見出し画像

大学授業一歩前(第150講)

はじめに

 今回で遂に最後の回となりました「大学授業一歩前」ですが、最後は運営者である私自身が記事を作成しようと思います。2020年の4月から始めて、何を学び、何を感じてきたのかその集大成として拙い文かとは思いますが、ご一読頂ければ幸いです。

プロフィール

Q:プロフィールを教えてください。

A:明治大学経営学部公共経営学科を今年卒業し、4月から都内のコンサルタントに勤務予定です。
 学んできた/いる内容としては、政治哲学(特にグローバル正義論)と応用倫理学(特に開発倫理学)を勉強しております。修士課程と博士課程は社会人大学院生としてこれらの分野の研究を継続しつつ、コンサルタントとして働くことを考えてキャリアを設計しています。
 友人数人達とは神保町に学生向けのコミュニティの再構築を目指した団体「ふらっと神保町」を運営しております。講演会イベントや読書会などを中心に本を読むことの楽しさを広める活動に励んでいます。

オススメの過ごし方

Q:ご自身の経験から大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:毎日を楽しく過ごして欲しいと思います。これは何も毎日頑張って楽しく過ごせ!という訳ではありません。卒業を迎えて私自身特に感じていることなのですが、「午前中までぐだぐだする」ことや「夜更かししてYoutubeを見る」といったインドアな生活から、「旅行に行く」「友人達と長期間一緒に過ごしたりする」といったアウトドアな生活まで本当に大学生の内にしかできないことだったのだなぁと実感しています。
 社会人になれば強制的に規則正しい生活をすることになるので、今は周りの目を気にせずに思いっきり、自分のしたいように毎日を過ごせば良いと思います。そのような日々を過ごす中で自分の興味関心が自然と形成されていくように思えます。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力を教えてください

A:自分の興味関心に愚直に従う能力だと思います。
 4月には以下のような光景をよく目にします。関係値のほぼ無い友人と一緒に時間割を組んだり、馬が合わない人と無理して飲みに行くなどです。
 確かに、誰しも入学したてや進級したては不安だと思います。もちろん私自身もそうでした。ですが、無理やり気の合わない人と一緒に過ごせるほど大学生活は長くはありません。学びたいこと、やりたいことをもう一度思い出して、その直観に従ってみて下さい。絶対に価値観の合う友人達に出会えます。大学にはすごいやつらがたくさんいるのですから。

学ぶ意義

Q:ご自身にとっての学ぶ意義を教えてください。

A:私自身、実は積極的な意義を見いだせていない節があります。中学生、高校生の時から運動や芸術などが苦手で回りの人達が部活動で汗水流している中で、私が打ち込めるものが勉強だけだったという少し後ろめたい気持ちを抱いています。
 ですが、高校受験が終わった後、大学受験が終わった後とそれぞれの節目で勉強から離れる機会もあったのですが、離れず継続してきたからこそ見えてきた世界もあると実感しております。世界は本当に理不尽なことで溢れていますが、その原因や構造を知る術は「学ぶ」ことでしか得れないと思います。
 何か、直接的な行動を社会に対して取らなくても、学ぶことでその裏にある何かを知ることは社会を変えるための「一歩前」なのかもしれません。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

A:今まで先生方にお伺いしてきた質問にいざ自分が答えるとなると難しいですね…。正直一冊には絞れない。
 本当は大型書店に行き気になった本を片っ端から読んで欲しいのですが、何か一冊を選ぶならば、上田紀行編著(2020)『新・大学で何を学ぶか』岩波書店にします。

上田紀行編著(2020)『新・大学で何を学ぶか』岩波書店。

 東京工業大学でリベラルアーツを担当なさっている先生方がそれぞれの切り口で大学での勉強の導入となる内容をお書きになっています。「大学は学問する所だ」と言われてもあまり具体的なイメージを思いつく方は少ないと思います。そのような方々にとって学びという森を歩く地図になる一冊です。
 また、特定の分野にはなってしまいますが、以下の二冊からは名前をお借りしたので挙げない訳にはいきません。

廣松渉(1988)『哲学入門一歩前 モノからコトへ』講談社現代新書。

 まず、一冊目は『哲学入門一歩前』です。正直、「一歩前」ではないでしょ!!と思う内容ですが、哲学に興味のある方にはオススメです。

若林幹夫(2007)『社会学入門一歩前』NTT出版。

 二冊目は『社会学入門一歩前』です。こちらは社会学を勉強する方以外にもオススメできる一冊です。若林先生と社会学との出会いなども書かれており、学びたい内容を見つける手ほどきにもなると思います。
 これらの二冊(私は若林先生の著作から名前を頂いたのですが、さらにその前にも一歩前と冠する一冊があると若林先生から教わりました)からこのnoteのコンセプトと名前をお借りしました。

メッセージ

Q:最後に学生へのメッセージをお願いします。

A:進学する方にとっても、進級する方にとってもようやく「普通」のキャンパスライフを過ごせる時期が訪れましたね。
 ですが、コロナ禍はまだ終わっておらず、世界に目を向ければ戦争、貧困、飢饉と胸が痛むような状況が続いてしまっているのが現実です。このような現実に苦しんでいる方々がいるという状況を想像できる力を大学では身に付けてほしいと思います。ただ、これが行き過ぎてしまうとおせっかい(パターナリズム)になってしまうので、それには十分に注意しつつ。
 他者の苦境に共感できるような術を得ることができるのも学問の力ではないでしょうか。

おわりに

 2020年4月~2023年3月まで約3年間で約200名弱の先生方(神保町関連の記事を含め)に記事を寄稿して頂いた「大学授業一歩前」も遂に終わりを迎える回となりました。正直、ここまで長続きするものを作れるとは思っていませんでした。寄稿して頂いた先生方、読んで頂いた読者の皆様があってこそのnoteです。
 入学当初から経済地理学→経済思想史→公共哲学→政治哲学→環境倫理学→開発倫理学と興味関心が行ったり来たりの4年間でしたが、このように色々な分野を見て来たからこそ、本当に様々な分野の先生方や友人との出会いもあったように思われます。是非、大学生の皆様は自身の所属する学部学科の名前に囚われず、自身の直観を大事にして「一歩前」から一歩踏み出して欲しいと思います。
 次回からは、まだ修士課程に行ける環境であるかも分からない中ではありますが、少しづつ社会人大学院に向けた航海日誌のような記事を書いていきたいと思います。題して「大学院授業一歩前」。まだまだ、私も学び続けます!!

この記事が参加している募集

人生を変えた一冊

学問への愛を語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?