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【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE14)

 オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第14回は総合科目L系列の追い出しについての出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

CASE14 【追い出しの応用】

【問題】
「英語中級」の履修について疑問を抱いたP科Q類1年のRさんが、UT-BASE公式LINE(https://lin.ee/bGnPaZ8)で画像の通り質問を行った。そのときの返答としてふさわしいものを、画像の選択肢から1つ選べ。

スライド57

【選択肢】
① ア
② イ
③ ウ
④ エ

Twitterでの出題はコチラ

知識の確認

 今回は、総合科目L系列の追い出しについて解説する。総合科目L系列の外国語科目は、その基礎に、通常とは異なる例外的な事項があるので、やや複雑な追い出しの方法になる。まずは、その原則に対する例外を確認したうえで、具体的な追い出し方法の説明をしよう。

■履修制限の例外
 東大の履修の決まりとして、一度単位を取得した科目は二度と履修登録できない「修得済科目の履修制限」と、同一の科目は同一の時期に複数同時に履修できない「複数履修制限」がある(『履修の手引き』11ページ)。この「修得済科目の履修制限」により、既に単位を取得した科目については再度の履修ができないという帰結が導かれる。

 総合科目L系列の外国語科目はしかし、上記の2つの原則の例外であり、すなわち、一度単位を取得しても繰り返し履修できるし、同一科目を同時に複数履修することも可能である。なお、同一科目を2個以上履修した場合、それらの成績は個別に保存される。再履修のように一番良い成績だけが残るという訳ではない。
〈参考〉
『履修の手引き』23ページ
クイズ 進振りクイズ CASE09(←クリックすると記事に飛べます)

 以上に紹介した原則に対する例外が適用される総合科目は『履修の手引き』23ページによると、

L系列の大科目[国際コミュニケーション]の中の「外国語初級(「外国語初級(演習)①」、「外国語初級(演習)②」を除く)」「外国語中級」「外国語上級」

となっており、具体的に何がそれに該当するかというと、次の画像で赤く塗られた部分である。

スライド58

〈参考〉
『履修の手引き』69ページ

 なお、上記の科目に対しては、24ページでさらなる制限が加えられている。細かい条件なので割愛するが、総合科目L系列の外国語を1セメスター中に複数コマ履修する予定の人は見ておくことをおすすめする。さて、総合科目L系列の基本がわかったところで、具体的な科目ごとに詳細を見てみよう。

■文系の総合科目L系列
 文系の総合科目L系列は、『履修の手引き』9ページによると、
 ・「○○語初級(演習)①」2単位
 ・「○○語初級(演習)②」2単位
 ・「英語中級or上級」計3単位
 ・任意のL系列の科目 2単位
 ※○○には選択した第二外国語名が入る
の計9単位の履修が必須である(これら9単位は『履修の手引き』55ページにより、重率が1で計算される)。

▶️「○○語初級(演習)①・②」計4単位
 必修なのでこの4単位は必ず取得しなければいけないし、逆にこの4単位より多く履修することはできない。(総合L系列の外国語科目は「修得済科目の履修制限」の適用対象外であるが、「○○語初級(演習)①・②」はこの例外の例外になる。)
 つまり、単位を落とした(落単した)場合は再履修しなければならないし、点数が悪かったからといって追い出しすることもできない。悪い成績で単位を取得するとそれがずっと保存されることになるので十分に注意しよう。

▶️「英語中級・上級」計3単位
 追い出しができる事実上の必修である。条件付きで追い出しはできる一方で、再履修はできない。

 再履修は、「不可」や「欠席」の科目をもう一度履修し直すことで成績を塗り替える行為であったが、先ほど紹介した通り、英語中級は1回履修するごとに、その成績は別々に記録されるので、過去の成績を塗り替えることができない。したがって、これは再履修に該当しない。

スライド59

「英語中級・上級」の追い出しは、「英語中級・上級」を用いてのみ可能である。『履修の手引き』55ページと9ページの下部の注によると、重率が1になる科目として「英語中級・上級」は必ず3単位必要だから、「英語中級・上級」を他の科目で追い出した結果、その単位数が3単位を下回ってはならない。単位数を3に保つためには、「英語中級・上級」は「英語中級・上級」自身で追い出さなければならなくなる。

スライド60

▶️任意の2単位
 「○○語初級(演習)①・②」を除く好きな総合科目L系列の科目を2単位履修しなければならない。
 外国語科目は「英語中級」同様、再履修はできない。一方、追い出しは、「○○語初級(演習)①・②」を除くL系列の科目であれば、任意の科目で行うことができる。
※文科三類もまとめて扱っていますが、文科三類生はL系列だけではなくA~C系列とセットで考える必要があります。

