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夢と現実の間

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#恋文

かくれんぼ

浮上したかと思えば、恥ずかしくなったのかまた姿を隠す。

そんなきみはとても可愛い。

きみに触れたくて、きみのあとを追う。

たまに追いついて、一緒の時間を過ごす。

そしてまたきみはすぐ隠れるから

必死になって追いかける。

必死にならなくてもタイミングは大体一緒なんだけど、あとで、なんて悠長なこと言っているときみはすぐ潜ってしまう。

追いつきそうで追いつかない。

気づけば今日も一日中き

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もどることは進むこと

身体が冷えたのを感じて起きた。上にかけてあったはずの3枚すべてがずれていて、履いていたはずの靴下も脱げていた。

ああ、生まれたまんまの姿に戻りたくなったんだな。無駄なものは取っ払って、まっすぐ、より人間らしく。

人間は弱いから、すぐ武器や鎧を手に入れたがる。あんなに重いものを身につけて、昔の人はよく疲れなかったなと甲冑とかを見るたびに思う。

現代でも武器をたくさん身につけている方を見かけると

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逃げた先にあるもの

逃げた場所が一緒で思わず笑い合って、そのまま逃避行してみたくなる衝動。それを恋っていうんだぜ

そんなメモを残す、14時24分。

逃げた先にきみの名前をみて笑ったよ。

考えることは一緒なのかなって。

それならもう一緒に逃げようか。

逃げた先に何があるかはわからない。

駄菓子屋に寄って帰ったあの頃から何も変わらない。寄り道とか遠回りとか、そういう言葉にどきどきする。

あの頃は何にでもなれ

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吸い殻

彼女が残した吸い殻を思わず、写真に撮った。

僕が吸っていた銘柄とはまたちがう彼女の煙草。

そこに彼女が確かに存在したことをのこしたくて、写真を撮った。

その数ヶ月後、彼女は別の男のところへいった。

その頃にはもう覚悟していたのもあって、そこまでつらくはなかった。

ただ涙がもう枯れていただけかもしれない。

しあわせになってくれればいい。

そんなふうに自分に言い聞かせて。

最後に残った

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