「本屋なのに本ねーじゃん」が普及した
ブックオフのCMで有名な一言。
「本屋なのに本ねーじゃん」
これは、ブックオフという「本を扱う店名」を背負っているのにも関わらず、実際販売しているものは、本以外にもあることを表した一言です。
ネットを親しんでいる方には、より身近な言葉ではないでしょうか。おもにMADやミームで使われていますし。
言葉の響きだけで見れば、本屋なのに本がない状況を揶揄しているように読めます。
本屋と謳っているのに販売しているものがカレーだったら、「本屋じゃないじゃん!」と言いたくなるもの。
これがまだ電化製品店といった、広いジャンルを取り扱っているお店だったら、カレーが売られていても納得しやすいのではないでしょうか。炊飯器やナベ、IHコンロ等の近くに置けなくもないし、置いたとしても違和感はないです。
店名と関係ある商品を取り扱う、という概念をわたしたちは所有しています。
もっと身近にフォーカスすると、商品パッケージと中身が違うものに抱く感情と同じです。
ようは、「おいっ!聞いてる話と違うぞ」状態。見た目と中身のギャップです。
これを商品でやれば詐欺でしょうが、店名なら「想定外」だけで片付きます。さすがにブチキレる方は、いないでしょう、たぶん。
では、ブックオフの名にある「本」を扱っている大元の本屋さんは、どうなのでしょうか。
案の定、本以外の売り場が設けられています。地域の特産品や、キャラクターとのコラボ商品などが並んでいます。
文房具やブックカバー、しおりといった、書籍に関するものが棚に並ぶのは想像しやすいですが、脈絡のない商品が置かれています。
書店曰く、本以外のものを販売することで、客足を確保することが目的だそう。
ここ数年で一気に書店数は、悲しいことに減ってきています。それは電子書籍の普及だったり、読書以外の余暇が増えたことによる読書時間の減少だったりです。
読書するなら紙じゃなくてもいいよね、そもそも読書以外の読書よりおもしろいことがあるから、読書時間ないよね、という時代背景があります。
そのままなにも対処しなければ、書店数は減っていく一方です。なんとかして食い止めなくてはいけません。
そこで本以外のものを売り、それをきっかけにしてもらって、書店で本を買ってもらおうという流れがあります。
客足が増えれば、本を買ってもらえる確率は高まります。結構シンプルな戦略です。
ともすれば、「本屋なのに本ねーじゃん」は揶揄ではなく、もはや普及しつつある書店の姿ではないでしょうか。
書店好きの1人としては、「本屋なのに本ねーじゃん」でもなんでもいいので、本屋さんが実店舗として存続することを強く願います。
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