「あちゃー」と言って楽しむドラマ
昔、父上とドラマを見ていた頃のはなし。
キスシーンや、ハグシーンがある度に、父上は「あちゃー」「おおー!」「あー!」とよく唸り、よく吠えていた。
神妙なシーンに不似合いな父上の発言を、「うるさいから!」と内心思ったり、何をそう唸ったり吠えたりしていたのか、よく分からず、迷惑だなと思っていた。
いい大人が、ドラマのキスシーンやハグシーンで、中学生みたいに反応して変なのと。そういう反応する方が恥ずかしいよ!とも。
父上は、以前記事でも書いたように、よく唸ったり、吠えたりするタイプの人なので(歯磨きの最中に鏡の自分へむかって謝るとか、唸るとか、吠えるとか)、まあ、変なところで通常運転なのだろうと思っていた。
最近、ふと父上は別のことに恥ずかしかったのかもしれないと、ようやく思いが至った。
キスシーンやハグシーンが恥ずかしいのはもちろんのこと、娘と一緒にテレビを見ていて、俳優さんたちがチューをしだして、身の置き所がなかったのではないか。
それはそれで面白い発見だったけど、異性の親というものは異性の子供と、チューのあるシーンをそんなに照れないと見られないものなのだろうか。
父上の唸り具合、吠え具合は、そういうシーンにありがちな、エモい音楽をかき消すほどであったから、どれくらいのうるささかはご想像頂きたい。
私はあまり映画館で映画を見るという習慣がないので、これは一般的なことなのか、特別なできごとなのか、よく分からない。あるジャニーズのタレントさんが主演のドラマの映画化を映画館まで見に行ったことがある。これは、母と一緒に見に行った。
映画のラスト、作中ずっと思いは通じあっているものの、お互い見栄を張って素直になれない2人の男女(片方はジャニーズの人)が、キスをするシーンがあった。
この2人は、そういう行為をしない感じで話は進んでいたので、唐突感が否めず、いきなりキスをしだしたので、私は「なんか、突然だな」と思った
瞬間
前の席に座っていた、中年女性が、映画館の室内に響き渡る声で
「えーーーー!!! なにそれー!」
と叫んだ。
うっかり心の声が出てしまったのだろう。その時は、女性の声をよほどそのジャニーズ氏が好きなんだな、ショックだったのだな。唐突だったものなと思った。子供の観客がジブリ映画のポニョの歌(劇中歌)を一緒になってうたうのと一緒だ。
父上と、その中年女性と、ポニョの歌を一緒になってうたう子供と、他に鑑賞者がいるのに、心の声を口に出してしまう点では、同じである。それが、適切かとか、作品を素直に楽しんでいるのだから許される行為だ、とかの線引きはどうやってするのか。。。
恐らくその判断は、各人の良心に任される感じなんだろうけども、うるさいと思えば、3タイプの叫びはどれもうるさく、作品鑑賞の邪魔をしている。父上の謎な唸りや、吠え声は、例のシーンの次に呟かれがちなセリフをかき消すし、女性の叫びは、例のシーンを仮に感動して見ている人がいれば、余韻のぶち壊しである。子供の歌は映画の途中で、一緒になってうたうわけで、セリフをかき消し、作品鑑賞どころではなくなる。
何が正しい作品鑑賞の仕方になるのかは、よく分からけど、他人と見るとなると、色々問題が発生するようである。
父上の「あちゃー」然り、女性の「えー!」然り、子供の合唱然り。
でも誰かとなにかの映像作品を見るということが、私の人生的には、なんだかんだ言って減っていくようなので、「あちゃー」も、「えー!」も、合唱も、その場は納得できなくても、面白く記憶しようと思う。
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