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【本メンター #7】 ビジネスにも通ずるデザインの本質は何か

こんにちは!遊びに来てくださってありがとうございます。
紙本だと"手に取ってくださって"とかですが、ネットの1ページだとなんて言うのが可愛らしいのでしょうか。
23年4月からLayerX バクラク事業部にて、マーケティングを担当している浦と申します。

本日は、LayerX役員×若手による共同企画「本メンター企画」の第7弾です。
(LayerX経営陣3名が推薦する本を読み、1on1をして感想をシェア・記事化するという企画です。他の回の投稿はこちらの本メンター欄からも確認できます。)

01.第7回の推薦図書は 「デザインのデザイン」

今回のメンターは、LayerXの取締役の手嶋さん(以下tessyさん)です。

15冊ほどの中から選んだのは、取締役 手嶋の推薦本「デザインのデザイン」(原研哉/2003年)という本です。(他の推薦本はこちら


a. 対談企画としてこの本を推薦した/選んだ理由は?

当日の様子(5月16日収録)。ここからは対談形式にてお送りします。

tessy🗣:
今回新卒・インターンのメンバーに推薦する本ということで、今の僕が読んでいる本だと20年以上の実務や年齢のギャップがあると思って。
なので、自分が20代の頃読んで影響をうけた、かつ時代を越えた汎用的な本をPickしてみました。uraさんはどうして今回この本を選んだの?

ura✍🏻:
tessyさんのこれまでのキャリア的に、(広義の)デザインの話の引き出しが沢山ありそうで、折角対談していただく機会としてデザインというテーマが良いんじゃないかと思ったんです。
あと、入社すぐこの企画の話をいただいたのですが、当時既に他の7冊は決まっていて。テック系・キャリア系の本が多かったので、あえて毛色の違う本でこの企画のスパイスなればと考えて、この本に決めました。

tessy🗣:
まさしく!uraさんに共感します。
LayerXはテックのイメージが強くて、デザインというイメージは先行しないかもしれない。けれどLayerXでもデザインの重要性はわかっていて、取組んでいることを示せれば良いなと思って。
CEOのfukkyyさんやCTOのymatsuさんのテック・スタートアップ的な部分に加えて、僕は語られることが少ないけれど重要なデザインの要素の本を入れてみたよ。


02. 本を読んで見えたデザイン

b. デザインの本質は、世の中の常識を疑いゼロベースで考えること

tessy🗣:
実際読んでみて、どうだった?

ura✍🏻:
初版が2003年、幼稚園に入る前じゃん!と思ってびっくりしましたね。
時代の転換期の痛みと共に現れる最適環境を生み出す喜びとしてデザインが発生した、と文中にありましたが、ある種AIの急発展など目まぐるしい時代の転換期の今出会えて良かったです。

一読してみて、デザインをどう始めたら良いのかを考えてみたんですが、個人的には「疑問のストックとその発信」に帰着しました。
折角なので自分とLayerX(収録当時入社1ヶ月)に当てはめてみるんですが、入社当時マーケティングチームの皆さんには本当にオンボーディングを手厚くしていただいたんです。(弊社のオンボーディングがトピックの別のnote
ただ、提供側の情報整理と、受け手側として最適な情報整理は少し違う角度もあると感じていて、いただいたオンボーディングを初めて読む人が入ってきやすいような視点に書き換えたり、都度出てきて解消した疑問をQA式で全てストックして、サブテキストを作成しました。
大事にしていたのは、初めてするオンボーディングや業務の疑問解消のタイミングで並行して作成していくこと。組織や業務のスタイルに慣れる前に素朴な疑問を逐一言語化・マニュアル化することで、渡したい情報と得たい情報が両立する強固な状態にしたかったんです。
この本もどちらかというとUXデザインに寄ったものだと思ったので、オンボーディングのUX改善的な例をあげてみましたが、デザインの起点としては「疑問の投げかけ」の数と質、その積み重ねな気がしました

