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うたふ兎🐇宇治 君秋
2024年5月26日 15:52
旅路を続ける師は同行の弟子に語る。「同じ仏の名を唱えているように見えるが、一回一回がこれ一回きりなのだ。時はひとときも止まらず変わる。自分も変わる。だから全く同じことなどただの一回だってないのだ」弟子が問う。「ではなぜ繰り返すのでしょうか?一回で十分ではないでしょうか?」「呼びかけがあり、答えがあり、またそれに呼びかけがあり、また答えがある。一回一回、そういうやり取りの中の一回なの
2021年1月11日 13:59
だらだらと隅田川の方に下る坂の途中に、その和菓子店はある。 早春の昼前、眼鏡にリュックの男が店に入ると、七十代と思しき白衣の店主が声をかける。「いらっしゃい」「金龍を一つ、大きい方で」「包み方は普通で?」「はい」 店主が菓子を包む後ろ姿に、男が話しかける。「正月明けにこちらに来て、俳句ができました。」「ほう、それはそれは」 男は俳句を朗詠するかのようにゆっくり口ずさむ。「松明