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詩ことばの森(186)「きえた風船」

きえた風船

そして
すなおという字を書きながら
風船は
空の彼方へときえてしまった

都会のビルはこわい
と君が話していた
あのとき
僕はほとんど聞いていなかったろう

いまは少し
君の気持がわかる気がする
抜け殻のように
街を彷徨っていると
それがよくわかる

こわいものなど
なにもないとは
もういえない
空さえ降ってきそうだ

(森雪拾)

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