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遠い空 古い時代の日記を読んでみた 変わりゆく世に生きることを 昔の人は 旅にたとえていた…
夏の闇 夏の森に ひそむものたち 彼らの声が聞こえる夕 最初は微かな囁き 枝葉をゆらす風と …
(雨がふりはじめると) 雨がふりはじめると 土の匂いがした ぼくは森の道を歩いていた 道は…
川の光 そのとき きみとぼくのあいだに 小さな流れがあった 川のような 光のような 銀色に…
きえた風船 そして すなおという字を書きながら 風船は 空の彼方へときえてしまった 都会の…
ゴール あと少し あともう少しで ゴールに着くのだ 焦りがある時は禁物 必ずといってよいほ…
魚の夢 現実をみろと 先生は言った 夢子ではだめだと こわい顔をした 大人になったある日 居酒屋で先生を見かけた 聞きおぼえのある声で 赤い顔をしながら 魚だ サカナが 泳いどるぞと お猪口をのぞいていた 魚は勢いがよいらしく 先生は頭を回転させている くるくる くるくる さかながおよいどる およいどるぞ 先生はそう言うと お猪口を一口で飲み干した 今でも わたしは夢をみつづけてるけど あれから 先生の姿は見かけない と
不在の街 白い空が広がり 街は眠たげである ここには 誰もいない気がした だれもが存在して…
古い家の記憶 古い家の記憶は 病葉の庭に たたずむ影となる あれは 幻 夕暮れ近くの窓に わ…
かつて風が かつて風が 望みを失い 迷走していた頃のこと 雪のふりしきる町でのことだ 家々…
歳月 夜が来た 鬱蒼とした森の夜 鳥たちは眠り 樹木たちは密かにつぶやく 月夜である 少年の…
蔵の中 なつかしい故郷の家にいくと 欅の巨木のそばに古い蔵があって 白壁がところどころ削れ…
空色の花 街をさまよい 小さな花屋をみつけた 店先には小さな花が並んでいた 悲しみの花をひ…
白い夢 朝方の窓辺は 白い夢となり 僕は故郷の庭を思い出していた 灰色の土に 赤いダリアの花が咲き 鳥たちは忙しげに鳴きはじめる 季節ごとに 暗示された一日を それらの積み重ねである一生を 静かに あるいは重く 夢は語りだす 古い家の記憶はおぼろげだが 人の気配はたしかにあって 台所ではお湯の沸いた音がしている さっきまで誰かが佇んでいた庭は こもれびに淡く照らされている 誘われるように 後ろを振り向くと 裏木戸がわずかに開いていて 風もないのに不