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完璧でない人の強み

何でもひとりでできる人、何でもでなくても、器用に物事をすすめられる人、そういう人に憧れる。

上手くできない自分を振り返って、がっかりしたり、残念だなあと思ったり、もっと上手くやらなきゃ、できるようにならなきゃと思ったり。

できない自分を、良くないものとしがち。

私の職場の新所長は、調理の業務をメインでやったことがないらしい。

元々管理栄養士だから、調理師は別にいる営業所で働いてきた。

私の職場というか会社は、食堂や給食で、多くのお客さんを相手に、大量の料理を作って提供する。

おうちで、せいぜい4人分とか、私みたいに1人分の料理を作るのとは、わけが違う。

会社のレシピというものもあるのだが、その通りに作ると、毎回「なんか、変なんだけど……」になる。

減塩でもないし、カロリーオフな料理でもないのに、「おいしくない」し、「できあがり量が少なすぎて、(満足な)目標人数が分取れない」。

新所長は毎日頭を抱えて、「なにこれー!」である。

「レシピ通りですから」と言って、そのまま提供する営業所もあると思うけど、「これじゃあ、嫌だよね。てか、私はお金を払ってまで食べたくない」と言って、なんとかかんとか試行錯誤して、毎日料理を作っている。

そこで役に立っているらしいのが、私ともう1人の先輩パートさんの味見だ。

ラーメンのスープだったり、丼の具の味付けだったり。

どっちも味が薄いとかなりまずい。

ラーメンはゆで汁がどうしても入ってしまうし、具にも水分がある。

ふつうにスープとしておいしいのでは、味薄でラーメンスープとしては失格だ。

丼の具も、ご飯と混ぜて食べておいしいのが原則。

こちらも味薄はがっかりだ。

丼の具は、単体で食べて特にしょっぱいなと思うくらいでないと、提供中に段々味はボケていくので、作り上がりは味が濃いめがベスト。

だけど、会社のレシピが微妙な味なので、味を濃くするって何足す? 何が足りない? 

3人で毎朝頭を抱える。

「胡椒を足してみる?」
「鶏がらスープ!」
「醤油?」
「コチュジャンだ!」
「背脂?」

「うーん、なんだろう。なにがおいしくないんだろうね。これ」

と言いながら、あれ足す、これ足すをしている(本当はしていいのかどうかは知らない)。

準備作業の手を毎度止めないといけないので、ちょっと嫌だなと思わなくもないけど、味見をして、これかなあれかなとするのが、こっそり楽しみだったりする。

前の所長は、元から調理師で調理師学校も出て、中華屋さんでバイトもして、加えて給食会社で30年のキャリアがある。

パートさんに味見なんて頼まなくても、これが足りないというのは、すぐ分かるようで、自分でアレンジして、どんな料理でも安定したクオリティのものを作り出していた。

調理ができないということを、新所長は最初に私たちに言った。

それを、私はすごいことだなあと思う。

完璧でない、上手くできない、それを開き直るしかないくらい経験がないからだとも言えるけど、人によっては、なおさら意固地になって、ひとりで完結しようと迷走するのではないかと思う。

できません! と白旗を上げてしまうのは、勇気がいったと思うけど、私や先輩パートさんは、それを迷惑だと思ったことはない。

逆に応援しようと思うし、毎朝の味見を面白がっている。

私や先輩パートさんみたいな人ばかりではないのかもしれない。

でもうまくできないなら、素直にできないことを伝えて応援要請した方がいい場合もあるんだなと学んだ。下手に取り繕うよりも。

新所長の強みは素直で、誠実なところだと思う。

できないことは、誰かに応援してもらう。誰かと分かち合う。穴埋めを手伝ってもらう。

仕事はひとりでしなけらばならないものではないから、それでいいのだと思う。

今日のお味は、どんなかな!

ありがたいことに、私と先輩パートさんの味見はお客さんの皆さんにも好評で、営業所的にも役に立っている様子。

良かったなり!

【今日の英作文】
私の父は時が経つにつれ、お腹が出てきました。
My father is getting a belly on him as time goes by.

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