小寺鏡子

アメリカの大学院の創作学科を卒業しこちらで小さな出版社で編集アシスタントをしております…

小寺鏡子

アメリカの大学院の創作学科を卒業しこちらで小さな出版社で編集アシスタントをしております。 海外で一人で子育てをし、もうすぐ子供も成人を迎えます。

最近の記事

Blurb(ブラーブ)とは?

アメリカの文芸編集者の仕事の一つにBlurberを探しBlurbをお願いすることがある。 Blurbとは短い作品紹介文で、アメリカの本の裏表紙を見ると大抵2、3は載っている。Blurberとはそれを書いてくれる作家さん。ちなみにこれは無償で提供していただくもので「読むよ」っと返事が来ても実際喜んで読んでもらわない限りは書いてもらえない。それだけに信用できるものかと思いきや。。。 アメリカの作家さんには大抵エージェントがついているので、作家さんまたはエージェントの知り合い、

    • アメリカで小説を出版するまでの道のり:エージェント編2

      「とても気に入った。でも一つお願いしたいことがある。お電話で話せるかしら」とメールには書いてあった。 エージェントからの書き直しリクエストはよくあることで、良いサインでもありナーバスにもさせるサイン。大抵のエージェントが無視をしたり9ヶ月後ぐらいに5文程度の感想と最終的な判断として、「私には売れる自信がない」などの丁寧な断り文が送られてくるのが一般的。私たち編集部にエージェントから届く原稿は、つまり彼らの手によって大きくアカが入り、一応完璧な状態で送られているのだ。近年では

      • アメリカで小説を出版するまでの道のり:ステップ箇条書き

        私はどんなに新年にブログを書く、ソーシャルメディアに参加する!と目標をたてても破る。なのでこのままこちらもやぶりまくってた。 原因は書きたいことがありすぎでパンクし、自滅することにある。そこでアメリカで小説を出版するまでの道のりをスッテップで書けばわかりやすいかもと思った。あくまで私の道のりです。 1.アメリカの大学院の創作学科に通う 2.そこである教授さんが大変親身になってお世話をしてくれる 3.卒業後もオンライン、格大学の運営する文芸誌に短編を送りまくる。載せてくれる

        • アメリカで小説を出版するまでの道のり:エージェント編1

          私の書き物人生はある二人の男性によって支えられたと思う。一人は14年近く前にクレッグズリストで見つけたおじさんで、初めて小説を書いた後、文法を直してもらうために格安でお願いした。朝の2時でも5時でも、私はいつでもアイデアや不安ごとがあるたび彼に電話した。彼はそれを許してくれる大切な親友だった。「でも、書き続けるんだよ。」私が自暴自棄になっても不安を打ちまいても、幸せでいっぱいでも、彼はそう私に言い続けた。そうして10年間彼は私を支え続けた。 でもあるときから彼は音信不通にな

        Blurb(ブラーブ)とは?

          アメリカ出版社、上司のジェニーちゃん

          2019年の年明け、上司のジェニーちゃんと私は、オフィスの下にあるカフェで二人会議を実行した。ジェニーちゃんはカプチーノをオーダーし、私はチャイを。そして二人で一つのパウンドケーキをシェアすることにした。「ここは私が払うわ!」と彼女は財布を出そうとする私の手を遮った。頼もしい限りである。上司をちゃんずけで呼ぶのは失礼なのかもしれないが、私より10歳年下で、最近婚約した彼女にはやっぱり “ちゃん”が似合ってる。 「鏡子、今年の目標は何?周りのお世話をするだけじゃなくて、あなたの

          アメリカ出版社、上司のジェニーちゃん

          アメリカで小説を出版するまでの道のり

          日本には文芸誌主催の新人賞でデビューする作家さんが多く、それはまさに筆一本で勝負しているわけだからある意味とても平等に思える。 それに比べてアメリカで多いパターンは創作学科の大学院を出て、(できればアイオワ大学などの有名どころ、)そのあとエージェントを見つけて、(芸能事務所のようなものでこれがよければ一年ほど、ひどい時には一生かかる、)そのエージェントを通して出版社に売り込む(編集者は名も無い新人の作品をスラッシュパイルと呼ばれる一番優先順位の低いグループに積まれる)と言う

          アメリカで小説を出版するまでの道のり

          息子、友人と遊園地へ行く

          16歳の息子は夏休み最後の本日、友人二人と遊園地へ行っている。アメリカはどこにいくにも車が必要で、朝私は3人を車で遊園地まで送って行った。 最後に彼らを私のホンダフィットに乗せたのは彼らがまだミドルスクール、7、8年生だったころ。あれからみんなぐんぐん背が伸びて、前に座った子は足を90度に折り曲げて座っていた。3人ともすごく嬉しそうに最初に何に乗るかの相談を真剣にし、その途中途中、会話は彼らの中学校の思い出話に脱線しながら45分の道中を行った。私は久しぶりに子供達の会話が聞

          息子、友人と遊園地へ行く

          莫言=言ってはいけない。ノーベル賞作家黙殺される

          莫言がノーベル賞を受賞した2012年、私はカリフォルニア州立サンフランシスコ大学の大学院で小説創作を学んでいた。私たち学生はひたすら、与えられた本を読み、語り合い、書いたものを見せ合い、それについてああだこうだ議論し、遂行し、再び書く。議論であげられた意見が果たして自分の作品に直接影響するのか?それはわからないが、刺激になる。創作学科の大学院生になって一番素晴らしいことはギルトフリーで昼間から書けることだ。学生だからと言い訳して私は働かなかった。散歩をし、小説(と息子の成長)

          莫言=言ってはいけない。ノーベル賞作家黙殺される

          真っ白でツルツルの恋愛脳

          男の人に愛された時の記憶が私にはない。愛されたことがあるのは覚えているのだがそれがどんな感覚か思い出せない。ぽっかり穴が空いているとか、トラウマで記憶がシャットアウトされているとかそんな大それたものではなく。あえて例えるなら、つるりとしたの脳みそみたいな感じだ。綺麗でシンプルだから問題も起こらない、でも、シワがなかったら表面積が少なくなるぶん情報へのアクセス数は俄然少ない。 愛があったから生まれたものがしっかりとした形を持って存在するのだから絶対にその過去は存在しているはず

          真っ白でツルツルの恋愛脳

          不安と貪欲

          何か書こう、なにか書こうとしてるんだけど、どうも一向に進まない。これではたとえエージェントがついたとしても、一点で切られてしまう。 どうして心配は常に取り付くのだろう。 一つ夢が叶うとそのかなった夢から不安が生まれる。誕生は不安を伴う。 大体生まれてくること自体が不安の誕生だ。体や心が存在しなければ不安の生きるホストがいない。つまり、これはウイルスと一緒なのだ。私の不安は私の欲求を叶えたことにより生まれている。 元を正せば私はただただアメリカに住みたかったのだ。San F

          不安と貪欲