未完 2022/06/25

昔から造り上げたキャラを演じることは得意だ。
だけど、わたしはわたしになりたい。
架空のキャラクターのプロフィールはすぐ埋まるのに肝心の器であるわたしのプロフィールは空欄祭りだ。
簡単にキャラが入りやすい分、なかなか抜けてくれなくて困ってしまう。からっぽ故に良くも悪くも憑依体質なんだと思う。
そんなときはタバコを吸うようにした。ふっと体の力が抜けて元の無に戻れる気がする。これぞタバコ休憩。

絶対的権力に従うしかなくて、それでも反抗してやっと自由なはずなのにわたしは未だに鎖で繋がれている気がする。
いや、鎖なんてとっくに切れているのだろうけどまだあるのだと錯覚してしまう。

あなたには意見がないね、と昔言われたことがある。
自分の考えとはなんだろう。自我はどこにあるんだろう。わたしって誰?
こころの現在地はいとも容易く行方不明になってしまうから、そんなとき好きでかためた自室を眺めて必死にわたしのかけらを探す。
ファンシーなぬいぐるみ、古着屋で買った一張羅、尊敬するアーティストのポスター、ギッシリと詰まった本棚。
大丈夫、ちゃんと好きだって言えるものがある。
だから少しづつかけらとかけらを繋いでわたしはわたしになろう。


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