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行方
2023/11/13〜2023/11/14
コンヤ11日目。実質の最終日。
明日のヒッチハイクに備えて諸々の準備を。
そして夕飯の買い出しがてら街を散歩する。
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その手前にネヴシェヒル、アクサライという街が
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翌朝。
早朝5:30にチェックアウト。
まだ夜も明けぬ中、まずは20km先のポイントまでバスで向かう。
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バスを降り、着いた先はコンヤ郊外。
気温は一桁だ、小雨も降っている。
手袋と中綿入りのアウターを着ても肌寒い。
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時刻6:43。
いよいよヒッチハイク開始。
沿道に立ち、段ボールに書いた行き先を掲げ、走る車に親指を立てる。
ライトが眩しく、ドライバーの表情は読み取れない。
車が通り過ぎる度に濡れた道路からの水飛沫が体を濡らし、体温をどんどん奪っていく。
いや、寒みぃよ…!
甘かった、こんなに寒いとは…。
天気予報で気温は確認し、小雨も覚悟していたが、誤算は“風”だった。
辺りに遮る物は何も無く、野原にビュウビュウと音を立て、私のジャンパーを揺らす。
誰にも拾ってもらえなければ街に引き返すつもりだが、帰りのバスは12時間後。
早朝と夜の2便しか運行されていないのだ。
『これは最悪の場合、ヒッチハイクどころじゃなくなるな…どうにか暖を取らないと…』
不安が頭をよぎる。
しかし無情にも車が止まってくれる気配は無く、あっという間に1時間経過。
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ようやくドライバーの顔が見え、表情でコミュニケーションを取れるようになったのは良いのだが、ここにきて雨足が強くなる。
マジで洒落にならんっ…!
トラックが通る時は突風と雨が顔まで当たるので、段ボールを盾にして凌ぐ。
そんな事をしているものだから、次第に段ボールが剥がれてきた。
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段ボールも体もビショ濡れ、引き返すバスは10時間後。
20km以上ある街まで歩く事もできない。
やるしか無いのだ。
頼みの綱の段ボールを再び掲げ、必死に沿道でサムズアップを取る。
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もう駄目だ…
この段ボールは使えない…!
ヒッチハイク開始から1時間半。
そうはいっても本当に“やるしかない”ので、仕方無く親指だけを頼りに車へアピールする。
『行き先も分からないのに止まってくれる人なんているんだろうか…』
いいえ、誰も止まりません
『そりゃそうだろ…しかもこの雨の中で…』
開始から2時間経過。
もはやロボットの様に淡々とポーズする。
頭の中は暖を取る方法で一杯。
だが、その時
ゴスンッ…!!
えっ…?
止まっ…た……!?
いや…違うっ……あれは事故だ…!
縁石に車を乗り上げている…。
まさか私の親指に気を取られて…?
ウソだろ……?
とりあえず知らない振りをしてみる
中から人が降りてきた。
若者が数人、乗り上げた車を確認している。
……どうやら路面でスリップしたようで、私のせいではないみたいだ。
そして、半分投げやりでヒッチハイク再会。
その瞬間
キキィィィッッッ!!
えっ…?
また止まっ…た……!?
いや…違うっ、あれは事故車だ。
えっ、事故車?
どこにも乗り上げていないのに?
とりあえず近づいてみる。
そして中を覗くと、初老の男性が私を手招きしている。
トルコ語がわからないので、翻訳アプリに向けて話してもらうと
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カイセリは私の目的地、ギョレメの先だ!
やった!一気に連れて行ってもらえる!