tessy🗣:
デザインの本質は「世の中の常識を疑い、ゼロベースで考える」ことだと思っていて、著者の原さんは「本当にその形でいいのか?」を徹底している。
原理原則から考え直して、物事を全体的に考えて再設計する、それが事例とともに書かれている、いわゆるデザイン思考の本だったよね。
デザインのデザインは「①常識を疑い ②ゼロベースで根本的なコンセプトを考える ③それを元に全体的に設計し直す」ことだと思っていて、これはデザイナーだけでなく、マーケターなら施策に落とし込む過程だったりする。
なのでuraさんの見方は的を射ていると思うよ。


c. 自分なりの憑依・客観の手段を持て

ura✍🏻:
とはいえ、日常で疑問を持って課題を発見するって中々難しいなと。
例えばLayerXの業務に当てはめると、施策の実数値で後から出る結果はあるものの、潜在的な顧客のペインが見えづらいなと感じています。
展示会接客やアンケートの文面で気付く「こんなこと考えているんだ!」は現状把握だし、法対応ミスへの不安が大きいのか、楽したい気持ちが大きいのか…何の感情を持ってどこに困っているのか、本当に求めているのは何なのかが掴みきれない感じがするんです。

tessy🗣:
基本的に使い手の気持ちを理解するためには、顧客に憑依する瞬間を作ることだよ。
私は〇〇社3年目の経理、45分電車に揺られて経理の月末作業へ、バクラクが無い時の私の8:30は憂鬱だったけど…ぐらいの粒度感まで当事者に落とし込んで憑依して考えたあとデザインに移るのが、優秀なクリエイターのプロセスとしては多い。
ただしその後は客観的になるための離脱タイムが必要だよ。

困った!を当事者化できるプロセスはすごく大事で、生活していて縁のない課題の触れるときがあると思うけれど、憑依出来る自分なりの手段を持っている人は強い。
今の組織は商談動画やお客様の声が見れる環境にあるけど、そうでない環境もこれから出てくる。だから自分なりの憑依・客観メソッドを持った方が良い。
著名なクリエイティブディレクターさんは毎回違う発見をして、違うデザインに落とし込んでいる。彼らは課題解決のプロだから、いくつか見てみても良いかも。あとは、それを身につけようと思って仕事すると、気付くことも多くなると思う。感覚を積むのは早いことに越したことはないしね。


03. デザインのデザインとは何か

d. 余白を作り描くプロセスがデザインのデザインなのではないか

tessy🗣:
本に戻すと、uraさんにとって「デザインのデザイン」はどう定義してみた?

ura✍🏻:
ゔ…改善して最適化することで、日常生活を豊かにすること、とかですかね…(汗)

tessy🗣:
まとまった感があるけど、その心は?

ura✍🏻:
段階が2つあると思っていて、①余白化する ②余白を楽しませる・便利化する があるかなと。
人間の満足には(広義での)余白が必要だと思っていて、課題や混沌をPickして一旦除いてみる。その後は何もしないことであえて時間や思考に空白を与えることも然りですし、代替を提供することでも改善前よりも良いものに出来ますよね。
この一連のプロセスが「デザインのデザイン」なのかなと思いました。

補足をすると、私自身で置き換えて考えてみました。実は書道の師範教授の免許を持っていて、Barや料亭に額縁や掛け軸を置いていたり、以前NFTでも海外向けに売ったりしていたのですが、免許皆伝されたタイミングは「余白を描く」が技術として腕に染み付いて自分の型が完成したときだったんです。
技術としての境界線は、空間に余白を作ること・それを自分の表現に落とし込むことでした。そうすると、全体を立体的にして奥行きを出したり、書いていない筆跡も浮びあがらせることが出来るんです。
紙でもデジタルでも、細部の余白までこだわって、その後全体を見る。
直接的に繋がる話題ではないですが、今回は考えの源泉としてはあるかも…!と思い、例として出してみました。
でも確かにこの感覚は、ビジネスでのモノ作りにも転用できそうだなと思いました。


e. 毛色の違う経験の引き出しをいかに紐付けできるか

tessy🗣:
今の具体例、めちゃくちゃ良いね。
社会人になるとどうしても業務知識だ英語だ…ってビジネスでいっぱいになってしまうけど、年取ったら皆「教養と健康が大事」って言ってるじゃん。
役職が上がっていくほど業務の抽象度が高くなったり、若手の社会人と会話してやる気を上げる必要が出てくる。
そこで大事なのが、引き出しの多さと、各々を紐付ける能力なんだよね。

