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パニック障害が教えてくれた事④暴露療法でパニック症状を改善した話

私は妊娠中・授乳中からパニック障害になったので、最初から薬なしで改善しようと考えていました。
そこで「暴露」という行動療法でパニック症状を改善しようと考えました。
暴露とは、実際に自分がパニックになりやすい場所や状況に身を晒して徐々に慣れていくという行動療法の1つです。
最初は不安や恐怖がありますが、いきなり無理をするのではなく、段階的にできる事や慣れる状況を増やしていくのです。


この方法は結構大変でしたし、私の場合は時間もかかりました。
最初はものすごく怖いです。
何度も「もう2度と運転できなくてもいいや」と投げ出したくなりました。
ただ、私の場合は良くも悪くも車が無いと生活できない場所に住んでいたので、克服する必然性があったのですが、もし運転しなくても困らない場所に住んでいたらこのまま克服できなかったかもしれません。


私の場合は車の運転をイメージするだけでパニックの症状が出る時期があったので、比較的体調が良くて時間に余裕のある時に「車に乗って鍵を回す」というイメージトレーニングを始めました。
そして、しばらくしてそれが難なくできるようになると実際に車に乗って鍵を回す事をしました。
そこでパニックの症状が出たら一旦辞めて、また体調が良く精神的余裕のある時にトライします。
そして、鍵を回す事に慣れると、次は近所を運転してみたり、少しずつ運転できる距離を伸ばして行きました。

暴露療法はうまくいく日もあれば、突然酷いパニックになった日もありました。
最初の頃は運転できない自分を責めたり、なかなか症状が改善しない事に落ち込んだり、焦りが募ったりしていました。

暴露療法を続けて少しずつ運転ができるようになった頃、自分がどういう状況でパニックになりやすいか分析してみる事にしました。
パニック症状が出やすい時の状況・環境、その時の自分の体調はどうだったのか、思い出して記録し、発症時の共通項を考察しました。


運転中パニックになった時の状況

・晴れた日
・前後左右、車に囲まれる
・交通量が多い3車線
・渋滞や信号の一時停止など、動きを止めなくてはいけない状況
・トンネル
・離合できない1車線や橋の上
・慣れない道
・高速道路(ほぼ100%酷いパニックになったので、自分で運転できるようになったのはここ最近。)


パニックになった時の自分の状況
・熟睡感が無い、いつも眠い
・疲労感、倦怠感が強い
・時間ギリギリでの出発、焦っている
・同時進行のやる事が多くて焦っている
・誰かと待ち合わせ、時間の決まっている予定に向かう時
・コーヒーやほうじ茶を常用


こうして幾つか挙げてみると、「晴れた日」「逃げ出せない」「静止する」「初めて」の場所や状況が私の場合はパニックになりやすいようです。

そして自分に関しては「時間的・体力的・精神的に容量オーバー」な時にパニックになりやすいようで、その上誰かと待ちあわせしたり、自分の都合で予定変更できないような状況だと更に症状が悪化しました。

おそらく「もしパニックになって待ちあわせ場所に行けなくなって迷惑がかかったらどうしよう」という予期不安が強くなった為だと思います。
当時は自分がパニック障害になった事を身近な友人知人に伝えていませんでした。
理解してもらえないだろうと思っていましたし、こんな事を言っても相手が返事に困るだろうなと思ったからです。
1人で抱え込もうとする性格もパニック障害を引き起こす原因だったかと今なら思います。
容量オーバーになりやすいんですよね。


暴露療法をするうちにいろんな事に気づくようになりました。
パニック障害になる前は、自分が疲れている事すら責めていた事があったん
です。「なんでこのくらいの仕事量で疲れているの、弱い、甘えてる」と自分を責めていたんです。
今なら「今日は頑張ったなあ。疲れたから暖かいお風呂に入って早く寝よう。」と自分を労ったり、ケアしたりするのに。            なぜパニック障害になる前の自分はこんなに自分の体調や気持ちに無関心で、その上意地悪で冷たかったのだろう、、、、と気づきました。


そして、以前の自分は「1度でも失敗したらもう次は無い」というくらい強拍的な考えを持っていた事に気付きました。
パニックになったばかりの初期の頃はパニック障害になった事を認めたくなかったし、パニック障害だけでなく鬱病や精神的な病気になる人に対しても弱くて甘えた人間だと思っていました。
パニック症状がやってきたら「もっとしっかりしなさいよ!」「なんて自分は弱くてダメな人間なんだ!」と責めるだけでした。
実際はその方法は全くパニック症状の改善には繋がりませんでした。
かえって焦ったり不安感が強くなり、症状が重くなりました。


ですので、暴露療法をする時には「もしパニックになったら〇〇をすれば大丈夫」という心を落ち着かせる安心材料を持っていくようにしました。

「パニックになったらこの飴を舐める」

「もしパニックになったら離合できるような道に行けば大丈夫」とか、

「遅れそうになったら運転前に連絡を入れよう。」など。

また、途中でパニックになって運転できなくなった場合に備えて、前もって代行業者の連絡先をスマホに登録したりしました。
安心材料は沢山あればあるほどいいです。

また、私の場合は運転前になるべく不安材料を解消するようにしました。
「今日は睡眠を沢山取ったから大丈夫」
「時間に余裕があるから大丈夫」
「この道は前もって試しに運転したところだから大丈夫」など不安に思う点を1つずつリストアップして解消するようにして行きました。

パニックになる自分を責めない、むしろパニックになるリスクを負ってでも暴露に挑戦した自分を褒める。
どんな状況にあっても自分を見捨てない、味方をする、励ます。

「パニックになったらどうしよう」ではなく「パニックになっても大丈夫」という安心材料を少しずつ増やしながら暴露療法を続けた事が回復の歩を進めていったように思います。


続きます。次は暴露療法以外でパニック症状の改善のためにやった事を綴ります。

(写真・文 うつろぎ)


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