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ユーザーアプローチの理解を深める #Xデザイン学校リフレクション Day4

※今回はユーザーアプローチについて、このnoteはXデザイン学校2024年マスターコースの私的なリフレクション(振り返り)を記した記事となります。


1. 視点のギャップを埋めるためのレイヤー構造

人の視点とビジネスの視点とのギャップを埋めるために、3つのレイヤーで考える必要があります。

  • 人の視点: アウトサイド・インの視点で、ユーザーの評価やコンテクストを理解するための調査。

  • ビジネスの視点: インサイド・アウトの視点で、ビジネスの評価や企業が示したいビジョンや戦略。

  • ブランド体験: インサイド・アウトの視点で、企業が顧客に提供したい体験。

プロジェクトの初期段階からUXデザイナーとビジュアルデザイナーが協力し、調査を行いながら体験設計とビジュアル開発を同時進行で進めることが効果的です。

実務においては、ユーザー側やビジネス側の調査結果いずれかに偏るのではなく、ビジネスインタビューなどで経営層やステークホルダーのビジョンを明確にし、人とビジネスの両方の調査結果を踏まえた最適なアプローチを探ることが重要です。

UXの価値探索には、以下の3つの視点が求められる点を想起しました。

  • 鳥の目: 全体を俯瞰する視点。

  • 虫の目: 行動観察やインタビューを通じて内外からの発見をする視点。

  • 魚の目: 行動やストーリーの流れを理解する視点。

2. ユーザー調査の基本

いよいよ調査手法についての講義が始まりました。

定量調査: アンケートやログなどのビッグデータから行動を数値化しやすく、検証的調査に適しています。
定性調査: インタビューやフィールドワーク、エスノグラフィなどを通じて個別の利用状況を深掘りし、背景や隠れたインサイトを探ります。仮説がない状況からの基礎調査や、仮説前段階での探索的調査に適しています。

定性調査で仮説を立て、定量調査でそれを検証する混合法や、複数の調査手法を組み合わせるトライアンギュレーションによって調査の精度を高めることができます。

数人へユーザビリティ・テストを実施した所で、結果が偏るのではないか?との指摘を過去受けたことがありますが、ニールセンでは5人のユーザーに調査を行うだけで、85%の問題が発見されると言われています。

コストや手間をかけすぎず、細かく素早くテストを実施することで、早い段階で方向性を見極めることが可能です。また、定量分析を併用することで、説得力を持たせることができます。

ユーザー調査の5段階プロセス

1. 計画
2. 準備
3. 実施
4. 分析
5. 報告

人間は言っていることと、実際にやっていることが異なることが多いです。そのため、観察法で外からの視点を得て、インタビュー法で内からの視点を得ることを繰り返し、意味と行動を探ります。分析の際は、結果の繋がりを解釈し、背後にある価値や暗黙知を発見することが重要です。

調査結果から得る3つの知見

1. 調査結果(目に見える物や体験)
2. 価値分析(大事にしていること)
3. 暗黙知(背後の基本的な過程)

これらの知見をレポートにまとめる際には、調査計画・実施・分析の3要素をしっかりと整理することが重要です。

分析のアプローチは以下

調査結果
インタビュー・観察
インタビュー分析(KJ法、SCAT)
ワークモデル分析やジャーニーマップなど

価値分析
上位下位分析

KA法
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssd/63/0/63_229/_pdf/-char/ja

3. ユーザー調査の計画

調査の問いをデザインします。ビジョンからラダーダウン(どんな、どの)や、違和感からラダーアップ(なぜ、なぜ)を整理して書き起こします。調査目的には、問いで明らかにしたいことが含まれ、それに基づいて調査対象や方法を定義し、調査計画書を作成します。

インタビューの種類

  • 半構造化インタビュー

  • デプスインタビュー

  •  エスノグラフィカルインタビュー

インタビュー項目を設定する際は、人物像・現状・テーマに焦点を当てると良いです。また、質問が一般的であること、分析に適した内容であること(本質的価値か、コンテキストか、ジャーニーか)も考慮する必要があります。インタビューでは、ラポール形成から始め、大きな質問から個別の質問へと進むこと、そして恣意的にならないように注意します。

4. 体験の可視化

テーマを軸にして、何を視覚化したいのかを明確にし、視覚化を行います。基本要件(視覚化したいテーマ)の確認、横軸(時間軸)、縦軸(環境軸や人間軸)、プロット(5W1Hや気づき)の記入が重要です。

プロジェクトメンバーと共に、バウンダリーオブジェクトをデザインするという視点です。

5. ワークショップ

課題となっている企業に対して、前回設定したビジョンを再確認し、対象ユーザーを設定します。その後、質問項目と明らかにしたい内容を作成し、対象ユーザーに近いメンバーにインタビューを行いました。

次回講義までに、調査計画書の精査と各自で行ったインタビューの整理、ジャーニーマップの作成が予定されており、週1回のオンラインミーティングで進捗を共有しています。前回のフィールドワークには参加できませんでしたが、一度対面で会っている安心感もあり楽しみな時間です。

質問項目の作成時には、枠組みや回答結果がインサイトにつながるかどうかをディスカッションし、質問が大きすぎると方向性がずれ、細かすぎると恣意的になる点に留意しました。単独で考えるとどうしても思考のレイヤーが浅くなりがちですが、複数人で考えることで思考が深まり、多くの気づきを得ることができています!

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