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【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE21)

 オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第21回は「工学部指定平均点」の基礎的な部分についての出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

CASE21 【指定平均点】

【問題】
工学部志望の学生AとBがいる。Aはすべての履修科目において等しく83点、Bは80点を獲得している。両者とも「前期課程修了要件」を満たしているとする。進振り第一段階の両者の進振り点の差に最も近いものを選べ。

スライド85

【選択肢】
① 0点
② 0.5点
③ 1点
④ 3点

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知識の確認

 今回は、指定平均点で最も有名な「工学部指定平均点」を紹介する。工学部に進学を考えている方には必須の内容だ。今回は工学部指定平均点の基礎、次回は発展的な内容を取り扱う。

■指定平均点
 指定平均点とは、特定の進学単位(学部・学科などのこと)で個別に設定された、進振りのための成績評価基準である。通常、進振りにおける成績等の評価は「基本平均点」を用いるが、学部学科等は任意に「指定平均点」を設定することができる。指定平均点が置かれている場合、その進学単位の進振りに参加する学生はすべて、基本平均点ではなくその指定平均点を用いる。指定平均点は(基本平均点もそうであるが)2S2ターム・2Sセメスターまでに履修した単位数と成績から算出される。
 また、『履修の手引き』56ページに掲載の②~⑧のルール、(2)の指定重率・履修点(CASE20で扱った)のルールは指定平均点についても適用される。

 指定平均点は2020年現在、
・後期教養学部の超域文化科学の第二・三段階
・工学部(全学科)の第一~三段階
※工学部システム創成学科の第二段階は「システム創成学科第二段階指定平均点」が別途用意されている。
・農学部(全専修)の第一・三段階
で設定されている。そのうち、後期教養以外では、基本平均点の決まりをベースに指定平均点を算出するので、まずは基本平均点を理解しておく必要がある。

スライド86

<参考>
『履修の手引き』56ページ、94~95ページ

■工学部指定平均点
 工学部指定平均点は『履修の手引き』94~95ページにまたがって掲載されている。それでは、このページを参照しつつ工学部指定平均点の算出方法を学習しよう。

 工学部指定平均点は、基本平均点の算出と同様の操作を行うことで算出することができる。基本平均点の算出と同様ということは、『履修の手引き』55ページの表をベースに重率を決定していくということだ。基本平均点と大きく異なるところは、各科目の点数を「工学部評点」に置き換える、ということだ。

<工学部指定平均点算出手順>
①重率が1である科目の決定
 『履修の手引き』55ページに掲載の表(文科生は「1)」~「7)」、文科生は「1)」~「5)」)を基に、その区分ごとに条件を満たしつつ、成績順で上位から指定された単位数を重率1で確定させる。(CASE04を参照)

②追い出された科目の重率の決定
 ①で重率が決定しなかった科目は、追い出された科目である。これらの重率を決定しよう。工学部指定平均点では、『履修の手引き』55ページの表に対して以下のような変更が加えられている。

文科一類・二類・三類生
    (中略)
8)上記以外で2S2ターム・2Sセメスターまでに単位取得した基礎科目 (重率0.1または1)(注4
9)上記以外で2S2ターム・2Sセメスターまでに履修科目登録した展開科目・総合科目 (重率0.1または1)(注4
    (中略)
(注4)算入することにより「工学部指定平均点」が大きくなる場合に限り重率1。小さくなる場合は重率0.1。
理科一類・二類・三類生
    (中略)
6)2S2ターム・2Sセメスターまでに単位取得した任意選択の基礎科目 (重率0.1または1)(注3
7)上記以外で2S2ターム・2Sセメスターまでに履修科目登録した展開科目・総合科目 (重率0.1または1)(注3
    (中略)
(注3)算入することにより「工学部指定平均点」が大きくなる場合に限り重率1。小さくなる場合は重率0.1。

 基本平均点との違いは、基本平均点では追い出された科目の重率を0.1で確定した(ただし基礎科目の落単を除く)が、工学部指定平均点では、追い出されても重率が1となる場合がある、ということだ。追い出された科目の重率が1となる場合については、次回詳細に検討する。

※指定重率(97ページ)がある場合はその重率を用いる。

③工学部評点への変換
 基本平均点と異なり工学部指定平均点は、各科目の点数を工学部評点に変換する必要がある。変換表は『履修の手引き』94ページに掲載されているのでそちらを参照されたい。元の評点に応じて0点~10点の幅で工学部評点に換算される。

④加重平均の計算
 以上の情報をもとに、94ページ記載の数式によって工学部指定平均点を計算する。

⑤履修点の加算
 履修点(99ページ)がある場合には④で計算した工学部指定平均点に加算を行う。

 なお、95ページでは56ページの④・⑤の修正が行われているが、④についてはCASE15CASE16を参照。

■シス創第二段階
 以上が工学部指定平均点の計算方法であったが、システム創成学科(通称「シス創」)A~Cの第二段階では、また別の指定平均点が定められている。シス創A~Cの第二段階では、上記で算出した工学部指定平均点に取得単位数を掛け合わせることで「システム創成学科第二段階指定平均点」とする。
 掛け合わせる取得単位数は、1S~2Sを通じて獲得した単位数であり、これには合否による成績判定の科目も含まれる。すなわち、「初年次ゼミナール理科」や主題科目もこの単位数に含めることができる。ということで、できるだけ多くの単位を獲得した人が圧倒的に有利である。ただし、算入できる単位数は90単位まで。したがって、「システム創成学科第二段階指定平均点」の満点は、(シス創には1を超える指定重率や履修点は存在しないので)10×90=900点である。
 総取得単位数を加重平均に掛け合わせるこの手法は、「農学部第一段階・第三段階指定平均点」にも用いられているので、農学部指定平均点で詳しく検討する。(CASE23)

問題の解説

【問題】

スライド85

【選択肢】
① 0点
② 0.5点
③ 1点
④ 3点

【解答】

【解説】
 学生A・Bはともに進振りの第一段階は工学部に志望登録しているから、第一段階の進振り点は工学部指定平均点である。よって、両者の工学部指定平均点を計算しよう。

<評点換算表>
評点→工学部評点
────────────
00~49→0
50~54→1
55~59→2
60~64→3
65~69→4
70~74→5
75~79→6
80~84→7
85~89→8
90~94→9
95~100→10

 上表によると、80点も83点も工学部評点では同じ7点であることがわかる。したがって、AもBも全科目につき、工学部評点で7点を獲得しているので、AとBの工学部指定平均点はともに7点であり、差はない。(工学部の履修点のところを見ると、履修点が0.1点の限度で加算される可能性があることがわかる。よって、A, Bどちらか一方のみが履修点の0.1点を得ている可能性も考えられるが、本問は「差に最も近いもの」なので、選択し①が正解であるとこには変わりがない。)
 なお、両名とも同じ点数を取り続けているので、仮に追い出しが発生していたとしても進振り点(基本平均点や指定平均点)に変化はない。よって追い出しの有無は結果に影響しない。
(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は「工学部指定平均点」の発展的な問題を出題する。お楽しみに!

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