■理系の総合科目L系列
 理系の総合科目L系列は、『履修の手引き』9ページによると、 理系の総合科目L系列は、『履修の手引き』9ページによると、 ・「英語中級or上級」計3単位 ・「英語中級or上級」計3単位の履修が必須である(これら3単位は『履修の手引き』55ページにより、重率が1で計算される)。
の履修が必須である(これら3単位は『履修の手引き』55ページにより、重率が1で計算される)。

▶️「英語中級・上級」計3単位
 追い出しができる事実上の必修である。条件付きで追い出しはできる一方で、再履修はできない。

 再履修は、「不可」や「欠席」の科目をもう一度履修し直すことで成績を塗り替える行為であったが、先ほど紹介した通り、英語中級は1回履修するごとに、その成績は別々に記録されるので、過去の成績を塗り替えることができない。したがって、これは再履修に該当しない。

スライド59

「英語中級・上級」の追い出しは、「英語中級・上級」を用いてのみ可能である。『履修の手引き』55ページと9ページの下部の注によると、重率が1になる科目として「英語中級・上級」は必ず3単位必要だから、「英語中級・上級」を他の科目で追い出した結果、その単位数が3単位を下回ってはならない。単位数を3に保つためには、「英語中級・上級」は「英語中級・上級」自身で追い出さなければならなくなる。

スライド60

▶️それ以外のL系列の科目
 「英語中級・上級」以外の総合科目L系列の科目を履修した場合、その重率は0.1になる(『履修の手引き』55ページの表「7)」)。
 「前期課程終了要件上」では、その科目の単位は「基礎科目・展開科目・総合科目・主題科目の最低単位数の他に取得しなければならない単位数」に算入される。

 以上をまとめると、次のようになる。

スライド61

問題の解説

【問題】

スライド57

【選択肢】
① ア
② イ
③ ウ
④ エ

【解答】
③(ウ)

【解説】
 以上「知識の確認」で説明してきた通り、「英語中級・上級」は何度でも履修することはできるが、その成績は上書きされることはなく、別個独立して保存される。(n個「英語中級」を履修したら、n個の成績(点数)が残る。)したがって、仮に「英語中級」で0点を取ったとしても、この0点を再履修で上書きすることはできず、0点は0点として進振りまで引き継がれることとなる。繰り返しになるが、「英語中級・上級」は何度でも履修できるものの再履修はできない。したがって、「2Sで追加的に履修できない」とする選択肢ア、「英語上級」で再履修できるとしている選択肢イは誤りである。

 また、「英語中級・上級」は過不足なく3単位が基本平均点に重率1として算入されるので、その3単位を維持するために、「英語中級・上級」を追い出せる科目は「英語中級・上級」に限定されている。例えば、「英語中級」を3単位揃えていたとして、それを「古典日本語」の2単位で追い出したら、重率1で計算される「英語中級」が1単位だけになってしまい、『履修の手引き』9ページの条件を満たさなくなってしまう。「英語中級」の2単位で追い出せば、2単位追い出して2単位補充されるので、±0になる。したがって、「英語中級」以外の科目で追い出せるとする選択肢エは誤りである。

 選択肢ウは以上の点に照らして誤りのない内容である。
(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は「英語中級」の特殊な追い出しの問題を出題する。お楽しみに!

補充問題

【CASE14 補充問題】
次の各文の真偽を確かめなさい。
1.「○○語初級(演習)①」は再履修できる。
2.「○○語初級(演習)①」は追い出しができる。
3.「英語中級」は同一セメスターに2コマ以上履修することができる。
4.「英語中級」で不可をとった場合、再履修することで成績を塗り替えることができる。
5.「古典日本語」は総合科目L系列なので、一度単位を取得しても何度でも履修できる。

【解答解説】
1. 必修なので、もし落単したら必ず再履修をする必要がある。正しい。
2. 追い出しは必要単位数より多くの単位を取得することで初めて行えるところ、「外国語初級(演習)①・②」の必要単位数は4単位であり、これは必修なのでこれ以上履修することはできないから、追い出しを行う余地は存在していない。よって誤り。
3.「複数履修制限」の適用外であるためできる。ただし、『履修の手引き』24ページにより制約が別途課せられているので注意されたい。正しい。
4.「英語中級」の成績は、履修した科目ごとに別個独立のものとして成績が付けられるから、“再履修”によって成績を上書きすることはできない。よって誤り。
5.「古典日本語」は、「修得済科目の履修制限」や「複数履修制限」の適用対象外となる総合科目L系列の「国際コミュニケーション」に属する科目ではなく、総合科目L系列の「古典語」に属する科目である。よって、この例外の適用はなく、誤り。 

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