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モームの入口①「月と六ペンス」

6ぺんす

   (ややネタバレ)

  モームの小説には、テーマが具体的なものが多く見られます。
   例えば、「文明社会から脱出することは逃避なのか、それとも勇気ある行動なのか?」とか「大きな目標を達成するためには、家族を犠牲にしてもよいのか?」「禁欲はどこまでが正しいことなのか?」など、シンプルではあるものの議論が分かれそうな課題が提示されます。

   「月と六ペンス」(1919年)は、「人間の絆」と並ぶ、モームの代表作です。印象派の画家ゴーギャンをモデルとしたこの作品でも、主人公の行動の是非が読者に問いかけられます。

小説家である「私」は、ストリックランドという四十代の男を紹介されます。
彼は株式の売買に携わる平凡な人物です。
趣味といえば手習いで絵を描くぐらいで、その妻も「芸術などには理解のない、退屈きわまりない男」と夫を評します。

見た目はごつく、作家の「私」の目にもデリカシーに欠けた凡俗な人物にしか見えず、当初は「このような人間を相手にすることなど時間の浪費だ」と切り捨てます。

ところがこのストリックランドは、とんでもない天才を秘めた男だったのです。

物語はその後、常軌を逸した彼の人生をたどることになります。
彼のあまりに非道で傍若無人な振る舞いは許されるものなのか?・・・モームらしさが顕著な作品と言えます。          

                                                                          ⇒「コスモポリタンズ」に続く

モーム

サマセット・モーム(1874 - 1965)~イギリス・小説家、劇作家~
画家ゴーギャンの生涯をもとにした小説「月と六ペンス」などで大きな注目を集めた。読みやすくわかりやすい文体とストーリーの面白さで大衆の人気を獲得した。

https://www.amazon.co.jp/dp/4102130276/

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