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【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE20)

 オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第20回は「指定重率と履修点」についての出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

CASE20 【基本平均点の発展】

【問題】
X科Y類の学生AとBはともに、東京大学〇×学部UT-BASE学科への進学を志望している。AとBの成績は、画像に示す箇所のみで違いがあり、それ以外は点数を含めて完全に同一である。画像に示す条件の下では、AとBのいずれが内定するか?

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【選択肢】
① A
② B
③ いずれも内定しない

Twitterでの出題はコチラ

知識の確認

 今回は、基本平均点や指定平均点を部分的に変更するものである、学部学科ごとに用意された“進振り点のカスタマイズ手段”について解説する。

■基本平均点や指定平均点の変更
 進振りで他の学生との比較の尺度になるのは「基本平均点」である。しかし、学部等によって重視したいものが違ったり、点数の競争方法を変えたりしたい場合はどうしても存在する。そのとき設定されるのが「指定平均点」である。指定平均点が設定されている場合、その学部学科等の進振りで用いられる進振り点は基本平均点ではなく指定平均点になる。
 学生全員に共通して「基本平均点」という計算方法が用意され、特定の学部学科等を志望する学生には「指定平均点」が適用されるが、学科等によってはもっと「この科目の成績を重視したい!」といった多様な要望があるだろう。統一的な基準である基本平均点や指定平均点ではそういった要望に細かく対応することはできない。そこで用意されているのが「指定重率」と「履修点」だ。これらは、基本平均点や指定平均点の計算方法を原則としつつも、そのルールを部分的に変更するものである。今まで、これらをまとめて何気なく「進振り点」と呼んできた。
 基本平均点が指定重率や履修点により変更される単純な場合から、基本平均点が指定平均点に変更され、さらにその指定平均点が指定重率と履修点の双方による変更を受けるといった複雑な事態まで存在する。指定重率と履修点の両方ともが設定されている場合、指定重率を用いた進振り点を計算したあと、その進振り点に履修点を加算する。

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<参考>
指定重率と履修点の概要:『履修の手引き』56ページの「(2)指定重率・履修点」
指定平均点について:『履修の手引き』56ページ、「クイズ 進振りケース」CASE21~23
指定平均点の一覧:『履修の手引き』94・95ページ

■指定重率
 指定重率は、基本平均点や指定平均点で定められた原則的な重率を、特定の科目について変更するものだ。例えば、科目「UT-BASE論」の重率が本来「1」であるとすると、指定重率を設定すればその重率を「100」などの自由な値に変更することができる。
 指定重率の一覧は『履修の手引き』96~98ページに掲載されている。学部学科等によって条件が違うので、自分の志望先が掲載されていないか必ず確かめてほしい。逆に、この表に掲載されていなければ、指定重率は存在しない=すべて基本平均点や指定平均点の原則的な重率で処理されるということだ。
 指定重率の条件について、『履修の手引き』には科目の区分名やら科目名やらがたくさん書かれているが、「何のことを言っているのかさっぱり」という人は『履修の手引き』の64~86(、加えて7・12~21)ページあたりを参照するとよいだろう。

 また、98ページの末尾に書かれている注意書き

※「成績上位〇単位」とある場合、「成績上位〇単位」の中に1単位科目を含み、〇単位目が2単位科目となる場合、2単位のうち1単位に重率をかけ、もう1単位には重率をかけない。

にも目を通しておこう。「成績上位〇単位」に1単位だけかかって、1単位だけはみ出ている2単位の科目は、「成績上位〇単位」内の1単位は指定重率、はみ出した1単位は通常の重率で計算される。CASE15CASE16でも同様のことを確認したので、詳しくはこれらを参照されたい。

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■指定重率が設定されている場面
 指定重率を詳しくみてみると、指定重率は
  ・学科等(進学単位)がその科目を重視したい場合
  ・文科生と理科生を同じ土俵で扱いたい場合
に設定されていることが多いようだ。

前者は、諸刃の剣的な性格がある。指定重率が例えば「2」である、つまり、その科目の平均点に占める割合が大きくなっている場合を考えよう。
このとき、その科目で良好な成績を取れたとしたら、それは大きなプラスになる。逆に、その科目でそこまで良くない成績を取った場合、他の学生との差が拡大する危険性がる。
もっとも、指定重率は「成績上位〇単位」という形で設定されている場合が多く、失敗してもダメージを最小化する術(追い出しなど)が用意されている。