今回の例だと、書道だとこうだからデザインのこの要素にも当てはまるのでは、が出来てくるよね。結果的に生きてくるという感じ。
ビジネスにも同じことが言えて、ちゃんと仕事していけば、10年後に別のものを紐付けて深みを与えられるかもしれない。
長期的に生きてくるのが、一見結びつかない毛色違う経験だったりする。

僕の場合、博報堂でデザインのコンサルをしていた時期があって、必要に駆られて他のビジネスマンよりもデザインに詳しくなった。
退職した時はもう使わないだろうと思っていたけれど、年次を重ねると経験則として活きてくるなと感じているよ。
一見無駄になることは、紐付けが出来れば面白いよね。それは人生であり仕事の醍醐味だと思う
20代の頃は一杯一杯になることも多いと思うけれど、仕事以外のアンテナ、活動は辞めずに続けた方が良い。
深めることで思考も深まっていくし、メタファーが自分の中で思いつくようになってくる。これこそデザイン思考じゃないかな。
残りの学生生活もこれからの社会人生活も頑張ってね!

ura✍🏻:
ありがとうございます!


04. 最後にお決まりの:一緒に働く仲間を探しています!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
noteへのスキ、Twitterでのシェアもドシドシお待ちしております。
皆さんは「デザインのデザイン」をどう捉えてみましたか?
お決まりの…ではありますが、LayerXでは、現在様々なポジションで仲間を募集しております。
まずはお話だけでも!という方でも大歓迎ですので、お気軽にご応募ください。社員一同お待ちしております。

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⏬ Opendoorはこちら(他にも沢山の方とお話できます)


f. 本メンター企画 最終回はCEO福島が音声で登場!

次回は新卒2年目の羽倉が企画全体の振り返りを、そして最終回は同じく羽倉とCEOの福島が、PodCastの対談形式にてお送りいたします。ぜひお楽しみに!


05. おまけ:ChatGPTに「デザインのデザイン」とは何かを聞いてみた

折角なので、AIが捉える「デザインのデザイン」とは何か聞いてみました。

「デザインのデザイン」というフレーズは、少し抽象的な表現ですが、一般的には以下のような意味を持つかもしれません。
デザインのデザインとは、デザインそのものを創り出すプロセスや方法論、設計原則を指すことがあります。つまり、デザイン自体をデザインすることです。デザインのデザインでは、デザインのプロセスや要素を分析し、効果的でクリエイティブなデザインを生み出すための指針や手法を考えることが重要です。

デザインのデザインには、以下のような要素が含まれるかもしれません
1. プロセス設計: デザインのデザインでは、デザインプロセス自体を設計することが重要です。例えば、どのようにアイデアを発掘し、概念を形成し、具体化していくかについて考えます。プロジェクトの特性や目標に合わせて、適切なデザインプロセスを構築します。
2. ツールとリソース: デザインのデザインでは、使用するツールやリソースを選定します。デザインソフトウェア、スケッチブック、プロトタイピングツールなど、デザインプロセスを効率的かつ効果的にサポートするための適切なツールを選びます。
3. 設計原則とガイドライン: デザインのデザインでは、設計原則やガイドラインを策定します。これにより、デザインに一貫性や視覚的な統一感をもたせることができます。フォントの使用法、カラースキーム、レイアウトの基準など、デザインに関する基本的なルールや原則を設定します。
4. コミュニケーションとフィードバック: デザインのデザインでは、デザイナーや関係者とのコミュニケーションやフィードバックのプロセスも重要です。デザインの方向性を共有し、関係者からの意見やアイデアを収集し、それを反映させることで、より良いデザインを生み出すことができます。

デザインのデザインは、デザインプロセス自体の改善や最適化を通じて、より効果的なデザインを生み出すための取り組みを指すことができます。

ChatGPT 「デザインのデザイン、とはどういうことだと思いますか?」に対しての回答


そしてダル絡みにも爽やかに対応してくれるChatGPT氏。

人類の叡智に気を遣わせてしまって、申し訳なくなりました。



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