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パーソンズ美術大学留学記 Week11 #090

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毎日学んだことをメモしているツイートを引用しながら、2021年11月8日~11月12日(Week11)を振り返ってみます。

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「デザイン」の定義とは?

私はパーソンズ美術大学の"Transdisciplinary Design"という学部で勉強をしていますが、実は今も"Transdisciplinary"の意味も"Design"の意味もハッキリとはわからないままです。

まず、"Transdisciplinary"は日本語で「分野横断的」などと訳されますが、まだ日本語としては馴染みのない単語だと思います。英語のネイティブや添削ソフトでさえ知らない場合があるようで、英単語としても珍しい単語のようです。似たような単語に"Multidisciplinary"や"Interdisciplinary"などもあります。これらの違いについての文章も何度か読んだのですが、まだ上手く言葉で説明できるほど理解しきれていないので、こちらの説明はまたの機会に。

では、"Design"はどういう意味か?日本語でも「デザイン」という音だけがそのまま日本語化しているので、意味が分かりにくい単語だと思います。授業内で、"Definition of Design"を考える機会があり、その授業を担当されている先生なりのデザインの定義を聞くことができました。その先生は「20世紀的な定義だよね」と謙遜していらっしゃいましたが、個人的にはかなりスッキリした定義なのではないかと思ったので、ここで共有してみます。

The specification of the materialization of an idea for an other 

この定義によると、デザインは大きく3つの要素に分けられます。

Specification: 何かの「設計」をする

デザイナー自身が成果物の全てを作る必要はありません。サイズや素材などの仕様を指定することで、デザインの仕事はひとまず完結し、実際に作るのは別の人や機械であっても構わないという意味です。

Materialization: 具体的なものとして提示する

頭の中のアイデアを形にして他人にも理解できる・使える状態にすることもデザインのひとつです。今はデジタル・サービスといった手で触れられない物もデザインの対象になっていますが、現実世界にアイデアを具現化して人々がそれを共有できれば、この点を満たしていると解釈ができます。

For an other: 誰かのためである

そのデザインが生まれたことで何かしらの恩恵を受ける人がいることを想定する営みであるということです。自分のためであったり、誰のことも想定していない行為はデザインではないということになります。


秋学期の前半にあった授業では、「デザイン思考」とは何かについての話もありました。デザイン思考で検索すると、いろいろな人がデザイン思考を図示した画像を見つけられると思いますが、そのどれもデザイン思考を正確に描写しているとは言えないそうです。そこでも、結論は「デザイン思考とは何かという明確な定義はない」でした。デザイン界の厳密に定義しないスタンス、私はスキです。


デザイナーの守備範囲

現代の社会システムを理解する上で欠かせない考え方が、ミシェル・フーコーが唱えた「監獄の誕生」。人類が生み出した自己家畜化の手法が身体的な調教よりも、監視の目を精神に内在化させる方向にシフトしており、社会の至る所で利用されていることを明らかにしたという内容です。詳しい内容はこちらの動画がわかりやすいかったので、参照してみてください。

デザイナーは哲学、心理学、経済学、歴史、教育など幅広い分野の知識も持っていないといけないと感じます。ある問題を解決しようと思ったら、一つの分野の知識だけでは太刀打ちできません。まさに"Transdisciplinary"なアプローチが求められるのです。もしかしたらデザインの定義が定まってないがゆえに、他の分野の担当領域にも入っていって「これもデザイナーの仕事です」と言えるのかもしれません。

個人的には、文系や理系という分類関係なく、様々な人類の英知に触れるのがスキなので、このような"Transdisciplinary Design"が理想とするアプローチは自分に合っていると感じます。


何のためのデザインツール?

これまでに学んできたデザインツールを試してみるというステージに入りました。誰のために?という部分を設定することはないままなので、ツールを使うこと自体が目的化してしまっている印象もありますが、短期間で様々なデザインツールを経験できるのは面白いです。

デザイン思考やデザインツールを使う際に気をつけたいのは、「カーゴカルト」に陥いらないことです。「デザイン思考ってこういう手法なんでしょ」と、ただデザインツールを使っていても、良いデザインはできません。何のためにこのデザインツールを使うのか?誰のためにデザインをしているのかという本質を問い続けることの方が重要です。


まとめ

「デザインとは何か?」について考える1週間になりました。デザイナーとは職業の名前というよりも、生き方そのものを表した言葉のような気がしてきています。Week11を迎えて、秋学期も2/3以上が終了。嬉しいような寂しいような。


今週の英語表現

Mafia Game

日本でいう「人狼」です。アメリカ?では「マフィアゲーム」と呼ぶそう。役職の名前は違うものの、ルールはまったく同じみたいです。


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