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スタートアップが海外進出を決めた理由

当社は2023年7月にシンガポールに初めての海外拠点を開設することを発表しました。
資金や人材などリソースが限られていると言われるスタートアップがなぜ海外に進出するのか?というご質問を頂くこともあり、ニュースリリースでは伝えられていない背景や理由について、シンガポール支社長として現地に赴任しているCFOの荒木のお話を交えながら、ご紹介いたします。


創業時から目指していた、日本発グローバルSaaS企業

当社は創業から海外展開を目指していました。
「おもてなし」という言葉の通り、日本企業の強みはきめ細やかなサービスであると言われていますが、当社もアプリケーション開発において、6 UX Valuesという「UPWARD」を通じてユーザーに届けたい体験価値を定めており、世界でも通用する、きめ細かでユーザーフレンドリーなUXを意識してきました。
想いやプロダクトの優位性だけで海外進出がうまくいくわけではないため、現地調査などを通じて、以下3つを根拠として具体的に海外展開の準備を進めてきました。

①グローバルでの市場機会の魅力

当社が提供している位置情報技術×CRMのアプリケーションはSFA市場(Sales Force Automation Market)やSEP市場(Sales Engagement Platform Market)に該当しており、世界規模で市場成長している状況です。
リサーチ会社の調査によると、SEP市場は2022年時点で68億米ドル、今後、2023年から2033年にかけて対前年比14.3%増で成長を記録すると言われています。

コンサルティング会社への調査依頼や複数回の現地調査を通じて、シンガポールが位置するアジアパシフィック地域でも直近において対前年比10%増で成長しているという報告を受けたこと、モバイルデバイスのビジネス利用が急速に進んでいることから、モバイルに特化した当社サービスへのニーズは同地域で強まるものと期待しています。

②提携パートナーの存在

当社は日本においてSalesforce社やMicrosoft社と協業して、お客様にクラウドサービスを提供しています。
グローバルに展開するSalesforce社やMicrosoft社も同地域に進出しているため、海外においても重要な提携パートナーとなります。

③人と人が直接会うことの価値

私たちの強みの一つである位置情報技術は日本だけの慣習や文化にとらわれないものであり、世界でも通用する技術だと考えています。
また、理由ではなく想いになりますが、CEOの金木は全社ミーティングにおいて、私たちの存在意義(Purpose)をシェアしてくれます。

「どんなにテクノロジーが発達し、DXが進んでも、 ⼈間社会における価値創造の源泉は、『⼈が⼈と直接会い、その空間で⽣まれる“共感”』であり、それが世界を変えていく原動⼒だと我々は信じています。」

海外進出への障壁

今、まさに成長しているSEP市場の中、荒木がUPWARDにジョインした当時を振り返りながら、お話しを聞くことができました。
「私がUPWARDにジョインしたのは2019年12月ですが、入社前からシンガポール進出を検討していました。とはいえ、当時の従業員は40人程度で、海外進出の前にまずは日本国内の組織体制を強化するフェーズでした。さらに、2020年を迎えてすぐに新型コロナウィルスの影響でシンガポールに渡航できないどころか、フィールドワーカーへ価値提供を行う私たちの存在意義自体がなくなってしまうのではないか?という状況に陥りました。
少しずつ、With コロナからAfter コロナに向かっていた2022年はアメリカの政策金利が22年ぶりに高水準になったことによる煽りを受けて、世界的にスタートアップ向けの資金調達環境が悪化しました。海外進出など攻めに転じるための資金が希望通り得られなくなるのではないか?といった不安を感じる年でした」と決して平たんな道のりではなかったといいます。
しかしながら、日本国内の組織体制が当時よりも強化され、事業も一定成長し、資金調達の見込みも立ってきたことから、コンサルティング会社への市場調査、複数回に亘るシンガポールやアジアパシフィック市場全体を見据えてのタイでの現地調査、海外進出支援プログラムへの参加などを経て、シンガポール支社であるUPWARD Sales Engagement Pte Ltd. 設立までたどり着くことができました。

シンガポール現地での取り組み

全社オフラインイベント「UPWARD100」にてシンガポールでの活動を紹介する荒木CFO

Salesforce社やMicrosoft社といったCRMプラットフォーマーとのシンガポールでのアライアンス推進、資金調達を目的とした海外投資家との関係強化、同地域に進出している日系企業への営業、現地人材の採用取組など、シンガポール国内だけでなく、近隣であるタイ、インドネシア、マレーシアにも積極的に出向いています。
シンガポールの生活を聞くと、荒木さんは現地でのリアルな実態や海外でのチャレンジを楽しそうに紹介していただきました。
「シンガポールに住んでみて、非常に物価が高いと感じます。英エコノミスト誌によるとシンガポールはニューヨークと同水準で物価が高く、生活費世界一と言われています。食費で例えると日本の2倍相当の物価高を感じます。
シンガポール進出前に市場調査を兼ねた出張では、いつもはビジネスホテルを利用していますが、ホテル代が非常に高かった時に、やむなくドミトリー(相部屋の宿泊施設)に泊まったこともありました。

ドミトリー(相部屋の宿泊施設)での一枚

つまり、日本の国際競争力が落ちているということだと理解できますし、現地での交流を通じての感覚として、前職三井物産でシンガポールに駐在していた2019年と比べて、日本人を街中で見かけることが少なくなっている気がします。
一方で、SaaS企業等を含めてスタートアップ、そしてベンチャーキャピタルが増えているため、シンガポールや同地域の大きなポテンシャルを感じています。同地域においては、位置情報を活用したGrab(グラブ)が生活に欠かせないアプリケーションとして根付いていて、UPWARDも同地域において欠かせないビジネスアプリケーションとなれるように取り組んでいきたい。」と世界のフィールドワーカーにUPWARDの価値を届ける想いに触れることができました。

編集後記

編集者である私が初めてUPWARDの人とお会いしたのは荒木さんでした。その時はまだシンガポール支社設立前で、私も入社する前でした。
ご縁があり私がUPWARDに入社した時にはすでに荒木さんはシンガポールに赴任され、入社前も入社以降もオンライン上でのやりとりでした。
大企業の海外駐在員であれば、同じ国籍の仲間が少なからず複数名在籍していることも多く、困ったときは何かと相談することができますし、かつ現地の習慣や文化に精通しているローカルスタッフも多く在籍しているのが想像できますが、スタートアップの当社は荒木さん1名体制でシンガポール支社を運営しています。

先日、初めてリアルでお会いした際に「日本にいる私には見えない苦労がきっとあるのではないか?」とふと思いました。
入社時から「日本からシンガポール支社にどんなサポートができるだろうか?」と考えていましたが、荒木さんのシンガポールでの取り組みをまず自分が知ることが具体的に動くために必要と考え、サポートの一歩目として社外に海外進出の背景や理由を伝える記事を制作することにしました。
日本発グローバルSaaS企業をめざすスタートアップとしても、UPWARDを社外の皆様に覚えていただけると非常にうれしいです。

UPWARDでは、一緒に働く仲間を募集しています。

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