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愛犬のこと

昔キャバリアという犬種の犬を飼っていた。

人懐こくて、いつもご機嫌で、お腹が弱いのに食い意地が張っていて、ちっとも技(芸)を覚えられない子だった。

ご飯のご褒美が目の前にないと、「お座り」「待て」ができないし、ご飯のご褒美がなくても、「伏せ」と言われて「伏せ」したこともない。

ご飯のご褒美があっても、我慢がしきれなくて、「待て」の最中でも私たちが目を離した隙に食べちゃうし、「お座り」と言われても、おしりがモゾモゾして、「よし」の瞬間には、ご飯皿に飛びついていた。

忠犬というには無理のある性格だった。誰にでもしっぽを振ってついていくし、気ままな性格なので、ご主人様がどういう反応をしているかなんか全然眼中にない。

ある夏休みに祖父の家に、ペットホテルがいっぱいで置いていけず、連れていった時のこと。

祖父が昔自分が飼っていた柴犬の忠犬ぶりを思い出し、散歩に連れていきたいと言って連れていってくれた。ら、案の定我が家の犬は「こっち行く、あっち行く、そして用を足す」という散歩ぶりをみせたため、「なんだあれは!」という話になった。「犬というものはうんぬんかんぬん」という、犬の忠の心はなんたるかを延々と祖父は私たちに演説した。

そう言われても、あの子に期待してもね。。。

どんなに躾をしても、「噛みグセ」は治せたものの、「お座り」も「待て」も「伏せ」も、忠犬なみのちゃんとにはできない性分らしかった。

散歩も疲れてくると、「てこでも動きません」となって、抱っこしてもらうのを待ってるし、ボール遊びも成立したことがない。犬が走るよりも、人間が走って自分が投げたボールを取りに行く始末。お犬は走るご主人様をへらへらとしっぽを振って見送るばかりだ。

キャバリアの「人懐こくて、素直な性格」は、どの本を見ても割と書いてあるので、気ままな性格も、こんなものかと思ってきた。なんせご先祖は、王様のカーペットドッグだったと言うし。狩りに行くこともない愛玩犬なら、仕方ないよね。

しかし。

最近YouTubeでキャバリアの飼い主さんによる、キャバリア動画をみていると、ちゃんと「お座り」「待て」「伏せ」ができるし、ボール遊びも犬らしく大好きなキャバリアの様子を発見した。。。

そんな! キャバリアなのに?!

ちゃんと犬してるじゃん!

すごい驚きだ。

あの子の個性だと思うしかないらしいけど、キャバリアも忠義の心をもつ立派な子もいるらしい。言ってもボール遊びだけど。「お座り」だけど。「待て」だけど。

親バカならぬ、飼い主バカなので、あの子はなんにも(芸が)できない子だったけど、別に困らないよねと思ってきた。

もういないあの子は、我が家に来て幸せだったのかと思う時もあるけど、飼い主である私はずっと幸せだった。

思い出が、あの子が死んでしまった悲しみを通り越して、最近優しい。

キャバリアYouTubeを見て、幸せ気分に浸る。もう二度と犬を飼いたいとは思わないけど、愛犬のいる生活っていいものだったなぁ。

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