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あるインタビュアー応募者へのインタビュー

2023年のとある日、無名人インタビューチームへの応募があった。
さっそく面接したところ、彼は面接の途中で泣きだした。

やろうと思ったことができないんです。
コミュニケーションも上手ではないし。

さすがにこんな悩みあぐねた状態では、インタビュアーは難しい。
人というのは、実は自分を救ってほしいときに、先に他人を救おうとする傾向があるようですね。まずは、インタビュアーうんぬん以前に、自分の問題をクリアにするのがよろしかろうと。私は思った。

それで、私はこう提案した。まずは一回「無名人インタビュー」を受けてみませんか?
インタビュー内容は伏せた状態で、コメントだけ記事にさせていただく。
どうでしょうか?

勢いに飲まれたところもあるのかもしれない。彼は承諾してくれた。
彼は20歳前後で、男性だった。名前はAさんにしておく。
そしてその「コメントだけ記事」というのが、この記事です。

(まえがき:qbc)

インタビュー後のAさんへの質問と回答

質問
・インタビューを受けてどう感じたか
・インタビューで印象的だったところはなんですか?
・インタビューで答えにくかったところはなんですか?
・インタビュー中に体の変化はありましたか?
・インタビュアーの印象はどうでしたか?
・インタビューを受けて、何かが変わりましたか?
・インタビューを受けて、何か新しいことをしようと思いましたか?

回答
インタビュイーとしてインタビュアーとコミュニケーションを成立させること、つまり、相手の質問に答えることを意識して、インタビューに臨みました。都合の良い自分像を語って第三者に認めてもらう機会ではありましたが、できるだけ等身大の答えを返せるように努めました。ただし等身大の言葉というものを予め探してしまってはいました。インタビューを振り返ってみると、全体として、オンラインカウンセリングを受けている印象がありました。直近で楽しみにしていることなど、普段は誰にも明かさない領域まで、素直に話せたからだと思います。後半にかけて、スムーズなコミュニケーションに難があることが色濃く表に出てくるようになり、質問に質問を返したり、長時間言いよどんだりするようになりました。それがなおさらカウンセリングのような雰囲気を作っていました。また、私の感覚では、新しい発見がなかったと思います。質問に答えるという点において、もっともらしい語句を探し出すことはありました。ほかには、コミュニケーションを成立させるために、インタビュアーさんの問いを復唱する工夫をしました。

インタビュー中の体(からだ)は、PCに対して左斜めを向いていました。目線は左斜め上にありました。窓の外が暗くなっていく様子が見えました。考えるときの癖として、髪を触っていました。お互いにカメラは使用していませんでした。インタビュアーさんは親切でした。現在過去未来の順番で進行されました。考え込んでしまう私に、追加の質問をしたり、質問の意図を教えてくださったりする場面があり、そのおかげで、自分の回答について、自信を深められたこともあったと思います。幼少期から大きく自分が変わったと感じることはあるかを尋ねられました。結局、私の基本的な性質は幼少期から特に変わっていないというふうに私は答えました。少しずつ変化してきたことでわかりづらくなっているということはあるでしょう。この返事はまるでやり取りを拒絶するかのようですが、ただし、質問は、人生の大きな分岐点で、選ばなかった方を選べばどうなっていたと考えるかを聞き出すためにされたみたいでした。人生の分岐点はいくつもあるので、どうにかなりました。

・インタビューを受けて変わったこと
インタビューに限れば、特にありません。しかしインタビュアーさんと言葉を交わしたことはいい経験になり、思い出になりました。

・インタビューを受けて始めようと思ったこと
インタビューに限れば、特にありません。しかしインターンを探すことを検討してみようと思いました。

インタビュアー:tokiさんへの質問と回答

・インタビューをしてどう感じたか
・インタビューして印象的だったところはなんですか?
なんとなく、たまたま、という言葉がよく出てきたこと。あとは大学受験がうまくいかなくても特に残念などという感情がでてこなかったという箇所。印象に残った人について、具体的な苗字がでてきたところ。
起きたことを、そういうものとして受け止める能力の高い人だなと感じました。
なんとなく、の傾向について、Aさん自身は「自分ができるかもしれないと思うこと」とおっしゃっていましたが、ではどういうことだったらできるかもしれないと思うのか、なぜそう思うのか、など、さらに言語化を進めていけたらいいのではと思いました。なんとなく、が言語化していないから出てくる言葉であることは、Aさん自身も理解されていたので、そこが認知できているということは、自分を客観視して言語化を進められるだけの賢さは備わっていらっしゃるのではないかと思いました。
ハーフであることが、自分に何か影響を与えているのか、個人的に気になっていましたが、Aさんから特にお話が出なかったことは意外ではありました。

・インタビューして質問しにくかったところはなんですか?
もしもの未来の質問にかなり悩みました。第一志望に現役で受かっていたら、という問いは候補としてすぐに出てきたものの、それまでの話を聞いていて、大学受験の出来事をターニングポイントというより、一つの通過点として捉えていらっしゃる印象を受けました。Aさんにとってそこまで大きな分岐点ではなかったのか?と考えると、もしもの未来の質問としてもっとふさわしいものがあるのではと思い、最後の方、集中的にご自身の変化について尋ねてしまいました。ルール違反になると思ってしませんでしたが、「もしAさん自身が、自分にもしもの未来の質問をするとしたら、何を聞くか?」という質問をしようかとも思っていました。

・インタビュー中に体の変化はありましたか?
特に大きな変化はありませんでした。部屋がとても寒かったので手足が冷えた、くらいです。

・インタビュイーの印象はどうでしたか?
思っていたより話せる方だ、と率直に思いました。自分が自信を持って話せることと、そうではないこと、相手の意図を理解した時とそうでない時、違いがとてもわかりやすいと思いました。
序盤は、質問に忠実に答えようとするAIのようでした。質問の答えを考えつつも、「違うな」「いや駄目だ」とか、話しながら振り返っているあたり、聞かれた質問にしっかりと答えるしていたあたり、ですが、時折うーんと考え込んだり、笑いが出てきたり、人間らしさが出てきたなと思いました。

・インタビューをして、何かが変わりましたか?
Aさんに新しい発見や、気付きを特に与えられなかったこと、あまり内面を引き出せなかったことは、私の力不足でもあったと思います。なので、何かが変わったかでいうと、自分のインタビューの仕方を見直したり、もう少し技術を向上させたいなという意識は強くなったと思います。

・インタビューをして、何か新しいことをしようと思いましたか?
私自身は特に。ただ、Aさんが新しい物事へと踏み出せますように、と陰ながら応援はしています。

あとがき

インタビュアーtokiさん的にはインタビュアーの経験として良かったみたい。
Aさんは、どうだったのだろう。全体として(私qbcはインタビューも聞いているので)、足踏みの多い印象だったけれども、すこしでも変化はあったのだろうか。Aさんに他のインタビュアーにインタビューしてもらいますか? と聞くと、Noだった。
ということで、この話はここでおしまい。

(制作:qbc)

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