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海外挑戦のはじまり

前回、前々回と海外挑戦しようとした理由を書きましたが、今回は実際に僕がどうやって海外のチームをみつけ、コンタクトをとり、契約に至ったかを書きます。

前回までのnoteはこちらから

駆け出し  On my own


大学3年の終わり頃、海外でプレーしようと考えだした僕ですが、正直この時は自分が本当にプレー出来るのか半信半疑でした。いや三信七疑ぐらいかも。
なぜかというと全部自分でやらないといけないから。
自分のレベルにあった国、リーグ、チームを探し、自分のレベルを証明できるものをつくり、そのチームとコンタクトを取れる方法を探し、チーム関係者と外国語でやり取りをし、トライアウトがある場合は現地に行き、トライアウトのような機会がない場合は必死に自分のレベルをアピールし、そして日本語ではない契約書にサインし、ビザを用意し、、、ということを自分でやっていかなければいけない。
いわば就活とやることは変わらないかもしれないけれどこれらのことを外国語でやるというのは、帰国子女でもない、大学まで日本にいて少し英語得意なくらいの人間には難しかったように思えます。それをやり遂げないと海外でプレーすることは僕は出来なかった。

正直、いいコネやサポートがあるのであれば、上記の半分くらいのことは人の力を借りてやることができるので少し楽になるし、海外に行きやすい。
コネというとちょっと印象良くないかもしれませんがここでいうコネは、エージェントや海外チームと繋がりのある人のことを指します。エージェントはチームと選手の間に入ってくれる存在。選手をチームに紹介し契約交渉などのやり取りも手伝ってくれる。
またサポートとは、例えると所属するチームが海外のチームやスポンサーと提携しており、そのつながりを利用してホッケー留学させてもらえたりなど。そういうサポートがあるとまずチームを探す必要もないし、お互いの競技レベルもある程度分かるし、チームとのやり取りもスムーズだし。

でも僕にはそれらの助けがなかった。
大学にそのようなサポートはなかったし、卒業してしまえば無所属だし。
エージェントは利用しようとしたが、なかなか見つからず、見つかってもあまり相手にしてもらえなかった。
なぜなら僕は大学卒業まで日本でプレーし、大した経歴もなく、尚且つゴールキーパーだから。
海外のチームからすると競技レベルもよく分からない、経歴も本物かどうか分からない人間に、イスも少なくチームの命運を握るポジションを任せるのはなかなかリスクがあるため興味を持ってもらえない。そうなるとエージェント側も成立しづらい仕事なので受けにくいのだと思う。

だからもう自力でやるしかなかった。
かろうじて、過去に海外でプレーされた方や海外ホッケーに関連されてる方との繋がりはあったので、その方々にどうやったらコンタクトを取れるかどうやって自分の競技レベルを証明したらいいかなどを聞いてまわり、そのアドバイスを参考に行動しました。
この助けもなかったら僕は何も出来なかったと思います。感謝です。

どうやってチームを探したか


北米やヨーロッパ、海外にはたくさんのホッケーチームがある中で自分のレベルにあったリーグ、チームを探します。
Elite Prospectsというサイトを利用しチームを探しました。
リーグやチーム、成績などの情報が集まったサイトで情報量、信憑性は世界的にトップ。海外のチームもほとんどがここでの情報を頼りにしています。

Eliteprospects

海外のプロ、セミプロ、ジュニア、アマチュアのほとんどのチームがここに載っています。(日本の情報は基本的に日本代表とアジアリーグ所属の5チームと既に活動していない岩倉組とコクドの2チームのみ…)

このサイトでチームを探す中で条件が色々とあり、まず前回のnoteに書いたように競争が凄く激しい北米よりヨーロッパのリーグ、外国人ゴーリーがプレー可能なリーグであること、これは大前提。そしてその中で外国人選手がプレーしているチーム、上のディビジョンとの繋がりや下部組織があるチーム、選手の平均年齢(年齢制限にひっかからないか)、GKコーチがいるか、といった条件が一つでも当てはまるチームを探しました。
それらの条件が一つでもあてはまったチームは150チーム以上ありました。

チームとコンタクトをとる


150以上あるチームから自分がプレー出来る可能性の高いところを絞っていきたいところですが、そのサイトでわかるのは上記の条件まで。外国人GKを取る気はあるか、そもそもプレーできるのか、トライアウトはあるのか、その辺を知るためには自分で直接コンタクトを取って調べるしかありません。
なので該当チームに片っ端からメールを送りました。
一チームずつチームのホームページを探し、GM、チームマネージャー、監督、コーチの連絡先を調べる。現地の言語でしか載ってないホームページがほとんどなのでなんとか連絡先を探し、少しでも繋がりが出来るように用具マネージャーやジュニアチームのコーチでも連絡先があればそこにメールを送りました。一チームにつき三、四件のメール、そのため送ったメール数は200件は優に超えました。もちろん全部英語のメール。
このやり方は結構無鉄砲なやり方で、効率は良くないかもしれない、でもそうするしかなかったと思う。
正直もうあれはやりたくない。

