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小説集

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#超短編小説

旅路 【超短編】

旅路 【超短編】

旅路を続ける師は同行の弟子に語る。

「同じ仏の名を唱えているように見えるが、一回一回がこれ一回きりなのだ。時はひとときも止まらず変わる。自分も変わる。だから全く同じことなどただの一回だってないのだ」

弟子が問う。

「ではなぜ繰り返すのでしょうか?一回で十分ではないでしょうか?」

「呼びかけがあり、答えがあり、またそれに呼びかけがあり、また答えがある。一回一回、そういうやり取りの中の一回なの

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菓子の棚

菓子の棚

 だらだらと隅田川の方に下る坂の途中に、その和菓子店はある。
 早春の昼前、眼鏡にリュックの男が店に入ると、七十代と思しき白衣の店主が声をかける。
「いらっしゃい」
「金龍を一つ、大きい方で」
「包み方は普通で?」
「はい」
 店主が菓子を包む後ろ姿に、男が話しかける。
「正月明けにこちらに来て、俳句ができました。」
「ほう、それはそれは」
 男は俳句を朗詠するかのようにゆっくり口ずさむ。
「松明

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