イスラエル留学で感じた、異なる社会へなじむための考え方
「私を変えたあの時、あの場所」
~Vol.21 イスラエル/エルサレム・ヘブライ大学 ~
本コーナーでは、東京大学にゆかりのある先生方から海外経験談をお聞きし、紹介していきます。
今回は、鶴見 太郎先生に、イスラエルでの留学当時のご体験をお伺いしました。取り上げた場所については こちら から。
ヘブライ語学習と資料収集のため、イスラエルの大学へ
――はじめに留学のきっかけについて教えてください。
鶴見先生: パレスチナの地にユダヤ人の民族的拠点を作ろうとするシオニズムという思想や運動について研究していたので、そのために必要なヘブライ語の学習と資料収集のために、イスラエルの中心的な大学を選びました。いわゆる留学みたいなのがしたかったわけでは必ずしもありませんでした。
初日にトラブル。院生仲間の壮行会が支えになった
――現地に着かれての出来事についてお聞かせください。
鶴見先生: ヘブライ語学校の夏季講座開始のわりと直前に到着して、すぐに手続きをしなければならなかったのですが、スーツケースの車輪が壊れたり、お金を出せるATMがすぐに見つからなかったり、探すためにタクシーに乗ったら運転手の地元の隣町まで連れていかれて高いタクシー代を取られたり、いろいろと予定通りに進まなくて、初日に心がかなり折れそうになりました。その後の順調な展開を考えたら大した問題ではなかったのですが、そのときは張り切っていただけに、出鼻をくじかれた気がしたのかもしれません。
――初日はトラブル続きだったのですね! そんな中でも、支えになったのはどんなことでしたか?
鶴見先生: 留学する直前に院生仲間が壮行会を急遽開いてくれたことがありました。そのことが思いのほか心の支えになって、あれだけやってもらったのだからここは頑張らねばと思いなおしました。これは留学に行く人に対するアドバイスというより、留学に送り出す側になるときに、そういうのは結構大事だということを思い出していただければと思います。
考え方を変えてみれば、慣れない文化も楽しめる
――異文化に触れることでご自身が「変化した」と感じることはありましたか?
鶴見先生: 行く前から言われていたのですが、イスラエル社会のガサツな感じには最初はイライラすることがあったかしれません。今ではそれはそれで心地よいと感じるまでになっています。「郷に入っては郷に従え」ということなのですが、その心は、自分が入った社会のやり方を受け入れる(つまり、自分がそれを許容する)ということだけでなく、自分が(日本では許されなそうなことでも)そうしても許されるのだと考えると、そのモードを楽しもうという気になってくる、ということです。
――なるほど、「自分も許される」と考えれば前向きになれますね。帰国されてから留学体験が活きているなと思うことはありますか?
鶴見先生: 月並みですが、日本や欧米とは違った社会があるということ、そして、その社会もそれはそれで回っているということを体感することは、社会は結構いろいろな形がありうると考えられるようになるうえで大きかったと思います。
▲エルサレム旧市街の一角から、有名な岩のドーム(金色のドーム)と、さらにその左奥(かすかに見える稜線のところ)にある、留学先のヘブライ大学のキャンパスを撮影。
学部生のときこそチャンス。早いうちにチャレンジを
――最後に、留学や国際交流をしたいと考えている学生に向けて、メッセージをお願いします。
鶴見先生: 私は院生(しかも博士課程)という、落ち着いて研究すべき立場で留学したので、留学ライフを満喫するという感じではなく、語学学習や研究の毎日で、たまに遊ぶという感じでした。学部生のときに留学していればもう少しいろいろと遊びまわることもできたのかなという気がします。チャンスがあるならば、多少無理をしてでも早いうちに、また、どうせ行くならあまりよく知らない国に行ってみるといいと思います。
今でこそ、イスラエルは食事の質が上がってきた気がしますが、今から10~15年ほど前は、基本的にどれもあまりおいしくありませんでした。食事の面では早く日本に帰りたいと常々思っていて、成田からの帰り道で食べた立ち食い蕎麦さえ、とても幸せに感じました。どこでもいいから留学したいと思っている人は、食事の評判がいい地域を選ぶのも手です。もちろん、そうでないところで工夫してサバイブするのもそれはそれで重要な学びだと思います。
――ありがとうございました!
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