空山 非金
〈フェリダー帝国〉と〈カーニダエ共和国〉の戦士たちは殺し合う。 どちらかが果てるまで。
空山非金の短編をまとめたものです。
ファンタジー世界の闘技場でぶつかり合う八人のお話。
終末世界ボーイミーツガール的な作品です。
月一で更新予定のダークファンタジー小説です。
はじめに 本作「パラレルジョーカー」には、暴力、暴言、戦争や著しい差別などの描写を含みます。 それに伴い、グロテスクな描写、憂鬱な気分にさせる描写を含む為、苦手な方は本作を読む事をお控え下さい。 また、本作は創作物であり、実在するあらゆるものへの批判や、思想の拡散を目的とした物では無い事をご理解下さい。 01話はこちら。 目次について 本作では本編中の場面転換を軸にnoteの「目次機能」による見出しを付けております。 表記は「 ✕✕
恋にも愛にも、オマケが付くのだと気が付いた。 思えば幼い頃から。足が速いからとか、優しくしてくれるからとか、大事な娘だからとか。 とにかく、人はオマケが付くから好きなのだ。 私もそうだったけれど、気が付いてみれば馬鹿馬鹿しくて、もう止めようと思っている。 それに気が付かせてくれた事実だけは高樹に感謝しよう。 ――いや、やっぱり無理。 思い至る事ができた切っ掛けと、今、胸の裡にあるごちゃごちゃとした嫌悪感は、やっぱり別だ。 だから私は、毛布に包まって何度も打ち直
はじめに 本作「あなたへ」は、計二十三作品の短編小説と詩をまとめた、文章作品集となります。 各作品ごとに異なる題材を選んではいますが、全体を通してのテーマが「読者に訊ねたいこと」である為、この様な題名に致しました。 中にはこれを読むあなたが苦手とする表現が含まれている恐れもありますが、悪意の無い問いかけとして受け取って頂けたら幸いです。 読書家なあなたへ ふ、と。夢中になっている自分に気が付く。 何十分のあいだ読み耽っていたのかしら。 いつの間にやら厚
はじめに 本作は二〇二二年七月十四日に執筆した短編小説を一部加筆修正したものです。 コレクター スティールラックに余裕が無かった。 両手でそっと持つ兎のフィギュアに目を落とし、どうしたものかとその頬を撫ぜる。 ポリ塩化ビニルで作られた量産品の兎は、実際の、生きている彼らのシルエットを巧みに写し取り、片手で握り込める程の大きさに縮小されていた。 全体的に光沢が無く、目には白のインキで反射光が表現された兎のフィギュア。その滑らかな頬をもう一度撫ぜ、頭を巡らせ
居処不明 湯気の上る珈琲を音を立てて啜り、口端を上げて、自嘲気味な顔を作る。 彼はそういう男だった。 「両の足で大地を踏む感覚が薄いのは、此処に居ないから。 心の拠り所を決め兼ねていて、絶えぬ流れに押し出される儘で、何かに縋る程度の勇気さえ持ち合わせていないからだ。 だから僕は友に光を見るんだ。 心の拠り所が見当たらなかったというのは、それは詰まり、家にさえ居場所を見出せなかったからだよ。僕の人生ではいつも、口先だけでこの目を見ようともしなかった役所で証明出来