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同性婚と選択的夫婦別姓のバズツイートについて

素朴に分からないんですが、夫婦別姓にしても同性婚にしても、「選択肢を増やそうよ」という話なのに、それがなんで「家族観の崩壊」とか「出生率の低下」とか「子どもがかわいそう」とか、レイヤーの違う話になるんですかね。

a.k.a 黒木あや @krkbun(Twitter)

反対意見として、家族観と一体感の崩壊、即座に血縁者だとわかることの有用性、子供の苗字どうするんだ、みたいなところがおよそ多い気がしますが、つまり夫婦別姓とは現状だと選択肢として増やすことも許されないほどの完全不可能な問題であると解釈されているような感じがしました。

賛成も反対も一枚岩ではないでしょうが、反対派が家族観とか子供の苗字を気にしているあたり、同性婚裁判にかかる国の主張「婚姻制度は~子を産み育てながら共同生活を送るという関係に対して、特に法的保護を与えることにある」との考え方とかなり一致してそうです。

家族の一体感なんていつの時代の話ですかって気もしますし(私は何も感じたことがないのですが、大家族とか近所づきあいのある地域だと違うのでしょうか)、子供がいる前提の婚姻制度を是とするのは時代錯誤だなと思います。子は宝ですが、そもそも宝として見てこなかったのは国のほうでは?と言いたい。

まずは自分の人生を大切にしましょうね、という感覚が強くなっている時代だと思っているのですが、どうもその話と出生率の話、国全体の経済の話、将来性の話、個人主義の話と全体主義の話がぐちゃぐちゃになってしまっているように思えます。

そもそも婚姻制度を守ることや、子供を増やそうという取り組みが全体主義だと思っているのであれば、それについては短絡的と言わざるを得ません。保守的であることが必要なこともありますが、誰かが困っているのであれば、それにみんなで頭を悩ませる動きのほうが、よほど全体主義的ではないでしょうか。

同性婚や夫婦別姓の許容は、社会にあるマイノリティの抑圧、男女差別といった問題点を払しょくするための取り組みですから、社会の土壌改善です。検討が必要な課題であることは明白ですが、先に書いたように、反対派には「選択肢として増やすことも許されないほどの完全不可能な問題」と扱われている印象です。


はたしてこれが本当に「完全不可能な問題」なのかどうかを考えるにあたっては、やはり思想をブレイクダウンして、まずは皆が何を目指すべきか、どう在るべきか、人々はどうやって生きていくべきなのかを考えるところから始めるしかないでしょう。皆さんはどうやって生きていきたいですか?

どこまで掘り下げれば共通認識にたどり着けるのかですが(デカルトみたいですね)、みんなが「自分の人生を大切にする」ことは目指してもよさそうです。次のステップが「じゃあ社会の枠組みが必要で~」「家族観が~」「子供をたくさん育てて~」では、ちょっと飛びすぎな感じがします。

自分の人生を大切にするためには、アイデンティティ的な部分を、各々の自由を、まずは肯定してみたいですね。とはいえ人間ですから、社会という枠組みにおいて、他者との関りがゼロでは成立しません。相互互助的な価値観は、そのあとで登場してくるものだと思います。誰に何をしてもいいわけではない。

自分の価値観を大切にしている人は、他人の価値観を蔑ろにすることはできません。他者に何かを強要したりすることができる人間は、すなわち、自分の中にある価値観を、何者かによって強要して捨てさせられることを肯定しているとも言えます。

だから私は、苗字を変えさせられることに対して強い抵抗感がありますし、逆説的に言えば、同性との結婚を強いられるのであれば苦痛を感じます。なので誰かが別姓で婚姻制度を受け入れたいと思えば、同性婚を求めれば、反対はしたくない。可能な限り寄り添って応援したいと思います。

それをスタート地点にしたときに、果たして「家族観の崩壊」とか「出生率の低下」とか「子どもがかわいそう」とか、本当にクリアできないような問題ですか?同姓婚が維持されている現状で、この問題って発生していないんですか?別姓が可能になったら悪化するんですか?本当に?


肯定派が別姓を選択するとは限らず「選択肢を増やしたい」と思っているだけの人かもしれないということに対比して、否定派が自分の姓がどうかに関係なく他人の姓を「配偶者と同じにしろ」と言っているという構造が不思議です。重さが同じなら前者が勝つ認められるべきではと思っています。

ただそれだけなのですが、どうも否定派のサイレントマジョリティーにこの辺りが上手く伝わっている気がしません。否定派も肯定派も極端な大声の人ばかりなので、どちらの意見も美しくは見えないと思いますが、少しでも興味を持たれた方が、この記事で全体像を理解できるといいなと願っています。

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