オフィスのトイレはインターネットで驚くほど快適になる!
IoTとは、Internet of Thingsの略です。
Wikipediaでは、
「様々な『モノ(物)』がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組み」
と解説されています。
今回取材したのは、IoTはIoTでも、「Internet of toilet」です!
これは富士通九州システムズが開発したトイレ混雑緩和・看守りサービスの名称です。
どのようなサービスなのかを説明する前に、このサービスが生まれるに至った背景を紹介します。
あるとき、富士通九州システムズは、従業員の満足度を向上させることを目的として、アンケートを実施しました。すると、集められたアンケートには、「仕事中、トイレに行っても空いてないことが多い」「もっとトイレの数を増やしてほしい」という声が多くあったようです。総務部への切実な要望です。
このとき、当時の社屋のトイレを調べたところ、100人以上の従業員に対してトイレは男女各3個室だったとのこと。
一見、足りていそうな感じですが、従業員のうち女性は10%だったため、男性は90人で3個室ということになります。
以前に、「オフィスの便器の数はどう決めるのか」ということを書きましたが、国内においては、厚生労働省事務所衛生基準規則第17条1で決められています。
どのような内容かというと「男性用大便器は60 人以内毎に1 個以上」というものです。ということは、規則上は足りていることになるのですが、実際はそうではなかったのです。
デスクワークなどの社内業務で職場に残る社員が多いこと、出勤後や昼食後などには利用が集中すること、などが影響し、トイレ難民が多数発生していたのです。
富士通九州システムズは、ITの会社です。しかも、未来社会ソリューション本部という、IoTやAIを活用して社会にあるさまざまな問題を解決することを目指している部署があるんです。この課題を見過ごすわけにはいきません。
この課題の解決に向けて白羽の矢が立てられたのは、デジタルサービス開発部マネージャーの常盤さんです。常盤さんは、困りごとの解決が大好きな根っからのエンジニアです。
すぐさま関係者へのヒアリングを重ね、簡易コンピュータのRaspberry Piを使って試作機を作り、試行錯誤を経てシステムを完成させました。それがトイレ混雑緩和・看守りサービス「Internet of toilet」です。
通常は、仕事中に便意をもよおしたら、席を立って最寄りのトイレに向かいますが、個室の目の前までいかないと、空いているかどうかは分かりません。
もし空いていなかったら、トイレから出て、階段を使って他の階に行かなければならないのですが、上の階に行くか、下の階に行くかは、運命の分かれ道です。
最大限の勘を働かせて選ぶのですが、向かった先のトイレも満室!なんてことも少なくないですよね(涙)
ですが、もうそんな心配はいりません。
Internet of toiletでは、トイレの個室の扉にセンサーを取り付けることで、扉の開閉により使用の有無を判断します。使用状況は廊下に設置したトイレサインや、そして個人のPCやスマホで確認できます。
このシステムを活用すれば、どこにいても各フロアのトイレの空き状況が分かるので、無駄な離席がなくなります。
しかも、廊下に設置されているトイレの満空サイネージにより、どのフロアのトイレが空いているかが一目瞭然なので、「上の階に移動するか、下の階に移動するか」で迷うこともありません。
(出典:Internet of toilet トイレ混雑緩和・看守りサービス)
また、システム導入後の利用者の声にも耳を傾け、日々システムを改善しているそうです。
例えば、PCやスマホの画面は、男性用と女性用で入り口が分かれました。女性のプライバシーに配慮した結果です。
さらに最近では、最寄りのトイレの個室が空いたときに、お知らせメールが届く機能まで追加され、どんどん進化しています。
常盤さんによると、このシステムを導入したことでトイレに行くまでの動線の効率化ができたとのこと。これぞ、トイレの最適化です。
設置後しばらくして、システムのメンテナンスでこのサービスを一時止めなければならないことがあったそうですが、そのときはクレームが殺到したそうです。それほどまでに必要とされているのですね……笑
このようにトイレの最適化に向けた技術はかなり進化しています。
排泄は生理現象ですし、我慢するのはからだにとってよくありません。
トイレに行きたくなったらストレスなく行ける環境づくりはとても重要で、こういった技術が街中にも普及することは、障がい者や子連れ、高齢者、外国人などが外出する際のサポートにもなります。
多機能トイレが混雑している、という社会的課題にも貢献できますね。
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