後者(文科生と理科生を同じ土俵で扱いたい場合)は次のような部分で見て取ることができる。

〇工学部の「初年次ゼミナール文科」の重率を0とする扱い
 この扱いは文科生が理科生に対して有利や不利にならないようにするためのものと捉えられる。理科生の「初年次ゼミナール理科」は、文科生のそれとは異なり、基本的には進振り点に算入されない。そのため、文科生の初ゼミの扱いを理科生の初ゼミの扱いに合わせる措置が講じられている。

〇「要求科目の重率は全て「1」とする」する扱い
 この扱いも文理の違いを無効化しようとしていると解すことができる。ここでの要求科目は理科生の必修(基礎科目)であって理科生はこれらの追い出しができない(=重率は1で固定される)。他方、文科生が履修する要求科目は総合科目として扱うので、追い出しが可能である(=重率を0.1にすることができる)。従って、文科生は追い出しというアドバンテージを握っていると考えられる。要求科目の重率を1で固定することで、実質的に追い出し不可にし、この差を埋めていると解釈できる。(そもそも要求科目自体が文科生にとってはディスアドバンテージなのでは…?)


■履修点
 履修点は、指定された科目を履修し単位を取得する(=落単は除く)と、進振り点全体に加点がなされるというものだ。加点は個別の科目の成績ではなく、基本平均点や指定平均点になされることに留意しよう。履修点は『履修の手引き』99~100ページに掲載されている。
 例えば、工学部の航空宇宙学科では、進振りの第二段階・第三段階において、総合科目F「図形科学A、図形科学B」どちらか一方の修得に対し0.1点が加点される。「図形科学A」を履修して工学部平均点が7.0点である学生は、航空宇宙学科の第二段階においては履修点0.1点が加点された7.1点で進振りに挑むことになる。

問題の解説

【問題】

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【選択肢】
① A
② B
③ いずれも内定しない

【解答】
① A

【解説】
 まず、A, BがUT-BASE学科に進学できるかを考えよう。両名とも「前期課程修了要件」を満たしているので、「進学選択が可能となる条件」も満たしており、問題なく進振りに参加できる。そして、UT-BASE学科には要求科目は設けられていないから、A, Bともに同学科に進学するための条件を満たしている。(要求科目についてはCASE19を参照。)したがって、③は誤りである。要望科目は関係ないので注意されたい。
 そうすると、Aの進振り点とBの進振り点のどちらがより高いかの勝負になってくるので、各々の進振り点を考えてみよう。
 今、画像に記載の成績以外はAとBで同一なので、画像の各2科目を除いた基本平均点は両者で等しい。この基本平均点を”xバー”とする。また、画像の各2科目を除いた単位数×重率の総和をnとする。
 「東大論」と「UT-BASE論Ⅰ」の違いであるが、後者には指定重率が設けられており、その重率が1から2に変更されている。従って、この時点での両者の基本平均点は以下の式で与えられ、この時点ではまだ両者の基本平均点は同じであることがわかる。

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 続いて、「東大史」と「UT-BASE論Ⅱ」の違いであるが、前者には1点の履修点が設定されている。Aは「東大史」を履修して79点を獲得し、Bは「UT-BASE論Ⅱ」を履修してAより1点高い80点を獲得している。この1点の得点の差はあくまで1科目の中での差であって、基本平均点で考えるとその差は1点未満になる。従って、この時点ではAの基本平均点がBのそれより数点だけ低くなる。
 そして、「東大史」で単位を取得することで得られる1点は基本平均点に上乗せされる1点なので、Aの基本平均点に1点が加算されるとコンマ数点だけBのそれより高くなることになる。

スライド86

 ということで、指定重率が高く設定されていたり、履修点がついたりする科目は積極的に履修するほうが良い。(もちろん、苦手科目をあえて履修して失敗しては意味がないので、自分の能力と勘案してほしい。)
(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は「工学部指定平均点」の問題を出題する。お楽しみに!

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