もちろんゴール裏も最高に楽しいです。熱いです。

集まった、300以上の動画・写真・メッセージ

話を戻して。
無観客の中でも長崎を背負って戦ってくれている選手たちへ、応援の声をどうにかして届けたいと考えました。
サポーターに募った結果、皆様から届いた動画・写真・メッセージは300を超え、わたしも休みや仕事終わりを利用して、サポーターの友だちに付き合ってもらって撮影に行きました。
コロナ禍だったので、人目を忍びながら広い公園で撮影したのを覚えています。

ユウキさん提供

動画の編集は、編集技術に長けた、というかもはやプロレベルのサポーターさんに頼み込んで作ってもらえることになりました。
それでも、打ち合わせは深夜2時・3時に及んだり、早朝5時に作り直してもらったり。
みんなの声を絶対にいい形で届けたいと思ったので、本当に必死で寝る間も惜しんで進めました。

ゆるゆると応援していた身であったにも関わらず、見ず知らずのわたしにたくさんの方々が想いを託してくれていると思うと絶対に妥協はできないし、絶対に選手に届けないといけないと思いました。

そして完成したのが件の動画です。
上記リンクより、ぜひご覧ください。

ユウキさん提供

完成した動画の反響は、一部選手からも

今の時代では誰でもYouTubeにチャンネルを持てるし、動画や楽曲を自由に使ってSNSに流している人もいます。
でも変に真面目なわたしは、FUNKISTの皆さんにメールで楽曲使用許可のお願いをしました。快く許可してくださり、本当にありがたかったです。

完成した動画はコマ送りを早くしているのですが、これには製作者の方の意図がありました。
写真がゆっくり流れるよりも、アップテンポで枚数をたくさん使ったほうが選手たちも見やすいのでは、と。
そこまで考えてくれて、本当にいい動画が完成しました。

動画はTwitterで公開するにとどまったけれど、クラブにはメールで送りました。
ありがたいことに一部の選手から『見ました、震えました』という言葉もいただきました。

クラブの歴史に、立ち会える幸せ

わたしは当時のことも含めて今に繋がっているし、もちろん全ての歴史が今のV・ファーレンを創っていると思っています。たくさんの、これまでに在籍してくれた選手たちもそうです。

ユウキさん提供

ファン・サポーターとして、いつ、どこでも、現地にいてもいなくても、応援している気持ちはひとつだし、想う気持ちに大小はありません。

V・ファーレン長崎があることで日々が豊かに彩られて、これから先の未来へも続いていく。たくさんの人が力をもらっています。

今、そんな風景を見られることが幸せなのだと、立ち会えていることが幸せなのだと、当たり前の日々は当たり前ではないのだということを大切にして、このクラブの行く末をみんなで創っていきたい。
そこに居たいと、そう願ってやみません。

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