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【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE22)

 オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第22回は「工学部指定平均点」の発展的な部分についての出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

CASE22 【指定平均点】

【問題】
理科X類2年の鍔江(つばえ)君は工学部志望である。彼の1Aセメスター終了時の工学部指定平均点は5.0点であった。この時、画像にある彼の2S終了時の成績表の空欄を埋める重率の値の組として適切な選択肢を選びなさい。

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【選択肢】
① ア(0.1, 0.1)
② イ(0.1, 1)
③ ウ(1, 0.1)
④ エ(1, 1)

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知識の確認

 今回は工学部指定平均点における追い出された科目の重率について考察する。工学部指定平均点は、追い出された科目の重率は「0.1または1」と定めているが、これはどういうことだろうか?なお、以下では簡単のため、追い出された科目が1科目である、という前提で話を進めていく。

■追い出された科目の重率
 前回のCASE21は工学部指定平均点の基礎的な部分を紹介し、追い出された科目についてはあまり触れてこなかった。というのも、追い出された科目とは、『履修の手引き』94ページにある

文科一類・二類・三類生
    (中略)
8)上記以外で2S2ターム・2Sセメスターまでに単位取得した基礎科目 (重率0.1または1)(注4
9)上記以外で2S2ターム・2Sセメスターまでに履修科目登録した展開科目・総合科目 (重率0.1または1)(注4
理科一類・二類・三類生
    (中略)
6)2S2ターム・2Sセメスターまでに単位取得した任意選択の基礎科目 (重率0.1または1)(注3
7)上記以外で2S2ターム・2Sセメスターまでに履修科目登録した展開科目・総合科目(重率0.1または1)(注3

に該当する科目のことであるが、その重率は「0.1または1」という、特殊な定め方がなされているからだ。

 この定めの意味は注に書かれている。すなわち、

算入することにより「工学部指定平均点」が大きくなる場合に限り重率1。小さくなる場合は重率0.1。

ということである。

 …どういうことだろう?追い出しを“された”科目により「工学部指定平均点」が大きくなる場合は存在するのかだろうか?──当然、存在する。

追い出された科目の工学部評点が、追い出す直前の工学部指定平均点よりも高い場合、その追い出された科目は工学部指定平均点を押し上げる効果をもつ。したがって、このような場合に、追い出された科目の重率が1になる。これと同様の現象を、CASE17(https://note.com/ut_base/n/n117b325918c3)で紹介した。詳しい説明はそちらに譲るので、リンクから読んでほしい。CASE07(追い出し)CASE04(重率)で説明したことの併せておさらいすると、

・単位数や重率に関係なく、「ある科目の成績>その時点の加重平均」であれば加重平均はその科目を算入することで上がる。

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・その科目の重率が大きいほど、平均点の上げ幅も大きくなる。

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・このような状況は、例えば基礎科目が苦手で、総合科目が大得意、といった差がある場合に発生しやすい。

 よって、工学部指定平均点のこの措置は、できるだけ学生が工学部指定平均点を上げやすくするためのものだということができる。逆に、追い出された科目の工学部評点が工学部指定平均点より低いときは、平均点を下げる方向に働くので、影響を小さくすべく、重率は0.1になる。

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■追い出しの効果の再考
 基本平均点のもとでは、追い出された科目の重率は0.1(基礎科目の落単分については0)だと決まっていたが、重率が1となる場合を加味すると追い出しの意味が変わってくる。工学部において、追い出しは次の2つの働きを持つ。

①成績が低い科目が平均点に与える影響を小さくする働き(重率0.1)
②重率1の枠を拡張して自分の得意分野で平均点を押し上げる働き(重率1)

 ①は従前の追い出しのイメージなのでいいとして、②はどういうことだろうか?例えば、必修の基礎科目がありえないくらい苦手で、すべて「50可」の生徒がいたとしよう。このような生徒は、基礎科目(社会科学・人文科学除く)は追い出しが利かないので、総合科目で頑張らないと平均点が上がらない。基本平均点の仕組みの下では、総合科目のうち重率1で計算される単位数はたかが知れているので、いくら総合科目の追い出しを頑張っても十分に基本平均点を上げることはできない。しかし、工学部指定平均点の仕組みの下では、算入することで平均点を押し上げる科目は重率1で計算されることになるので、頑張れば頑張っただけその成果がそのまま反映されることになる。基本平均点の仕組みの下では総合科目E~F系列は成績上位6単位しか重率1にならないが、工学部指定平均点の下では、6単位以上、重率1にすることができる。これが②の働きだ。


☕Coffee Break
 よく、文科三類の総合科目L系列の枠の大きさを指して「文三はL系列で無双できる」といったことが言われるが、工学部志望の学生も「L系列無双」が可能である。例えば、英語が得意科目なのであれば、「英語中級」をたくさん履修して優上を連発しよう。そうすれば、工学部指定平均点の上記仕組みにより、「英語中級」の各単位の重率が1となり、工学部指定平均点を底上げすることに資するだろう。(「英語中級」がたくさん履修できる理由はCASE14を参照。)
 もちろん、英語に限らず第二外国語でもいいし、L系列にとどまらず他の総合科目でもいい。任意選択の基礎科目であっても、重率を1にすることは可能だ。つまり、工学部では自分の平均点を底上げする手段がたくさん用意されている。使わない手はないだろう。

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【選択肢】
① ア(0.1, 0.1)
② イ(0.1, 1)
③ ウ(1, 0.1)
④ エ(1, 1)


【解答】
②(イ)

【解説】
 以上説明したことから、追い出された科目の工学部評点と現在の工学部指定平均点の工程により、その重率が決まるとわかる。鍔江君の1Aセメスター時点での工学部指定平均点は5.0点である。
 2S終了時、追い出された科目は「E2」と「E3」であることがわかる。これらの工学部評点はそれぞれ、4点と6点である。「E2」の工学部評点はその時点での工学部指定平均点(5点)よりも低く、「E3」は高い。
 よって、重率はそれぞれ、0.1と1である。したがって②(イ)が正解である。(なお、複数個の追い出しが発生している場合、他に履修した科目の影響で重率が変わる可能性もあるが、その際は最も平均点が高くなるように計算されるはずである。)
(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は「農学部指定平均点」の問題を出題する。お楽しみに!


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