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価値観のはなし

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いろんな気付きをまとめました。
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記事一覧

醜形恐怖症のカケラは誰でも。

小さいころから、背も高くて、体格も良かった。
今となっては子どもの体から女性らしい体つきになる段階だったけれど、「太ってる」と母から良く言われていたから、太ってるものだと思っていた。
足も太い、顔も丸い、太ってる。
そんなこと当たり前に言われ続けていた。

中学生のとき、いじめが原因でご飯が食べられなくなった。
家族と食卓を囲むのが辛かった。
一人前にも満たないご飯で「あれを食べなさい、これをまだ

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飽き性

飽き性

飽きた。

唐突にそれは降ってきた。
それはまるでスコールのように突然に、
遠くで真っ黒な空が雷鳴が轟いていたように確実に。
わたしは折りたたみ傘を持っていた。
ずっとこの時を待っていたかのように。

騙されたふりをして
器の大きなふりをして
全て受け止めていたはずだった。
突然それが無理になる。
あなたの嘘も、隠し事も、
あの子の軽口も、これ見よがしのわがままも、
あの人の色恋も、
終いには大好

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命の差

福祉、といえば介護。
死にゆくおじいちゃんおばあちゃんが
楽しく余生を過ごせるように、怪我なく安全に生活できるように奔走するお仕事だと思われがち。

わたしの福祉は、障害者。
昔、ダウン症の姉が嫌いだった。
わたしたち姉妹に伸びる手は全て姉のためだった。
「障害は個性だから」と母は言う。
個性のために、ミッキーとミニーのおみやげをもらっても、姉が先に選び、わたしはいつも嫌いなミッキーしか選択肢がな

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慈愛を極める。

素直に求め合うことが無くなった。
セックスは愛し合わないことだと気づいたときには
わたしはただの穴だった。
穴の摩擦。
天井を見上げて一方的な欲情が収まるのをただ待った。

愛を忘れた。
簡単に好きだと言えてしまう。
1人でしていると自分を抱きしめているような
感覚に溺れて悲しくなる。
わたしを愛してくれるのはわたししか居ない。

所詮ただの穴ならばと西成に赴いた。
お金になる。
捌け口にしかなら

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ヨハネの黙示録

あれからどれくらいも経ったんだろう。
あなたとは隠しごとで塗り固められ
あなたの知らないわたしと
わたしの知らないあなたの
空白を埋めるような時間はあっという間に過ぎ去り、
あっけなく終わってしまった。

都合の良い記憶で美化されたまま
再会して、家に置いてた汚れたスマホケースに
"わたしたち"の写真が貼ってあった。

わたしたちの時間は誰にも知られず、
わたしは会うたびに泣きそうになるのを堪えた

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宝の持ち腐れ

朝起きると昨日のまま、むしろ何ヶ月もそのままのお部屋を見る。
お片付けというものが苦手なうえに、
必要のないものが増え、必要なものが点在する。
いらないものはどうやって処分したらいいのだろう。

引越ししたてのころは何もなかった。
クローゼットも空きがあって、
全てがきちんと仕舞われていた。

そのうち物が増え、
元カレの置いて行ったたこ焼き器が埃をかぶっている。
仕送りされた大量のマスク、これが

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女王様の生まれ

あんたは悪魔だと母親に笑いながら言われた。
何のことだか全く理解できず数年経った今、
悪魔のツノは生え揃ってきている。

「SMバーに行きたい」
友達がそう言うから一緒に行ったことがあった。
扉を開けると、そこは妖しい世界だった。
無数の鞭が壁から吊らされ、ボンデージを着た年齢不詳の女性と、若くてニコニコとしている綺麗な女の子がカウンターのなかにいた。

怪しすぎる雰囲気に圧倒されながら震える声で

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