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不審者が現れ、そいつからクラスのみんなを守る妄想みんなしたよね?笑

そよ風が白いカーテンをなびかせ、窓際の生徒の教科書をパラパラとめくるいつもと同じ穏やかないち日。

その日も私は一番うしろの自分の席に座り、いつも通りかったるい授業を受けていた。

教室の一番うしろと黒板の距離はこんなにも遠かっただろうか。

そんなかったるい授業に限ってそのよく事件は起こる。

急に現れる不審者、凶器を所持しあっという間に教室は占拠される。

予定されていたかのように捕らえられていくクラスの陽キャ達を尻目に私は冷静沈着に虎視眈々と反撃の機会を伺う。

怯える女子生徒達、身動きの取れない陰キャ共。絶体絶命かに思われた状況で私は立ち上がるのだ。

何故かその時は身体能力が200倍にも膨れ上がる。開脚80度もいかないのに不審者に打ち込まれる鋭いハイキック。今まで一度も使ったことのない拳が猛威をふるい、あっという間に不審者たちを片付けていくのだ。

湧き上がる教室、泣きついて礼をいう女子、私を崇め称える陽キャ共、クラスのヒエラルキーが逆転し全て女子の心をつかむ。満たされていく私の承認欲求。。。


なんて妄想を私は高校1年生の初期までしてた記憶がある。

そのストーリーにバリエーションはあれど大まかな台本は決まっているのだ。

ピンチに陥ること、私がそのピンチを打開すること、そしてすべての生徒が私を認めヒーローになること。

先日こんな妄想をしたよね-って友人に話してみたら彼は未だにすることがあるのだとか。

そこでふとなぜ私はこの妄想をしなくなったのか、何故彼はまだしているのかを考えた。

これは私の推測であるが、私が高校1年生のときにほんのちょびっとだけモテ始めたからだと思う。その友人は未だ彼女がいない。

おそらく、男は自分の今現在抱いているコンプレックスを解消するために妄想をするのだと思う。

現実で満たされないものを、架空の世界で満たそうとしてしまうのは男の性と言えるのではないだろうか。

ひとつ、私の印象に残っている小説の一節を紹介したい。

『何か拭い難い負け目を持った少年が、自分はひそかにえらばれた者だ、と考えるのは当然ではあるまいか。』(「金閣寺」三島由紀夫)



みんなはどんな妄想をしましたか?

また、女子の場合はどんな妄想をするんですか?

~Urako~

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