宝の持ち腐れ

朝起きると昨日のまま、むしろ何ヶ月もそのままのお部屋を見る。
お片付けというものが苦手なうえに、
必要のないものが増え、必要なものが点在する。
いらないものはどうやって処分したらいいのだろう。

引越ししたてのころは何もなかった。
クローゼットも空きがあって、
全てがきちんと仕舞われていた。

そのうち物が増え、
元カレの置いて行ったたこ焼き器が埃をかぶっている。
仕送りされた大量のマスク、これが使いづらい。
これも大量に積まれていく。

人から頂いた物は全て捨てられずにいる。
誰も来ないのに、
家族がきたとき用の布団まである。

家はわたしの安寧の場所ではなくなった。
寝る、食べる。それだけの場所と化し、
邪魔な物が静かに壁際で生きている。

実家でもそうだった。
わたしのお気に入りのものはすこしばかり。
あとは自分のものではなかった。
本棚もダンスもクローゼットも開かずの間だった。
扉を開けてしまえば、
風化して砂にでもなりそうだった。


わたしは自分でないもののなかで息をしている。
誰かのための何かのなかで、
誰かのために働き、
誰かに見てもらう自分のためにお金を稼ぐ。
なんのためのお金だろう、と考えることがある。
一枚一枚のお札に日々生かされて、
貯めていた束になったお金はただの紙のように感じる。

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