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思い出し○○ーーその3

今回の思い出し○○は、「これって作り話なんじゃ?」疑惑の困惑編。

前回登場した幼なじみ2人の話。2人は同い年で、私は1つ下。ご近所だったので、よく3人で遊んだ。

でも、2人は同い年なので、私より年齢の関係で親さんも仲が良く、親しいようだった。

幼なじみの女の子の方をAちゃんと呼ぶことにする。男の子の方をB君(安易だ……)。

Aちゃんは派手で、大人びた子だった。田舎ではびっくりするくらいのお嬢様だったし。庶民じゃ思いつかないようなことを、サラッと言ったりやったりするような子だった。B君は今はどうか知らないけど、純朴で優しい普通の子だった。

さて、私が幼稚園だか、小学校に入った頃だったかに、友達同士でお互いの家にお泊まりする、ということが流行した。ひとつ上の幼なじみ達も同じだったようだ。

ある日、Aちゃんが「私、B君の家にお泊まりしたんだー!」と言った。

私は猛烈に羨ましがった。男の子の家に泊まるということの意味を知らないので、単に、幼なじみの家にお泊まりできたAちゃんが羨ましくてしかたがなかった。

Aちゃんは、それからおもむろに私の耳に口を近づけて、囁くように言った。

「そしたらね、B君が『Aちゃんってバラみたいに綺麗だね』って言ったの!」

Aちゃんの悲しいところは、囁いた相手が私だったということ。

「バラみたいに綺麗だね」の意味がよく分からなかったのである。

どんだけ幼稚なんだ、とは思うけど、女性ををバラに例えるすごい意味を、「ふうん」と聞き流してしまったのである。

Aちゃん、残念。

内心ポカーンな私を尻目に、ニヤニヤ嬉しそうに私の様子をうかがうAちゃん。その場には、当のB君はいない。欠席裁判。Aちゃん、言いたい放題の独壇場。

いつまでも思った反応が返ってこないので、Aちゃんは、「バラみたいに綺麗だね」の説明を私にし、それでもピンとこない私は煮え切らない。

だって、バラってトゲトゲがあって痛いじゃない。それに花はいつか枯れちゃうでしょ。そんなのに例えられても、全然嬉しくない。

変なところで現実主義な私は、こう思った。ノリノリで話すAちゃんには、言えなかったけど。

後日談というか、もうAちゃんもその話を忘れたであろう頃に、「バラのように美しい女性」の意味を知った私は、「そうなんだ! B君、すごい恥ずかしいな!」と思った。

それから、あの純朴で優しい普通の子(別に深い意味はない)のB君が、あの年齢で「バラみたいに綺麗だね」なんてセリフを自ら思いついて、Aちゃんに言ったのかどうかを割と真剣に考えた。

……恐らく言っていない。

Aちゃんの発想は、いつも私やB君の想像を超えていたので、「バラみたいに綺麗だね」は、たとえB君が言ったとしても、Aちゃんが言わせた、のだと思う。

まあ、憶測に過ぎないけど。

そんなこんな、私にはよく分からんな、ということが、Aちゃんの周りでは多発した。

しかし、大きくて8歳や9歳やの子供が、「バラみたいに綺麗だね」なんて、思いついて言うんだ。改めて、すごい子だなAちゃんて。。。

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