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介護の話

私の母は、老人介護施設で働いていて、職場は変わっているけど、老人介護に携わる仕事を10年以上している。

困った利用者さん(ご老人のこと)や、さらに困った家族や、頭の痛い同僚や上司。

母の口から出るのは、正直なところ愚痴ばかり。

仕事の話の8割近くが愚痴だと言ってもいいんじゃないかと思っている。私の体感では。

その老人介護の世界。

お年を召した方たちの生活機能を維持したり(困難)、生活がさらに不安にならないように支援したり(困難)、ご本人が骨を折ったり、怪我をしたら、その通院やリハビリに付き合ったり(面倒)、話し相手になったり(時々ほっこり)、利用者さんの認知症が進んで困り果てた家族をサポートする仕事(頭痛い)など、が中心になるようだ。

老人介護の仕事、特に認知症が進んでしまった方の介護の話で多いのが、トイレの話だ。

トイレ失敗事件。トイレ失敗隠したい事件。トイレ失敗を本人が忘れちゃう事件。トイレを失敗して不衛生なのに、誰にも自分を触らせようと頑固にさせない困った利用者さん事件。

色々パターンはあるものの、トイレ関係の困った話を、いちばんよく聞く。

だから、私は感覚がおかしくなっているらしい。

この間、職場のお昼休憩中(食事中)に、賑やかなお客さんたちの話題が、まさに義理のお父さんのトイレ問題だった。

義理のお父さんは、認知症が進み、トイレの失敗もあるし、まだ失敗に対する恥意識もあって、それを隠そうとするらしい(成人した人なら当たり前だと思うけど、介護者には厄介以外何物でもない)。

トイレに行けばものすごく臭うし、パジャマは、昨日の夜着せたのを着てないし! どこやったの? って聞いても、すっかり忘れて最初からこれだったって言うし。。。布団の合間からう○このついたパジャマが出てきて朝から絶望とか。

ご苦労様だ。

トイレの失敗は、本人には恥。そして、時と共に忘れぬ。

家族には恥とかなんとかよりも、汚いし、臭うし、ちょっと! いい加減にして! 毎日毎日、失敗する前にトイレくらい行けないの?! 失敗しないようにトイレして! そして隠さないで!

まさに、賑やかに喋る内容ではないけと、心の叫びだろうな。

私はお昼ご飯のラーメンをすすりながら、そんなことを思っていた。

ら、私の先輩パートさんは、怒り狂った。激怒だ。

うるさいのも我慢ならんし、それがトイレのう○この話で、どうやって始末したかとか、聞きたくないわ!(怒)

まあ、普通はそうだろう。

老人介護の経験しなければ、う○この失敗なんて聞かないし、他人のう○こ事情なんて絶対聞きたくないし。

デリカシーがない! 私は食事中だっつうの!

お怒りももっとも。

でもさ。これが現実なのよ。

と私は、少々のトイレ失敗事件の報告なら驚かない自信がある。

母の話(愚痴含む)を耳にタコができるくらい聞いてきて、そのほとんどがトイレ失敗の話だったし。

みんな失敗するようになるよ、と思う。

先輩パートさんのご両親だって、お年を召して、トイレに困る時が来るかもしれない。もしかしたら、先輩パートさんご自身だって。

そしたら、全くの他人事ではない。トイレトイレ、と考えたくもないけど、頭の中は他人の(自分の)困ったトイレ事情でいっぱい。は、そんなに遠い未来じゃない、かもしれない。

トイレ失敗は、困る。悩みの種。恥ずかしい話。

遠慮なく、人がご飯を食べている隣で賑やかに話す話題ではないのは確かだけど、私はその方たちの「(トイレ介助)よくやるねえ」に納得したし、お疲れ様ですと思った。

私の感覚にちょっとおかしいところがあるとしても、トイレ失敗を、ただのうるさい、恥知らずな話と却下するのはなぁ。

日本はそのうち、ご老人だらけの国になる。

友達との話題が、トイレ失敗の心配が中心になることだって遠くないだろう。

介護の話は、綺麗なものじゃない。

ピンピンコロリで死にたいのはみんな一緒でも、そうならないのが現実。

トイレは生きていれば付いてくる永遠の問題。

そんなに拒否してたら、乗り遅れるよ。

【今日の英作文】
「今年の流行のファッションって、なんだっけ。」
"I wondered what the fashion is in this year.''

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