第6回 安心できないトイレは「我慢」を引き起こす
みなさま、おはようございます。
毎週月曜日の更新する災害時トイレの連載です。
先週は、ウクライナとハンガリーの国境で避難者支援活動に取り組むアムダの難波さんをお招きして勉強会を開催しました。その避難施設での仮設トイレがすごくて驚くとともにあせっております。
個人や組織、地域のトイレの備えにつながることをできるだけ分かりやすくお届けできるように頑張ります。
今回はトイレを我慢してしまうことについて書きます。
排泄は生きていくうえで欠かせない生理機能の一つです。食べること、眠ることと同じくらい大事です。
食べなければ餓死しますし、数日眠らなければ精神的に危険な状態に陥ります。排泄をとめようとすることは、身体に不要なものをため込むことになるので命に関わりますし、そもそも生きている限り止めることはできません。
では、本題です。
トイレを我慢する、つまりトイレに行きたくないと感じさせてしまう要因は人それぞれ異なります。
程度の違いはありますが、くさかったり、汚れていたりするトイレは誰もが避けたくなります。
また、女性や子どもであれば、暗がりにあるトイレは怖いでしょうし、寒い時期に屋外のトイレは使いたくありません。風雨等の悪天候時も同様です。
トイレが遠くにあるため、そこまで行くのが大変という意見もあります。また、男女共用しかない場合や数が少なくて待ち行列ができる場合も困ります。車いす利用者や足腰が悪い人は、段差があったり和式便器だったりすると使えません。和式便器を使ったことのない子どもにとっても困難です。
このようにトイレを不便もしくは不快と感じてしまうことが一つでもあると、私たちはトイレに出来るだけ行かなくて済むように、意識的にも無意識的にも水分摂取を控えがちになり、体調を崩してしまいます。
平成 16 年新潟県中越地震に関する住民アンケート調査(小千谷市・川口町編)によると、避難所での体験でトイレが不安で水を飲むことを控えたとする人は小千谷市で33.3%、川口町で13.8%という結果でした。かなりの人がトイレが原因で水分を控えていたことが分かります。
トイレが不安だと水を飲めなくなる、ということを肝に銘じておかななければなりません。
だからこそ、水分や食事をしっかり摂って健康を維持するには、安心できるトイレが必要ということになります。
ご案内
2022年5月11日に、内閣府(防災担当)の伊藤靖晃さんをお招きして勉強会を開催します。先日、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインが改訂されましたので、そこも含めて災害時における避難所の生活環境対策についてお話しいただく予定です。よろしければぜひご参加ください。
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