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大勢の人が集まっても、AIを通じ節電を実現しながら展示施設の快適な環境を提供(第23回優勝社 SOINN株式会社)【1月度協働の取組①】

SOINNと東京ビッグサイトがキックオフミーティング

東京都はこれまでに開催したピッチイベント「UPGRADE with TOKYO」で優勝社に選ばれたスタートアップ各社の皆様と都政課題の解決に向けて協働を進めています。今回は、第23、24、25回目の優勝社との間で昨年12月に行われたキックオフミーティングについてお伝えします。

電力不足が長期化し、冬の節電期間が開始

我が国の電力不足は長期化し、昨年12月からは7年ぶりとなる冬の節電期間が開始しました。政府は数値目標を掲げず、2023年3月末まで全国の家庭や企業に無理のない範囲で協力を求めています。このような状況の中、東京都は、「電力のHTT(「H」減らす・「T」創る・「T」蓄める)の推進」をテーマに、第23、24、25回は合同開催としました。第23回(「H」減らす)で優勝したのはSOINN(ソイン)株式会社で、臨海副都心にある株式会社東京ビッグサイトとの間で昨年12月にキックオフミーティングが行われました。

イベントによって大きく変わる東京ビッグサイトの館内温度

東京ビッグサイトは3つの展示棟と、1000人を収容できる国際会議場が入る会議棟で構成され、総展示面積は11万5420平方㍍で、日本一の展示面積を誇ります。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響はあるものの、大勢の人が集まる展示会やイベントが数多く開催されています。そんなビッグサイトの館内温度は、気温や来場者数、催事の性質など、様々な要素によって大きく変わります。快適な温度を保つために、膨大な電力を必要としています。これまでもビッグサイトでは電力削減に取り組んできましたが、出展者の要請に応じた温度調整が必要となるなど、一筋縄でいかないのが現状です。そこで期待されるのが、SOINNの技術です。

需要予測や運転計画を行うAIなどで、電力消費を削減

同社のシステムでは、施設内の電力稼働状況を独自AIによって検出し、節電を実現します。具体的には翌日の天気予報を踏まえて需要予測と運転計画を行うAIが、エネルギー消費量が最小となる設定値を探索。当日の状況を踏まえ、リアルタイム最適化がAIずれを補正し、出力・制御します。東京・丸の内エリアでは高度な省エネ対策を構築していましたが、大規模熱源システムにこの技術を搭載することで、更に電力消費量を4%削減することに成功しています。

SOINN社 予測AI 

SOINNとビッグサイトは、必要なデータについて更なる協議を重ね、AIの力によってどこまでエネルギー消費を削減できるかについて検証していきます。この日の会合では、展示棟の統括拠点である中央監視装置も見学し、どういった形でエネルギー管理が行われているのかを見ながら、必要なデータについて意見交換が行われました。
ビッグサイトは広大な建物だけに、最初から対象を施設全体にはせず、共用部などに絞って検証を進め、着実に成果を残していくというスタイルで検証が進められていきそうです。

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