金糸雀の千夜一夜



私はジュブナイルが好きである。

あの誰にも奪うことの出来ない一瞬が
私の心に生を与えるのだ。
経験上ジュブナイルと名前がつけられた曲は
もれなく良曲である。


また物語としてのジュブナイルには
都会的なエッセンスが多いと感じる。
それ故刺激の飛び交う都会に憧れ
ここにはジュブナイルは存在しえないと
諦めて私は生きていた。


そんな私の観念を変えたのが『ペルソナ4』である。


異能モノではあるがどこかアナクロ感があるのだ。
都会から田舎町へと転校してきた主人公
それぞれに今までを生きてきた仲間達

自分の心と向き合い、
受け入れることで得た能力「ペルソナ」
現実世界とは分離した精神世界

それまでに異能者達のネットワークが根付いていた訳でもない。
現実世界で能力を行使することはできない。

元から"能力者としての素養"なるものがあった訳でもなく
たまたま出会った彼等が
たまたまペルソナを覚醒させたに過ぎなかった。

彼等は限りなく我々に近かったのだ。

片田舎で起こる事件
人々の無意識によって形成された世界、
「マヨナカテレビ」での戦い
最終的に行き着く真実は他でもない生身の人間であった。

表層意識と無意識が交わる世界線
そこに立って彼等は"守り抜いた"のだ
仲間を、家族を、友人を、「八十稲羽」を。



日常に戻った彼等はまた 今までではない今までを生きる。

トリガーを引いたのは世界か 自分か

その時限りの物語

千夜一夜の語り手はきっと我々なのだ。

他でもない貴方の千夜一夜を
今度は私に聴かせて欲しい。






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