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兎がほざく

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ショート•エッセイ、140字以内。毎日投稿、どこまで続く?
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2023年12月の記事一覧

兎がほざく1003

兎がほざく1003

横浜からマルセイユまで船で四十日ほどだったそうです。

船酔いと熱帯の暑さをしのぐ旅。

日本籍の客船では西洋のマナーや言葉の講習を提供していました。

時々今の方が西洋の文化からかえって遠い気がします。

写真を撮ってみやげを買うだけでも海外旅行になるからです。

兎がほざく1002

兎がほざく1002

理解してもらえないことではなく聞いたり読んだりしてもらえない良識のむなしさ。

民主主義に限らず政治とはそういうものなのでしょう。

殿様の好き嫌いと多数の人の好き嫌いとはそんなに変わりません。

ただ政治家は地獄耳の側近がいないと情報一つ満足にとれないのです。

兎がほざく1001

兎がほざく1001

現実とはドライフラワー。

わたしたちが現実と思っているものは全て過去です。

本当の現実はこの今だけ。

時の流れに過ぎ去り、再現は不可能です。

一刻一刻花は咲き、ただちにドライフラワーになります。

空や無という言葉が似合うのですが花が咲くのは愛しいです。

兎がほざく1000

兎がほざく1000

連載千回となりました。
読んでくださるみなさまに感謝しています。

きっと自分に正直に書いてきたので続いたのです。

だからこれからも書けるものを書き続けます。

ここは友だちのいないぼくが他人に話しかける貴重な機会なのです。

だからこれからも毎回真剣に書いてゆきます。

兎がほざく999

兎がほざく999

ジョイスがダブリンを一つの世界と見立てるように、芭蕉はみちのくを詩心の世界と見立てたのでしょう。

日本の山岳宗教は山の各所に宗教性を見立てて一つの曼荼羅とします。

世界の建立に成功した場所が聖地です。

めったに成功しないけれどそれはフィクションの仕事です。

兎がほざく998

兎がほざく998

世界が日本が今日明日にもたいへんなことになるという報道や論説はたいてい誇張を含むと思ったほうがよいと思います。

世の中の激変にはそれを抑えようとする力が働いて綱引きになります。

冷静に綱引きの帰趨を見極めるのがはるかに大事です。

ローマは一日にして滅びず。

兎がほざく997

兎がほざく997

ハーメルンの笛吹きに村中の子どもがついて行ってしまった話。

今の世の中にも笛吹きがいます。

人間には笛吹きを求める心があります。

自分に尽くせと言われてよくぞ肩を押してくれたと思うような。

先に仲間入りした者の勝ちと。

笛吹きは人気に敏感でその辺の計算がうまいです。

兎がほざく996

兎がほざく996

きれいなもの、珍しいもの、そして怖いもの。

それだけでは人は見に来ません。

わたしも見てきた、うんと笑ったり泣いたりしてきた、とあとで思えるもの。

だからお金を払って見に来るのです。

見た人が自分自身の表現を託してさらに他人に伝えられるようなものでしょう。

兎がほざく995

兎がほざく995

キャンプファイアーの記憶。

火は人々の役に立つ一方で危険なものでもあります。

この世の現実を象徴します。

互いに炎に顔を照らされてそれぞれ言葉を重ね合いながら、危なくないように火勢を収めてゆくのです。

人と世界との付き合い方の縮図だと思います。

兎がほざく994

兎がほざく994

自分のリアリティをなるべく大切にしたいです。

作り物の虚像は自分には本来無関係のものです。

そして虚像は人様の記憶から消えるのも速いです。

等身大は結局しぶとく強いのです。
他人にはなかなか消せませんから。

等身大であってこそ演技もリアルになります。

兎がほざく993

兎がほざく993

からだを大事にしてください!

この言葉ほど広く通用するものはめったにないです。

気をつけて、でなくて、大事にして、というとからだの優先順位は上がりそうです。

からだに、でなくて、からだを、というとからだの重要度が強調される気がします。

これを言うだけでも立派な愛です。

兎がほざく992

兎がほざく992

他人の機嫌をとって暮らすというと情けなく聞こえますがやってみるとむずかしいものです。

その場をしのぐだけでなくて飽きられないように続けるのはたいへんです。

他人に依存しようという心がけではプロになれません。

こちらで相手の機嫌を預かれれば大したものです。

兎がほざく991

兎がほざく991

わたしたちはもう江戸時代の生活には戻れません。

戦前にだってそれは結局無理でした。

輸入を絶やさないことが政治でも経済でも最優先です。

どんな主義主張もこの前提を乗り越えることはできないでしょう。

わたしたち日本国民は一人の例外もなく滔々たる濁流の住人です。

兎がほざく990

兎がほざく990

こんなふうに思ってみることにしました、ここしばらく。

人間誰しも自分のことがかわいい。そうでない人なんかいない。
それが一階。

そのうえで二階はやさしかったりするけれど、あてにしちゃいけない。

親子兄弟友人同胞、全て二階のこと。

二階建てだからお互い怨みっこなし。