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ダッシュボードを通じ景気指標や人流動向などを可視化、高度な経営判断が可能になる(第15回優勝社 株式会社ナウキャスト)【3月度協働の取組①】

オルタナティブデータを提供するナウキャスト(東京都千代田区)との連携

株式会社ナウキャスト(東京都千代田区)は東京都と共同で、都内中小企業の景況や消費・人流動向などのデータを可視化した「都内中小企業の景況指標ダッシュボード」を開発しました。ダッシュボードは企業の経営判断に活用できるもので、東京都のウェブサイトで公開しています。

クレジットカードの決済データや人流データを分析して投資家や事業会社に提供

ナウキャストは、POSや決済、位置情報といった「オルタナティブデータ」の分析サービスを提供しています。
その一つが「JCB消費NOW」。匿名化されたクレジットカードの決済データに基づき、国内の個人消費の動向を業種ごとに指数化しています。
また、KDDIのスマートフォンの位置情報を基にした「人流データ」も扱っており、工場や商業施設の人の出入りを分析し、投資判断に活用できるようにしています。


データ分析イメージ

さらに、クレディセゾンとの協業では、同社のクレジットカードの決済データを基に商業施設の来訪者の消費行動を分析し、その嗜好に合ったテナントをランキングリストとして提供するサービスを開始しました。これまで商業施設では、担当者の勘と経験に頼ってテナントを選定していましたが、「どういったブランドを購入しているのか」「どこでお金を使っているのか」といったデータに基づいた誘致が可能となります。現在はレポートで情報を提供していますが、今後「分析ダッシュボード」を開発する予定です。このダッシュボードを使えば、例えばデベロッパーの担当者がテナントを選定する場合に「この商業施設の来訪者は、ほかにどんなブランドを購入しているのか」などの分析を担当者自身で行えるため、より効率的な誘致活動を行えるようになります。


これまではPDFで調査結果を公表

東京都では、3800の企業を超える都内の中小企業を対象に生産・売上額などを調査し、その結果を指数化。企業が経営戦略などを決める際の判断材料として活用できるよう、毎月調査結果を公表しています。しかし、これまではPDFだけで情報を発信していたため、活用方法が限定的であるという課題を抱えていました。このため、経済データの可視化と分析に強みを持つナウキャストと連携することにより、確認したい指標を選択しデータとして可視化できるダッシュボードを共同で開発し、経営をサポートするツールとして大きく生まれ変わりました。


複数データを比較し分析可能。FAQを通じ、用語や利用方法を詳しく説明

ナウキャストは2021年10月に開催された第15回の「東京都中小企業の景況調査にかかるオープンデータの活用について」で優勝を果たし、22年1月から本格的な協働を開始しました。ダッシュボードを構築する上で時間を要したのが、どういったデータを掲載するかについての調整。8月に最終確定し11月から12月にかけて一気に開発を行い、今年1月から東京都のウェブサイトを通じ、誰でも無料で利用できるダッシュボードを公開しました。

東京都中小企業の景況

最大のメリットは、「都内中小企業の景況指標」データと、ナウキャストが提供する業種別の決済データ並びに人流データを比較することができる点です。例えば、人流データでは下北沢や立川、武蔵小山など都内10駅周辺の滞在人口を前週比で示しています。小売業の業況や売上高の景況データと人流データや決済データを比較することで、人の移動や消費動向の売上への影響を確認することができます。
また、ダッシュボードにはFAQ(よくある質問)を掲示。用語や利用方法について詳しく説明しています。加えて、サイト内には意見等を受け付けるリクエストボックスを設けており、利用者の意見などもいただきながら、今後もサイトの改善を重ねていく予定です。より高度な判断を行えるサイトづくりを目指します。

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