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#短編
短編SF小説「ARガールフレンド」- 9 拡張されたメッセージ受信は、Googleグラスで夢見たアレ
8 拡張現実はもはや仮想ではなく、”存在”する からの続き。
「ごちそうさま。ありがとう。」
ミヤはご馳走になったお礼をする。
無機質な言い方をすれば、AR人間とのバーチャルデートを提供したサービス提供会社に課金をしたということになる。
ピロピローン♪
突然通知が届いた。タケルにしか聞こえない通知音と共に、コンタクト越しに視界の端っこでメッセージバブルが送られてきた。このバーチャルデートゲ
短編SF小説「ARガールフレンド」 - 4 拡張された映画館
3 時代で変わらないこと、一変すること からの続き。
かつて映画は座って黙って見ているものだった。この時代にもそのスタイルを楽しむ人々は一定数いる。現代の価値観で見ればモノクロ映画を楽しむ趣向に似ているのかもしれない。
この時代の映画鑑賞の主流は、巨大な空間そのものが立体映像のスクリーンとなり、ホログラム映像でその場に登場人物が立っている距離感で、そばに立ったり、あえて俯瞰して遠巻きに眺めるな
短編SF小説「ARガールフレンド」- 2 拡張されたタケルの朝
1スマホの先に待っている端末 からの続き。
拡張現実、Augmented Reality、通称AR。
カメラをかざしてキャラクターや、『名所の耳より情報』を閲覧していた遠い昔との大きな違いがある。
もちろん現代にもARはある、まぁ焦らずに。これから少しずつ解き明かしていくけれども、もしARがよく分からないということであれば、検索してみるといい。すぐにどんなものか分かることだろう。それぐらい現
短編もしも小説 「鳥の顔をした石像の正体」 - 8 賢いカラスはトトのドローン説
7 鳥人間への進化に許された時間 からの続き。
「確かに鳥って頭いいもんね〜、カラスとかちょー賢い。」
ナオミは教授のとっておきの持論に対して、なんとものほほんと、しかしちゃんと文脈に沿った返事を返した。
「鴉。確かに。そうですね。人が出したゴミを漁っている様子は一軒野蛮で野性的に見えますが、それはあくまで人からの視点の話。見方を変えれば、効率的に餌にありつけるという知恵を備えているというこ
短編もしも小説 「鳥の顔をした石像の正体」 - 7 鳥人間への進化に許された時間
6 遂に登場した鳥人間トト の続き。
「中には。この鳥の頭は宇宙服のヘルメットであるという説があることは私も存じています。その方が、アヌンナキは宇宙人だからと言う説の裏付けになる訳なので。
ところが壁画の中には、同じような羽根を持つが、鳥ではなく、人の頭をした人物も描かれていることは知っているかな?」
ハンコックはすかさずキーボードを走らせた。
「仮に、この鳥人間が本当に宇宙人だったとしよう。
短編もしも小説 「鳥の顔をした石像の正体」 - 6 遂に登場した鳥人間トト
5 恐竜がもし進化していたら からの続き。
「先ほど君たちが言っていたNetflixのドキュメンタリー。彼女に教えてもらって、今日までの間に私も見てみたよ。なかなか面白かったね。
ただ私の説は少し違うんだよ。
学会にも何度か論文を提出してはいるんだが、反応がないところを見る限り、まだそこまで真剣に受け止めてもらえていないんだけどね。」
オッケーオッケー、これは聞いて欲しいんだな。
もちろん聞き
短編もしも小説 「あの鳥人間の正体」 - 1 串に刺される恐竜の子孫
まえがきからの続き。
「今から2億5000万年前の地球に。
その後1億6000万年もの間繁栄し続けた恐竜、
、、の子孫とされる鳥、
、、を串に刺して焼いて食らう、
まだ260万年程しか生きていない小童(こわっぱ)の子孫、ナオミ。」
「おい。こんなにかわいく焼き鳥を食える女子いねーぞ」
小童の子孫である普通のアラサー女子ナオミがつっこむ。
「なにそれ、ナレーションの練習のつもり?」
短編もしも小説 「あの鳥人間の正体」 まえがき
まえがき
古事記の天孫降臨。
ギリシャ神話のオリンポス十二神。
インドの戦争叙事詩、マハーバーラタ。
南米のアステカ、マヤ。
神話・伝承は、語り手の立場・視点によって得てして脚色要素が入るものである。
子々孫々に、伝えたいように、伝えるものだ。つまり自ら軽蔑されるような部分・失敗談は伝えないはず。
この物語は筆者によるフィクションである。しかし、あなたの常識を形作っている教科書も、歴史も、人
短編現代SF小説「ワクチンバッジ」⑤
前回④からの続き。
さながら、エドワード・スノーデンのようだ。
彼が、就業先だったCIAが、世界の国々や大企業と結託して個人情報へのアクセスしていることをリークした時のように。
それでも世界は変わらなかった。人々は自らのSNSが国や運営企業に自由に扱われていることを、頭の片隅で知っていながら、それを許容してでも、SNSと共に過ごす生活を選んだのである。
スノーデンが告発した事実は、人々にとっての
短編現代SF小説「ワクチンバッジ」④
前回③からの続き。
「... 私は、確かにワクチンを接種しませんでしたが、ウィルスの保有者でもありません。こちらをご覧ください。私が一昨日検査をした時の診断書です。」
カメラに向かって話していた彼が、手元からその診断書らしき書類をカメラに向けた。確かに一昨日の日付と、「結果: 陰性」の文字が確認できた。英語だった。
どうやら彼は国外逃亡した先で検査をしたらしい。
「皆さんがワクチンバッジで安