必死に御礼を伝え、助手席に乗せてもらう。
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ニット帽も貸してくれた
しかし…乗せてもらっておいて申し訳ないが、今にも壊れそうな車だ…。
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「腹減ってるだろ?パン食えよ!」
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カビが生えている…
車内はハエが大量に飛んでいる。
おそらく外からは侵入していない、中で発生している……。
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中綿入りのベストも貸してくれて、とりあえずは体を暖められた。
「すまない、水を買ってきてくれ」
バックパックを置いたまま車を離れるのは抵抗がある。
そのまま走り去られたら”アウト”だからだ。
しかし、その場で背負って出て、気を悪くさせて走り去られるのもマズい。
なので内心警戒しつつ、道中の店で水を2本買ってくる。
私の奢りだ。乗せてもらう御礼として、その方が私も気が楽だ。
「紅茶を飲もう」
今度は数十km先のカフェに入る。
そして一息ついた頃「ちょっと髭を剃ってくる」と言って店を出て以降、しばらく戻って来ない。
ここでも私は車内に置いたバックパックを持ち逃げされない様、2人分の会計を済ませて先に車で待った。
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ゴムチューブで留めている
「悪いが、タバコを買ってきてくれないか」
もう意図はわかっている。
そのうえで、私はタバコを奢った。
眠たかったのだ、そうすれば後ろめたさも無く寝ていられる。
しかし仮眠を取ろうにも、とにかく車がまともに走ってくれない。
憶測だがクラッチが壊れていて、エンジンの回転数をみて無理やりギアを入れている。
なので「ギギギギィイイッッ」と何か引っ掛かる音が常に響く。
それどころか、走行中に何度もエンジンが止まる。その度に運転手は手で何かを回し、再びエンジンをかける。
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鍵も刺さっていない…
彼はトルコ語が理解できない私にお構いなく話しかけ、とても楽しそうだ。
日本の単語も少しだけ知っているようで
彼「サムライ!」
私「イェース!」
彼「アリガトウ!」
私「イェース!」
彼「ジャッキーチェン!!」
私「イェーーースッ!!」
と、テンションだけで会話を乗り切った。
それは意外と盛り上がり、走ること約5時間。無事に200kmの道のりを送り届けてくださった。
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何故か子供、女性用の物ばかり…
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すみません…
何はともあれ
海外初のヒッチハイク成功
そして時刻14:50。
安堵した私は目的地、ギョレメまで7Kmという街アヴァノスに降り立つ。
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てくてくと歩く
アヴァノス市街地を離れて10分後
Hi !!
どこに行くんだ?
トラクターを運転する男性に声を掛けられる
ギョレメ?
乗せてってあげるよ!
今朝あれだけ苦労したヒッチハイク
今度は何もせず
ただ歩いてただけで止まってくれた
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とりあえず、この荷物を降ろすそうなので
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トラクターの荷台に乗るとは…
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時刻16:00。
コンヤから無事に目的地、ギョレメへ到着。
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ターキッシュ・コーヒー
節約旅なので食べ物は我慢…
45TL(約237円)
ここから宿を探さなければならないのだが、以前にこの街を訪れているダイキ君オススメのホステルは予約が埋まってしまっていた。
なので急遽、別の宿を予約して向かう。
もちろん最安ドミトリーの8人部屋だ。
予約後、すぐに到着して受付へ。
国籍を聞かれ、日本人と答えるとオーナーは
「日本は私の第ニの故郷なんだ!」
と喜んでくださり、会話が盛り上がる。
そして会計後
特別な部屋を使わせてあげるよ
通された部屋は
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まさか…!
最高グレードの
トリプルスイート・ルーム…!
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「この部屋を、私に…?」
「そう!」
「ドミトリーと同じ値段で…??」
「もちろん!」
なんだかもう
ここまでくると自分の運が少し恐い
しかし、久々の個室だ。
気持ちを休められる、それも過去最高に良い部屋で…。
いや、今後もこれ以上の部屋はないだろう。
いつにもまして色々な事があった今日
これから数日はこの街ギョレメに滞在となる
文化遺産と自然遺産
その両方の条件を満たした貴重な
世界複合遺産
カッパドキア
それを堪能する為にここまで来た
はたして何が起きるのか
楽しみだ
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。