見出し画像

2024年7月17日 関係性は糸のように


「関係性が出来上がっておりてくることはない」とふと思いました。
ラピュタの冒頭よろしく、
「親方!空から女の子が!」方式で、
自分の頭上に、自分好みの魅力的な相手が突然現れるということは、現実にはありません。
パンを咥えていて、
角で出合頭にぶつかった相手に、別の場所で出会い、よくよく見ればとっても自分好み、とか、
相性が良さそう、ということもないのです。

食べ物については、完全に出来上がった状態(レトルト・冷凍食品・惣菜など)で、売られている現代です。
しかし、関係性については、完全に出来上がった状態のものを買うことは未だできず、
関係性の一部のみを大変高額で、
時間割、日割りなど時間限定・期間限定で購入することしかできません。
そして購入したとして、相手の本心からの愛情や友情が約束されるとはいえません。
何故なら、食べ物と異なり、関係性には生きた人間が必要で、人間には人格や意志というものがあるからです。
買い手側が完全に思い通りにすることは、おそらく、難しいでしょう。

関係性はこつこつ作っていくしかないのです。
糸を紡ぐように、手間がかかる作業をやっていくしかありません。
綿や繭のような原料から、繊維を引き出し、より合わせて、糸を使っていくことを「紡ぐ」と表現しますが、
人間関係もそういうところがある、と思うのです。
自分と気が合いそうとか
いいやつそうとか、
外見が好みというのは材料で と言えるでしょう。
それだけが落ちていても、それだけを気に入って手にしていても、糸にはなりません。
その原料から、糸口となる箇所を見つけ、
(出会う、声をかける、挨拶をする)
繊維を引き出し、
(会話をする、共に何かを体験する)
糸を撚り合わせて
(何度も会話をする、遊ぶ、食事をする、連絡を取る、ともに何かを体験する)
実用可能なレベルに糸を太く強くする、
(より深い関係性になる、助け合う、相談し合う)
という工程が必要です。
例えば、
知人レベルの関係性作りに必要な行動は以下のように挙げられるでしょう。
・挨拶をする
・相手の話を聞く
・手助けできることがあれば手助けをする
・手助けをしてもらえそうなことがあれば手助けをお願いする
・時々安くて美味しいものを共有する
友人レベルの関係性作りなら、以下の行動が必要かもしれません。
・挨拶をする
・体調を気遣う
・ねぎらう
・褒める
・お願いする、お願いされる
・連絡を取る
・食事をする
・遊ぶ
・遊びや食事は相手ばかりでなく、時には自分が誘ったり、企画したりする。
・定期的に美味しいものを共有する
⭐︎特別親しくなったら、心配する、助言する 
知人と友人は地続きですが、違いは確かにあります。
一緒にいて、顔色を窺うもしくは窺われるような相手は、友人に入れないほうがいいような気がしています。
知人と友人という分類も、時々に自分で変更していって良いものです。

その間に、糸がこんがらがったり、ちぎれたり、
(関係性がこじれる、仲が悪くなる、喧嘩になる)ということも当然起きてきます。

ですから、関係性というやつは、誰か1人に全がけしてはいけません。
現実は恋愛シュミレーションゲームではないからです。
攻略対象だけの好感度を上げても、人生は恋愛だけではないのでひとつも役に立たないのです。
多種多様な相手との様々な関係を持っていて、それぞれ少しずつ、関係性を作っていく必要があります。
英語には“Don’t put all your eggs in one basket.”(一つのカゴに卵を盛るな)ということわざがあるそうです。
リスクは分散させておくべき、というのは最近流行りの投資でもよく言われることですね。
関係性においても、恋愛だけ、友人だけなどに全がけするのは危険だと思います。
時に恋愛や友情は正しい助けになりません。
他人から毛が生えたくらいの知人が最も助けになる時だってあるものです。
気難しい人間なので、もう少し以前には、愛想を振り撒くことなど考えもしませんでした。
しかし、ここ最近は、持って生まれて穏やかな人たちのようにはなれないけれど、普通程度に挨拶をし、ある程度話を合わせるようになりました。
丸くなったといえば丸くなりました。
子どもの頃の自分が見たら、「弱腰になったものだ」と睨みつけそうです。
しかし、今の自分は子どもの頃よりもっと、したたかで、もっと利己的なのです。
「先の自分のために、良い関係性が作れるならば作っておいたほうが得だ」と判断したにすぎません。
もちろん、そんなことをわざわざ口にだすことはありませんけれど。
そして、良い関係性を作る行動は長い目で見るととても得なのです。
劇的に、そしてすぐに、利益があるわけではありませんが、長期に見れば、比較的良い結果に落ち着きます。
また、良い関係性は他の関係性とも有機的な繋がりがあり、ひとつが少しうまくいくと、じわじわとそこに連なる別の関係性も良くなる傾向があるのも興味深いところです。

最初から完成形を手に入れるつもりでいると手に入らないのが関係性だと思います。
行動して、手入れして、距離を縮めたり広げたりして、調整していくものなのでしょう。
そして、それこそが面白いのです。






気に入ったら、サポートお願いします。いただいたサポートは、書籍費に使わせていただきます。