コロナ禍のいまだからできる、組織づくりの追求|ア式蹴球部
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、その影響は大学スポーツにも表れています。試合や対面練習ができなくなり、今までとは異なる形での活動を迫られているのです。
「新型コロナウイルスと東大スポーツ」特集では、現在のイレギュラーな状況下で、東大運動部員たちがどのような思いでどのような活動に取り組んでいるのか、特集していきます。
第1弾はア式蹴球部です。マネージャーを務める4年生の佐原由香さんにお話を伺いました!
(このインタビュー記事は2020年5月14日に東京大学運動会HPに掲載されたものです。)
大学からの活動中止要請。そして、リーグ戦が無期限延期。
ア式蹴球部では、2月上旬からコロナウイルスの対策をしていました。体調の報告や手洗いうがいを徹底しました。でも、その頃から私立大学は課外活動が禁止だったようで、練習試合を断られることも増えてきました。
3月上旬には、下旬に開催予定だったトーナメント戦が1ヵ月以上延期。そのせいで、試合から逆算して組んでいたトレーニング計画が狂ってしまいました。そこで、調整のために3月下旬に1週間オフを設けました。
しかし、オフ期間の間に大学から課外活動中止要請。そのまま自粛が続いています。本チャンのリーグ戦も、無期限延期になってしまいました。
3/26には東京大学が課外活動の中止を要請しました。
このような状況になって、本当に悔しかったです。というのも、今年はチームがすごく良く仕上がっていたんです。試合への期待感も大きかっただけに、ぶった切られるのは本当に悔しいです。
新型コロナウイルスが終息すれば、リーグ戦は秋冬になって実施されるかもしれません。しかし、私は4年生なのでいつ引退になるかも分からないんです…。
今の目標は「生き延びる」こと
実は、今の部員の目標は「生き延びる」なんです。
というのも、この状況でモチベーションを維持するのは無理だろうって、監督が公言したんです(笑)
不安の中でモチベーションを高く維持すること。これは、実際めちゃくちゃ体力を使います。部員みんなの気持ちが張り詰めた中で、また延期になったら、心が折れますよね。
だからもう、モチベの維持は諦める。とにかく生き延びようってなったんです。
zoomでの取材の様子
トレーニングは選手に任せ、運営にはみんなが関わる
オンラインでの活動については、基本は選手に丸投げです。筋トレメニューはトレーニング計画を担当するフィジカル班が作っていますが、基本的には各自で筋トレしたり、ランニングしたり。
選手へ丸投げではなく、Zoomで合同トレーニングをする案は出ました。
でも、やはり精神的な負荷がかかってしまう。だから、合同トレなどはせず、ゆるくやっていくことになりました。
試合中の一幕
ア式は、選手も含めて全員が運営に関わっています。それで、最近はミーティングをバンバンやっています!
プレーできなくなった分、運営に目が向きやすいのかも。部内規律の見直しなど、今だから本腰を入れて取り組める活動もあります。普段は手の届きにくい部分にも取り組む時間ができました。
オンライン新勧から、Youtube投稿まで!?
対面で新勧できない中でも、サッカー経験者の新入生と連絡を取り合っていて、入部してくれた学生は結構います。ただ、やはり例年の部員数よりは少ないのと、サッカー未経験者のスタッフが全然入部してくれていないですね。私は新入部員と直接会ったことはないんですが、オンラインで自己紹介会やレク会をして交流しています。
さらに、ア式蹴球部は以前から文京区の子どもたちに向けたサッカースクールにも取り組んでいました。これは、3月末から中断していたんですが、4月には部員がYoutuberになって毎週2本ずつ動画投稿を始めました(笑)5月に入ってからは、Zoomを使ったサッカースクールも始めました。
とはいっても、画面を見ながら部屋の中でサッカーをするのは大変なので、クイズ大会をしたり、丸めた靴下でリフティングしてもらったりと、試行錯誤しながらやっています。身体を動かしたいっていう需要があるみたいで、なかなか好評です。部員もだんだんYoutuber化というか、画面に向かって喋るのが上手くなってきました(笑)
youtuberの佐原さん
Zoomを使ったサッカースクールの様子
自分たちが情熱を燃やすスポーツが「不要不急」
活動自粛を要請される中で感じたのは、「私たちが情熱を燃やしているスポーツは不要不急なんだな」という悲しさでした。
でもみんな、サッカーが楽しいから、今まで続けてきたんです。活動が解禁されたら、「やっぱりサッカーって楽しい!」という気持ちを全力で感じていきたいです。
もちろん、プレーすることだけがサッカーではありません。今やっている、オンラインで組織を良くしていく活動もサッカーの一部です。この両方の楽しさを自分から獲りにいくつもりで頑張っていきたいと思っています。
引退するまでの目標は、試合運営長として、リーグ戦のハーフタイムにイチ公(東京大学運動会マスコットキャラクター)とのPK対決を企画することなんです(笑)それが終わるまでは引退できないですね。早く新型コロナウイルスが終息して、サッカーやリーグ戦に全力で挑めるのを、心待ちにしています!
取材中2
今回の取材の中で見えてきたのは、悔しさを抱えながらも、ゆとりや明るさを失わず、頑張り続ける。サッカーへの想いを持ち続け、今できることに全力を注ぐ。そんなア式蹴球部員の強さでした。
大学スポーツでは、試合や全体練習がなくなり、部活の外から見える活動がどうしても減っています。しかし、今も全力でスポーツに取り組んでいます。頑張る部員たちをこれからも応援していただけると嬉しいです。
「新型コロナウイルスと東大スポーツ」特集は、今後も様々な部活を取り上げていく予定です。次回もお楽しみに!
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