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2019年5月の記事一覧

日記690 白いもの

日記690 白いもの



暗闇の境で地球は白を通過する。やがてあたりは黒くなる。たぶんこの世界にある境目という境目はことごとく白い。善と悪の境も、過去と未来の境も。白にはすべてがあって、すべてがない。そこで人は視力を失う。そんな色のように思う。ことし初めに読んだハン・ガンの小説『すべての、白いものたちの』(斎藤真理子訳, 河出書房新社)を思い出す。

 もしかしたら私はまだ、この本とつながっている。揺らいだり、ひびが入

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日記689 櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展@Gallery AaMo

日記689 櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展@Gallery AaMo



5月15日(水)

櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展へ。東京ドームのそばにある、Gllery AaMo。5/19(日)まで、すでに終了。杉作J太郎さんのパネルがお出迎えしてくれた。でも撮影を忘れる。惜しい。

アウトサイド。周縁でひたすらなにかをつくっている人々。芸術家なのか。表現者なのか。その自覚はあったりなかったり。なんだかよくわからない。そんな人々による「作品」をアウトサイダー・キュレ

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日記688

日記688



カテゴリ化すると差異がなくなり微細な識別ができなくなる。識別力を維持するために、無名の荒野がある。下條信輔教授の講演動画を流しながら料理をしていたら、こんな話に手が止まった。

色名の心理空間には、肌の色近辺に広大なブランクがある。「肌色」という曖昧な領域。細かく見るため、あえて曖昧にさせておく。この考え方がすごくおもしろいと思う。人間の三原色色覚系は情動ディスプレイのために最適化している、と

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日記686 ぴあのまじっくその周辺

日記686 ぴあのまじっくその周辺



4月30日(火)は終日、雨。
春の長雨。まだ肌寒さを引きずる。

29日(月)、地面が濡れる前。落ちた木香薔薇を拾う。路上でうずくまり、むやみに拾う。よく見るときれいだったから。目的はない。写真を撮ってすぐに捨てた。写真も拾ってからの思いつきに過ぎない。拾おうと思った特段の理由はない。赤いタカラダニがたかっていた。タカラダニは、つぶすと赤い染みになる。赤に手足が生えた虫。ヒトもたぶんつぶすと赤

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