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詩ことばの森 森 雪拾(もり ゆきひろ)

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複雑で変化の激しい時代ゆえに 優しさと癒やしの詩の世界を伝えていければと思います
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#森雪拾

詩ことばの森(190)「遠い空」

遠い空 古い時代の日記を読んでみた 変わりゆく世に生きることを 昔の人は 旅にたとえていた…

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詩ことばの森(189)「夏の闇」

夏の闇 夏の森に ひそむものたち 彼らの声が聞こえる夕 最初は微かな囁き 枝葉をゆらす風と …

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詩ことばの森(188)「(雨がふりはじめると)」

(雨がふりはじめると) 雨がふりはじめると 土の匂いがした ぼくは森の道を歩いていた 道は…

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詩ことばの森(187)「川の光」

川の光 そのとき きみとぼくのあいだに 小さな流れがあった 川のような 光のような 銀色に…

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詩ことばの森(186)「きえた風船」

きえた風船 そして すなおという字を書きながら 風船は 空の彼方へときえてしまった 都会の…

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詩ことばの森(185)「ゴール」

ゴール あと少し あともう少しで ゴールに着くのだ 焦りがある時は禁物 必ずといってよいほ…

UNWIND&KOMOREBI
11日前
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詩ことばの森(184)「魚の夢」

魚の夢 現実をみろと 先生は言った 夢子ではだめだと こわい顔をした 大人になったある日 居酒屋で先生を見かけた 聞きおぼえのある声で 赤い顔をしながら 魚だ サカナが 泳いどるぞと お猪口をのぞいていた 魚は勢いがよいらしく 先生は頭を回転させている くるくる くるくる さかながおよいどる およいどるぞ 先生はそう言うと お猪口を一口で飲み干した 今でも わたしは夢をみつづけてるけど あれから 先生の姿は見かけない と

詩ことばの森(183)「不在の街」

不在の街 白い空が広がり 街は眠たげである ここには 誰もいない気がした だれもが存在して…

UNWIND&KOMOREBI
2週間前
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詩ことばの森(181)「古い家の記憶」

古い家の記憶 古い家の記憶は 病葉の庭に たたずむ影となる あれは 幻 夕暮れ近くの窓に わ…

UNWIND&KOMOREBI
2週間前
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詩ことばの森(180)「かつて風が」

かつて風が かつて風が 望みを失い 迷走していた頃のこと 雪のふりしきる町でのことだ 家々…

UNWIND&KOMOREBI
2週間前
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詩ことばの森(179)「歳月」

歳月 夜が来た 鬱蒼とした森の夜 鳥たちは眠り 樹木たちは密かにつぶやく 月夜である 少年の…

UNWIND&KOMOREBI
2週間前
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詩ことばの森(178)「蔵の中」

蔵の中 なつかしい故郷の家にいくと 欅の巨木のそばに古い蔵があって 白壁がところどころ削れ…

UNWIND&KOMOREBI
3週間前
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詩ことばの森(177)「空色の花」

空色の花 街をさまよい 小さな花屋をみつけた 店先には小さな花が並んでいた 悲しみの花をひ…

UNWIND&KOMOREBI
3週間前
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詩ことばの森(176)「白い夢」

白い夢 朝方の窓辺は 白い夢となり 僕は故郷の庭を思い出していた 灰色の土に 赤いダリアの花が咲き 鳥たちは忙しげに鳴きはじめる 季節ごとに 暗示された一日を それらの積み重ねである一生を 静かに あるいは重く 夢は語りだす 古い家の記憶はおぼろげだが 人の気配はたしかにあって 台所ではお湯の沸いた音がしている さっきまで誰かが佇んでいた庭は こもれびに淡く照らされている 誘われるように 後ろを振り向くと 裏木戸がわずかに開いていて 風もないのに不