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大学授業一歩前(第106講)

はじめに

今回は図書館司書の中崎倫子様に記事を書いて頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非、ご一読下さいませ。👇は中崎様のnoteです。合わせてご覧くださいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えてください。

A:学部生・修士時代には日本語の研究をしていました。そのあとは、いろいろな会社で事務仕事などをしてきましたが、現在は大学図書館の司書をしております。レファレンスといって、先生方や学生さんの資料探しのお手伝いをしたり、論文を探すデータベースの使い方のガイダンスをしております。そのほかに、読書会ファシリテーターや本の要約サイトflierで要約ライターをしております。今年(2021年)の8月には、マインドマップ・インストラクター養成講座を修了しました。noteには学術に役立つ情報も公開しています。

・noteプロフィール

・私家版 学術関係リンク集

・論文作成ツール

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:自ら学ぶ習慣をつくような過ごし方をするとよいのではないかと思います。学生時代は社会人に比べてまとまった自由な時間がたくさんあるので、長期視点で基礎的な力になるもの(具体的には、古典の知識、きちんとした手順で調べる力、発信する力)を学ぶとよいのではないでしょうか。変化の激しい時代だからこそ、普遍的でオーソドックスな知が、自分自身で判断する拠り所となり、生きていく土台になると思います。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力を教えて下さい。

A:「観察力」「質問力」「行動力」の3つと考えます。「観察力」と「質問力」はつながっていて、子細に物事を観察し良い問いを立てることで、その物事を深く知ることができます。「行動力」は、最初の一歩が踏み出せるかどうかです。初めてのことは怖いのですが、その一歩を踏み出すと、見える景色が変化し、人間関係も広がり、できることがだんだんと増えていきます。

学ぶ意義

Q:ご自身にとっての学び意義を教えてください。

A:私にとって学ぶ意義は、「世界の理を知ること(楽しみとしての学び)」「学びを生き方や仕事に活かすこと(実践としての学び)」の2種類があります。以前は、自分の好奇心を満たす、自分の楽しみとしての学びのほうに関心がありましたが、年齢を重ねるにつれ、自分の学びを自分の生き方や仕事や社会にどう還元していくのかに関心が向くようになりました。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

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A:桑子敏雄(2019)『何のための「教養」か 』(ちくまプリマ―新書329)。

「教養がたんなる飾りであるならば、ひけらかすだけの知識であったり、物事についての分析や評論であったりするだけの知であろう。しかし、教養が選択の拠り所であるならば、教養とは実践へと直結してゆく」(p.132)

著者の桑子敏雄氏は、哲学者であるとともに、公共事業(ダム建設等)の合意形成にも活躍された方です。著者は、アリストテレスの「思慮深さ(フロネーシス)」という言葉をよく出します。難しいことを知っているのではなく、難しい局面に立ったときに思慮深い判断をする力、それが教養であり、これから必要となる力なのだと思います。

メッセージ

Q:最後に大学生へのメッセージをお願いします。

A:【大学図書館司書として】
図書館は本を借りるだけの場所ではなく、論文の書くための支援をしてくれる場所であると考えてくれると嬉しいです。論文執筆のための参考図書(辞典・事典等)やデータベースがあるのでどんどん使ってほしいです。文献がない場合にも、文献複写や紹介状の発行などもするのでお気軽にご相談ください。

A:【一人の人間として】
未来は予測がつきません。流行に惑わされず、先人たちが伝えてきた普遍的な知(古典)に触れ、自分の思考や行動の基礎を作ってもらえるととてもうれしいです。また、行動することで見えてくる景色が広がります。学ぶこと、考えることにとどまらず、学んだことを実践することにも目を向けてほしいと思います。

おわりに

今回は図書館司書の中崎倫子様に記事を書いて頂きました。お忙しい中ありがとうございました。大学にとって図書館はまさに生命線です。この知の宝庫の中で、論文を書くという目的地へ私達を導いて下さるのが図書館司書の方々だと思います。図書館を如何に上手く使えるか、これも大学生に求められる力ではないでしょうか。次回もお楽しみに!!



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