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空山 非金
2024年1月8日 17:46
恋にも愛にも、オマケが付くのだと気が付いた。 思えば幼い頃から。足が速いからとか、優しくしてくれるからとか、大事な娘だからとか。 とにかく、人はオマケが付くから好きなのだ。 私もそうだったけれど、気が付いてみれば馬鹿馬鹿しくて、もう止めようと思っている。 それに気が付かせてくれた事実だけは高樹に感謝しよう。 ――いや、やっぱり無理。 思い至る事ができた切っ掛けと、今、胸の裡にあるごち
2023年11月24日 22:35
はじめに 本作は二〇二二年七月十四日に執筆した短編小説を一部加筆修正したものです。 コレクター スティールラックに余裕が無かった。 両手でそっと持つ兎のフィギュアに目を落とし、どうしたものかとその頬を撫ぜる。 ポリ塩化ビニルで作られた量産品の兎は、実際の、生きている彼らのシルエットを巧みに写し取り、片手で握り込める程の大きさに縮小されていた。 全体的に光沢が無く、目には白のイ