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日本の美意識

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日本の美意識、余白、に関して調べるために読んだ本
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2023年3月の記事一覧

日本の美意識~高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』より~

以下「日本人にとって美しさとは何か」(高階秀爾著、2015年、精興社)より引用

クロード・モネ
"作品の源泉をどうしても知りたいというのなら、その一つとして、昔の日本人たちと結びつけてほしい。彼らの稀に見る洗練された趣味は、いつも私を魅了してきた。影によって存在を、部分によって全体を暗示するその美学は、私の意にかなった。”(p68)

フランスの評論家エルネスト・シェスノー
"日本美術は三つの基

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日本の美意識~対談:司馬遼太郎×ドナルド・キーン『日本人と日本文化』より~

以下、『日本人と日本文化』(著者:司馬遼太郎/ドナルド・キーン、1984年、中央公論社)より引用

"キーン 
日本人はいつも何が日本的であるかということについて心配する。昔からそうだったようです。・・・(中略)・・・現在でも日本人は、日本的なものはどういう形で残るか、日本的なものは全部滅びるんじゃないかという心配を抱いているようですが、日本国民というものが残るかぎり、何らかの形で日本的な特徴はあ

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日本の美意識 ~世阿弥『花鏡』より~

舞台上での余白の美を言語化したのは、世阿弥なのだろう。動作と動作の間(隙)がよいのだと。"見所の批判にいはく、「せぬところが面白き」などいふことあり。”『花鏡』

『世阿弥芸術論集』(校注者:田中裕、平成30年、新潮社)より以下引用

" 見所の批判にいはく、「せぬところが面白き」などいふことあり。これは、為手の秘するところの安心なり。
 まづ二曲をはじめとして、立ちはたらき・物まねの色々、ことご

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日本の美意識 ~散らし書き~

紙面上では、平安時代中頃の三色紙の和歌の散らし書きが、余白の美の源流なのかなあ。

「継色紙(つぎしきし)」(伝小野道風)・「寸松庵色紙(すんしょうあんしきし)」(伝紀貫之)・「升色紙(ますしきし)」(伝藤原行成)は三色紙とよばれ、平安時代中頃(11世紀後半頃)の名筆。
万葉集や古今和歌集など和歌を、散らし書きにしたもの。

「継色紙」
『万葉集』『古今和歌集』等の古歌を集めた未詳私撰集の写本断簡

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余白の美の源流

長谷川等伯「松林図屛風」

 漆塗り教室で「歴史的に見ると、中国の螺鈿は余白がなく貝が貼られているけど、日本の螺鈿は余白があり、黒く鏡面のように仕上げられる部分も美しいのです。」と話していたら、「日本の余白の美っていつからですか?」と質問を受けた。

「いつからだろう?」と即答できず、うーん、と考えてみた。
そして、余白の美は、安土桃山時代の長谷川等伯の松林図、と日本史で暗記した気がする、と思い出

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