「未経験からエンジニア」でやり抜いた時の昔話
※この記事は株式会社Synamon在籍時に書いた記事です
先日社内MTGでLTした内容が一部で好評だったこともあり、せっかくなので記事化することにしました。
いまでこそ「エンジニアリングマネージャー」という大層な名前の役割を担っている僕ですが、IT業界入りたての頃はなんもわからん状態でした。
Synamonが掲げるバリューのひとつに「想いを持ってやり抜く」という行動指針があります。今回はそんな未経験からのやり抜き話をさせていただきます。
※本文における「エンジニア」は「ITエンジニア」を指します
未経験からエンジニアの過酷さ
遡ることいまから13年前。僕は新卒で「未経験からエンジニア」になりました。
昨今は他業種からの転職で「未経験からエンジニアになって稼ごう!」みたいな謎の風潮がありますが…自分はその手の方たちとはまったく違う文脈でITエンジニアを志しました。
前職のインタビュー記事でも触れていますが、きっかけは「検索」です。
子どもの頃から動植物や自然環境に興味があり、大学では生物資源科学部に所属していました。論文を漁ったり調べ物をするのには検索が必須ですし、レポートを書いたりゲームするにしてもパソコンを使います。携帯電話などのガジェットが好きだったことも、IT業界に興味を持った一因ですね。
これらの内部構造がどのようになっているのか知りたいという欲求が強かったのと、エンジニアになれば「普段使ってるようなソフトやサービスを自分の手で作れるかもしれんってこと…?ヤバない???」「これからの時代にITは必須やろ!」というわけで大学卒業後、検索システムを扱っているSIerに入りました。
とはいえ情報処理未経験の自分には、プログラムを書くのはほぼ初めてで(HTMLが少しわかる程度の能力)、サーバーやネットワークの知識も皆無な状況で過ごす日々。チート能力無しで異世界転生してレベル1からのスタートはかなり酷でした。
先輩方の話す言葉が、まるで知らない国の言語のように聞こえ…毎日無能感を抱いていました。OJTはあったものの、最初の半年くらいは完全にお荷物扱いされていたと思います。
あるとき営業部長に「給料以上の働きをするのは当たり前や。お前を雇うのにもっと金かかっとるんやぞ!」と言われたときはハッとしました。いかに自分が学生気分だったかを思い知らされましたね。
会社におけるコスト意識というものも、この出来事をきっかけに考えられるようになりました。
採用にかかるコストは採用担当になればおおよそ理解できるでしょう。社員ひとりにかかる人件費については、PMのような立場で見積もりを行う際や創業期のスタートアップに属していたり、リーダー・マネージャー・経営層であれば、意識せざるを得なくなりますね。
目標があったからこその達成
自分で選んだ道。先輩方の助けを借りながらも、自ら勉強してバリューを発揮できるよう努めました。
僕の場合はひたすら本を読み、理解を深めていきました。プログラミング言語の基礎本だけでなく、OSやネットワークのしくみ、プロジェクトマネジメント系のスキルも補完していきました。
手を動かして実践に取り込んでいくことで力が身につき、徐々に任せられる仕事の裁量も大きくなっていきました。小さなプロジェクトながらひとりで完結できるようになった時は「ようやく先輩たちに迷惑かけず仕事ができるようになったのかな…?」と思いました。
最終的に、在籍していた5年間で扱えるプログラミング言語は10個くらいになり、要件定義から設計、開発、テスト、運用保守まで大体カバーできるようになりました。
のちに創業期スタートアップやベンチャーで働く上で、新しい技術のキャッチアップや事業のピボット、幅広い仕事にも柔軟に対応できているのは、この時の経験が生きているのだと実感しています。
もちろんこれは自分ひとりの力で達成できたわけではなく、ロールモデルとなる先輩たちの存在が非常に大きかったと思います。
問題解決力や論理的思考、率先して背中を見せる姿勢というのは、エンジニアに限らず、チームリーダーやプロジェクトマネージャー、エンジニアリングマネージャーという立場においても役立つスキルです。
自分本位にならず「視野・視座・視点」を意識できるようになると、エンジニアとしての総合力も上がっていくのではないでしょうか。
「少しでもはやく理想のエンジニアに近付きたい」ある種の憧れのようなものがひとつの目標となり、目指すべき道が見えてきたことで頑張れました。
優秀な人たちと一緒に働ける環境というのは、モチベーション維持において何よりも重要だと感じます。
エンジニアリングの面白さ
困難な状況を乗り越えると、見えてくるものも多くなります。知識を得ることが行動の原動力になることもこの頃に学びました。これまでわからなかったことがわかるようになる感覚。個人的にはこれが楽しくて勉強している節もあります。
エンジニアリングの面白さに気付けたことも、自分の成長を支える要素のひとつになりました。エンジニアって、ひたすら画面と向き合う仕事のイメージを持たれている方も多いと思うんですよね。
でも実際は人と向き合うことが多い仕事なんです。企画提案から要件定義、見積もり、技術選定、設計、仕様策定etc... 個人開発でないかぎりはチーム開発が基本です。
社内にとどまらず社外の方々とのコミュニケーションもありますし、業界をまたいだ事業展開が可能という点は、ITの強みですね。学べる技術領域の幅広さや課題解決の連続というのも、知的好奇心を満たすことが好きな僕にとっては「天職」とも言える仕事だと気付かされました。
「誰かの役に立つものを作っている」と実感しやすいことは、自分の信条にも通ずるものがあり、10年以上この業界に居続けられている大きな理由でもあります。
「想いを持ってやり抜く」とは
結局のところ「想いを持ってやり抜く」ためには、以下のような要素が重要になってくるのではないかと個人的には解釈しています。
情熱は、継続や成長に対して必要なエネルギーの源です。
これだけは譲れない。誰にも負けない。たとえ困難に打ちのめされても「地べたを這いドロ水すすってでももどってきてやる…」くらいの想いがないとやり抜けない気がしています。
僕が未経験からのエンジニアとしてやり抜けたのは「情熱」と「粘り強さ」があったからこそなのかなと、今回LTで話してみて改めて感じました。
会社のビジョン、ミッション、バリューに沿うマインドセットを持っているかどうかは、実は自分の過去を振り返ると見えてくるのかもしれませんね。
最後に
個人の活動として「Easy Easy」というエンジニアリングコミュニティを運営しています。毎月最終週の火曜日に勉強会を開催しているので、興味のある方はぜひご参加ください。
社外のコミュニティに飛び込み、様々なバックグラウンドを持つ人たちとのゆるいネットワークを作っておくのも大事な時代です。ひとりで勉強するのって普通にしんどいですし、経験者と話すことで悩みが解消されることもあるかと思います。
様々な本やコミュニティ含め、先人たちの知見は積極的に利用していきましょう。
以上、「未経験からエンジニア」でやり抜いた時の昔話でした。