実際に送ったメール

ホッケーレジュメをつくる


チームにメールを送る際、日本から怪しいメールが届いたと思われないように、細かい自己紹介をし、信憑性のある情報、自分の競技レベルを示すものを付けて送りました。
まずレジュメ(Resume)というものです。
自分の履歴書です。自分のプロフィール、プレーした経歴、成績、特徴、強み、自身の目標やチームに貢献できること。それらを記したホッケー版の履歴書です。もちろん英語で。このレジュメはエージェントを利用する際にも必要となるので海外挑戦する選手のほとんどは必要なものになるでしょう。
これも自分自身で作りました。
僕自身そのレジュメの存在を知らなかったので書き方も分かりませんでした。海外でのプレー経験のある方や海外ホッケーに詳しい方、ネット情報に助けてもらいなんとか作り上げることが出来ました。
そのレジュメには自分の成績を載せる必要があります。eliteprospectsに成績が載っていればそれを参考にできますが。このサイトには日本のジュニアホッケー(高校大学含む)の成績は載っていません。てか国内で成績すらとってません。
なので自分で集計しないといけません。日本ではゲームシートというその試合の結果を記したものがあり、それが公式結果になるのでそこから集計します。僕はそのゲームシートから大学リーグ戦の個人成績は記録していたのでそこまでは苦労しませんでしたが、全く記録していなかった場合は自分が出場した全試合のゲームシートを集めて計算し、成績を出さないといけません。

僕がレジュメに載せている成績は、
・チームの試合数・自分の出場試合数・出場時間・勝敗・失点数・セーブ数・セーブ率・1試合の平均失点率・完封数 
です。

レジュメに載せたスタッツ

ただ日本での成績はあくまでちゃんとプレーしていたという証明。日本のジュニアは試合数も少ない、対戦相手のレベルもバラバラなので(国際大会の成績があれば別)、日本が、自分がどんなレベルかを海外のチームに分かってもらうにはプレー映像を見てもらうのがベター。
YouTubeに自分のチャンネルを開設、試合の映像や自分でハイライト動画を作り、またトレーニング映像などもアップしました。それらの映像をみてもらえるようにURLをメール、レジュメ内に添付しました。
https://youtube.com/channel/UCj-KuhkK7v-DXnakc7ym8Gw

返事待ち そしてトライアウト


このように頑張って色々つくったメールを200件以上送りまくりましたが、返信が帰ってきたのは20件ほど。
その中の半分はお断りの内容。もう半分の方の中の何件かは「無給でもいいなら」や「下のリーグで良ければ(アマチュア)」といった内容。そして残りの何件かが「トライアウトおいで」といった前向きな返事だった。
その前向きな返事をくれたチームの一つがフィンランド3部のチームだった。
無鉄砲なやり方だったかもしれないがここでやっと海外挑戦への希望の光が見えた。

そして実際にオフシーズンの5月にフィンランドへ行き、トライアウトを受けました。

5月にも関わらずフィンランド・オウルは雪が積もった


そのトライアウトはそのチーム自体が企画したもので、二日間で行われました。氷上練習、陸上での測定・トレーニング、試合という内容でした。
試合ではトライアウトを受けたGKの中で一番いい成績でした。
結果は合格。もし不合格だったら他の国のトライアウトにも行く予定でしたが、いい返事をくれたチームの中でフィンランドのチームが一番自分にとっていいレベル、環境だっためフィンランドでプレーすることを決め、他の国に行くことはありませんでした。
晴れて僕は、三信七疑だった海外挑戦の切符を実際に手にすることが出来ました。


と、こんな感じでまたまた長文になってしまいましたが、このようにして僕は海外のチームを探し契約に至りました。
効率の良いやり方ではないかもしれませんが、日本の大学を卒業した後で、ましてやゴールキーパーはこれくらいしないと海外挑戦できないかもしれないということを知ってもらえたらと思います。
やり方は自分次第。
出来ればこういう立場の人をサポートするシステム、そうしなくても国内でアイスホッケーでの挑戦を続けられる環境があればいいな、つくれればいいなとと思っています。


読んでいただきありがとうございました!
何か聞いてみたいことなどあればコメントください!


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