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【レビュー】心が叫びたがってるんだ

「人と正面から向き合う」、「言いたいことは言った方がいい」。こうしたことができる人は果たしてどれくらいいるのだろうか。向き合った後、伝えた後はどうなるんだろう。

私が久々に見たアニメ映画「心が叫びたがってるんだ」はそう考えさせてくれる映画だった。ネタバレにならない程度に内容を話すと主人公の成瀬 順は幼い時とてもおしゃべりで自分が思ったことを何でも話してしまう女の子だったが、それが理由で家庭環境が一変してしまい自分の口を閉ざす暗示をかけてしまい、話そうとすると腹痛に襲われる。高校生になった順は担任から地域の交流を目的とした「地域ふれあい交流会」実行委員に選抜され、他に選抜された3人の生徒と会を成功させるために人と触れ合っていく「青春アニメ」である。

改めて作品を見た後に「言葉」が持つ力を考えさせられた。作品の力もあるが、実体験と重なる部分も多かったからである。他のnoteでも書いているいる通り私は今「伝える」を仕事にしている。ただ「人の思いを掬い上げる」ことは得意ではない。以前の私は「言ってくれないとわからない」、「言いたいことは言う」人間のだった。それで傷つけた人、不快に思った人もいただろう。つまり「言いたいこと言う」ことは「他人の気持ちを無視する」もしくは「傷つける覚悟」があって初めて言える言葉なのだ。(傷つける覚悟には「思いやり」も含まれる)

この事に気づくのには時間がかかった。嫌われたくないがためにいい人を演じる。自分の意見は基本言わずにその場のやり過ごすようなこともした。ただそれでは本当の意味で人と接することはできない。その人が触れられたくない事も話をしないとわからない。当たり前のことだが、わかろうと努力をしない限り、人は分かり合えないのだ。

「言葉」とは”救済するものでもあり、凶器にもなる”。そう思える映画だった。前の上司に「コミュニケーション」は「思いやり」って良く言われたな。そんなことをふと思い出す。

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